概要 背景 事例 分析 結論 高齢化とジェンダー ~地域における高齢者の活動から~ 政策・メディア研究科 博士課程1年 渡辺大輔([email protected]) 1 概要 概要 • 背景 事例 分析 結論 今回の発表の概要 1. 高齢化とジェンダー 高齢化と地域の変化 高齢者の活動事例 活動に見られるジェンダー差と地域との関係 - ポジティブな側面と、ネガティブな側面 2. <補足> 「ケア労働とジェンダー」の現在 2 高齢化と地域の変容 -1 • 概要 背景 事例 分析 結論 高齢化の影響 ライフコースの後半における移動 ‒ とくに、50~70代くらいにおける自発的移動 は現段階では少ない (ただし、入院・呼び寄せ等はある) 現在の60~70代は高度経済成長期の 「団地」に居住する<第一世代> ‒ 3 「郊外型生活」の質の変化 高齢化と地域の変容 -2 概要 背景 事例 分析 結論 • これまでのコミュニティ 70年代、80年代の都市型のコミュニティ ‒ 選択的接触 ‒ 新しい生活様式 ⇒ 地域・市民活動の場としてのコ ミュニティ • 高齢化による変化 地域運動の場から日常的な生活の場へ ‒ 地域運動の沈静化(80~90年代) 高齢化への対応 ‒ 新たな地域活動の形態としての高齢者介護やボランティ ア(90年代~) 4 ⇒ 女性のライフコースとパラレルに変化 (運動 → 子育て → 介護) 調査地域紹介 概要 背景 事例 分析 結論 • 調査地域:横浜市緑区竹山地区(竹山一~四丁目) 人口:8649人 世帯数:3178人(2002年7月現在) 老年人口割合:13.78% ただし、この10年で約2.3倍増。この急速な高齢化 は緑区内でも群を抜いている。 1970年代以降の住宅供給公社による新興団地の 典型例。 8割程度が分譲住宅で、残りが賃貸住宅。 5 20年以上居住している住人が多く、彼らの形成する 世代(現在50代以上が全体の43%を占める)が非 常に大きい 調査地域紹介 -2 概要 背景 事例 分析 結論 • 人口構成の推移 竹山地区年齢4階級別構成比の推移 1992 竹山1~4丁合計<0-14歳> 1993 竹山1~4丁合計<15-49歳> 1994 竹山1~4丁合計<50-64歳> 1995 竹山1~4丁合計<65歳以上> 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 6 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 調査事例 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Aさん 男性、60代後半、元サラリーマン 5年前に定年退職。定年後は様々に活動 ‒ ソフトボールのサークル ‒ 農作業をするサークル ‒ 文化学校(仮名) ‒ 近隣のグループホームでのボランティア サークルへの参加は偶然 7 ‒ 定年直後は「何もしない生活には1,2ヶ月で飽 きた」「何をすれば、よいかわからなかった」 ‒ 散歩中に公園で活動を見て誘われる 調査事例 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Aさん Aさんには自治会の役員経験があり、顔が 広い ‒ 散歩時にAさんを誘ったのは自治会の時に少し だけ面識があった人 ‒ サークルへの関わり方は積極的で、かつ枠を広 げる傾向 8 ⇒ 自治会への参加は輪番制であり、望ん で積極的に参加したものではないが、その ときに形成した人間関係が今になって生活 に大きく関わってきている 調査事例 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Bさん 70代半ば、女性、専業主婦 夫とは2年前に死別、一人暮らし 多彩な活動 ‒ 老人クラブでゲートボール ‒ 水彩画のサークル ‒ 民謡を踊るサークル サークル、団体への参加理由 9 ‒ 民生委員の紹介 (老人クラブ) ‒ ポスターやちらしをみて 調査事例 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Bさん サークルへの関わり方 ‒ 基本的にサークル内でのつきあいは、サークル 内で収束 ‒ 家庭の話はしない。世間話を少しする程度 10 調査事例C 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Cさん 女性、60代後半、専業主婦(夫は退職) 専業主婦の傍ら踊りを教える ‒ 現在は、呼ばれれば踊ることもあるが教室は開いていな い 外での活動は二つ ‒ ケアサービスのボランティア ‒ 踊りのサークルで指導 「この(サークルの)中では、私が一番年下なんですよ。 でも、みなさんとってもがんばっていらして、いまでは腕も 上がるようになってきているんです」 11 調査事例C 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Cさん サークルへの関わり方 ‒ 非常に主体的に関わる ボランティア経験なども多い ‒ 子育て時期(小学校から)からボランティア的な ことはしており、いまでもそのメンバーと行ってい る 12 「わたしにできることは色々あるし、それを 知っている方々が他にもいるのだから、一 緒にやればいいと思うのよ」 調査事例D 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:Dさん 男性、70代前半、元サラリーマン 10年ほど前に定年退職し、それ以来仕事は していない 活動 ‒ デイケアサービスのボランティア ‒ 社交ダンス(夫婦で、夫が特にすき) 13 入ったきっかけは、妻からの紹介と区の民 生委員に頼まれたこと 外で動かないときは、テレビが多い 調査事例D 概要 背景 事例 分析 結論 • 事例:D 活動への関わり方 ‒ 積極的に関わっているが、なかば「いつもやって いること」 ‒ 昔の話はしない。過去の仕事の話はしない。 「過去は色々あっても、今は一緒にやって いるんだから、それでいいんです。それを (過去の話をして)壊す必要はないんです」 14 分析 ~地域と活動 概要 背景 事例 分析 結論 • 活動への参加という面では男女同じ 高齢期にはジェンダー差はそれほどない? 実際には、「参加の仕方」に差が見える ‒ 男性:ちらし、過去の自治会などでの知り合い ‒ 女性:ちらし、ポスター、日常的な買い物などで の知り合い 「参加の仕方」にも差が見える 15 ‒ 男性:同じ人で複数間に参加、様々に広げる ‒ 女性:サークル内のみで「日常」へのひろがりを もたせない、「日常問題」へ積極的にアプローチ 分析 ~地域と活動 概要 背景 事例 分析 結論 • ジェンダー差をもたらしたものは? 人間関係 ‒ 近所づきあいの想定 ‒ 「日常的」な生活への介入の忌避する傾向(Bさ ん) ‒ 「過去の仕事」への忌避(Dさん) 地域における介護 16 ‒ 女性が担い手として想定されている ‒ 実際に、従事している人は多く、そのほとんどが 主婦 ‒ 「子育て後」の期間に従事する傾向 分析 概要 背景 事例 分析 結論 • 矛盾か? Bさんの日常的付き合いの忌避 Dさんの日常的問題への対応 この両者の関係は個別的なもの? 同じ地域にいることを前提にしたときに、女性に期 待されること ‒ 日常的な近所づきあい ‒ シャドーワークとしての子育て・介護 17 ⇒この両者の側面をポジティブに捉えるか、ネガティ ブに捉えるか、その差がBさん、Dさんにでている 結論 ~地域と活動 概要 背景 事例 分析 結論 • 地域における活動には一見ジェンダー差は見 られないような活動が多いが、実際には、その 地域におけるこれまでの生活が、現在の活動 の非常に大きく影響している。 • 特に、同じ地域内で日常的な生活を行わざる を得なかった女性の活動において、女性内で 分化する傾向にある ネガティブ : 近所づきあいのしがらみを忌避 ポジティブ : 子育てや介護支援において協調 18 役割期待を内面化せざるを得ない社会のあり ようが見える
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