超高速ネットワークを利用した 高大間双方向遠隔授業の実践

超高速ネットワークを利用した
高大間双方向遠隔授業の実践
中神雄一(北大理), 大島修(鴨方高校)
杉山耕一朗(北大理),川端善仁(鴨方高校)
佐藤光一郎(鴨方高校),倉本圭(北大理)
小高正嗣(北大理),Mosirプロジェクト
Mosir(モシリ)プロジェクトの概要
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~mosir/
北大地惑の学生有志団体,
補助は有志教官,専攻
基本的にボランティア
インターネット上でのマルチ
メディア配信技術の習得、
運用
- Streaming(realsystem)
2000/07 発足
研究現場からの
研究成果発信!
セミナー公開
研究紹介
「有珠山」
一方通行の情報発信 ⇒ 受信者の反応がわからない.
Contents
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双方向遠隔授業の経過
対話的な授業環境の構築
授業作り
運営体制
良い遠隔授業をするために
双方向遠隔授業
の経過
2001/10
大学との教材開発の呼びかけ
(大島;日本惑星科学会秋季講演会).
2002/02 遠隔授業を提案(杉山, 中神).
02/06 : プロジェクトスタート
02/09 : システム完成
02/10/23 : 「月の科学」(倉本助教授)
24 : 「惑星気象学」(小高助手)
10/30,31 : 第一週と入れ替えて実施
02/11/17 : 全国マルチメディ祭 in 岡山
遠隔講義
協力機関
倉敷芸術科学大学 産業科学技術学部
小林和真研究室
笠岡放送株式会社
(株)ネクステック
北海道大学工学研究科 高井昌彰研究室
北海道大学大型計算機センター
株式会社 日立製作所
北海道地域ネットワーク協議会 (NORTH)
プロジェクトの特徴
1、対話的な授業環境の構築
- DVTS の導入(高品位な映像/音声)
- JGNの利用 (スムーズなやりとり)
- 遠隔授業にふさわしい配信システムを工夫
2、高校生向け教材の開発
- 最先端の研究に触れる機会を提供
- 科学的思考に触れる機会の提供
- アンケートで効果を分析
3、学生主体の運営体制
我々のねらい
ノウハウの集積, 整備 (高校,大学双方)
- DVTS運用 (技術)
- 高大連携
(手順)
教育現場で何が求められ,何を提供でき
るのか知る (大学側)
- 「理科離れ」抑止への研究現場からの具体的
なアクション
1、対話的な授業環境の構築
DVTS
JGN
遠隔授業にふさわしい配信環境の整備
DVTS (Digital Video Transport System)
. WIDE プロジェクトが開発
- FreeBSD, Linux, NetBSD,
MacOSⅩ,Win2000, WinXP で動作.
DV画像を無圧縮で伝送
双方向で 35Mbps 程度の帯域
が必要
LAN以外では専用線が必要
DVTS (受信機)
Pentium Ⅲ 933MHz
Debian GNU/Linux 2.4
JGN
(Japan Gigabit Network)
通信・放送機構 (TAO) が整
備する研究開発用ネット
ワーク
基幹区間の帯域は2.4Gbps
アクセス点までの足回りは
利用者が準備
100Mbpsの帯域を確保
IPv6 を使用.
北大鴨方間約1,400km
遠隔授業にふさわしい
配信環境の整備
対話性を重視
- 音声
- 講師の目線
廉価でお手軽に
- 既存の機材の
活用
- 最低必要人員
4名
- 資料はPCモニ
ターに投影
(北海道大学)
2台のカメラ
の切り替え ⇒
講義の録画用
ビデオ↓
(北海道大学)
• 受信画像も録画
• 教室内のスピーカ
を使用.
配線図2 : 受信側
鴨方高側も基本的には
これと同様.
2、高校生向け教材の開発
授業案作成
授業の概要
当日の様子
アンケート結果
生徒の声
授業案作成
課題
1) 高校生の情報が全く無い (興味,基礎知識,授業進
度)
2) 授業時間が限られている (50分×2コマ)
3) 初めての環境での授業でなにが起こるか分からな
い!対応策
1) 大学教官,高校教員,学生スタッフが連携して情報交換
・ 事前アンケート (月のスケッチ,月の知識)
2) 生徒の興味,レベルに応じて授業内容を厳選.
・ 正確な理解よりストーリを重視
・ 生徒の学習意欲を喚起するような内容
3) 学生スタッフの臨機応変な対応でカバー
授業の概要
大島教諭担当の「宇宙の科学」の時間
- 3年生が対象
- 人数は各回 20 名前後
- 文型で物理、化学は未履修
- “宇宙”、“惑星”に興味、関心
内容
- 「月の科学」 (倉本助教授)
月の起源 / 進化
- 「惑星気象学」(小高助手)
地球型惑星の大気現象比較
当日の様子
第一週
- 北大から学生派遣(2名)
- 音声ノイズ発生
(パケットロスによる)
- 携帯電話で対応
- 報道関係の取材
第二週
- 音質改善
- 授業進行もスムースに
- 普段どおりの静かな環
境での授業
アンケート結果
システム
・ 音声
・ 臨場感
授業内容
・ 面白かったか?
・ 理解度
・ 興味の喚起
満足度
生徒の声 (アンケートから一部)
授業の全体的な雰囲気
対話性
- いつもと違う授業で楽しかった. - いい緊張感だった.
- いつもより勉強する気になった.
-
授業の内容について
- 想像以上に面白かった.
- 全体的に分かりやすかった.
- 難しい内容でも聞く気がした.
- ビジュアルで分かりやすかった
その場で分からないことに対応
してくれる.
質問しにくい雰囲気だった.
質問に答えたくてもどう答えたら
良いのか分からなかった.
興味の喚起
- いろんな惑星の内側を覗きたい.
- 地球のことをもっと知りたくなった.
- 火星・金星の年齢.
- 水はどのようにして出来たのか?
3、学生主体の運営
人員,役割分担
- システム設計/構築,スタジオ設営 : 5名
- 授業案作成,資料作成支援 : 4名
教官との連携
- 学生企画実現のための資金提供 (システム構築)
- 教官が話題提供,学生が高校生向きにアレンジ,フィードバック
(授業内容)
- 学生が監督,教官が役者 (授業リハーサル)
学生主体の良い点
- 高大間の意思疎通が円滑になる
- 高校生により近い立場から意見できる
- 自らも研究公開,理科教育について主体的にかかわりを持てる
良い遠隔授業をするために
心構え:
大学の講義をそのまま持ち込んでも旨く行かな
い!
情報収集 :
集められるものは何でも(座席表,授業態度)
技術:
音声が命!映像は多少コマ落ちしても大丈夫
講師の視線が感じられる環境
企画,運営:
学生の柔軟なアイデアを積極的に取り入れる.
今後
ノウハウの整備,公開
低コスト化 (特に人的)
DVTS活用策の模索
- 研究現場での情報伝達手段として
- 高画質を活かした研究の道具として
・ 遠隔望遠鏡による木星の縞模様の観察
・ オーロラの常時地上観測
参考
北大-鴨高間双方向遠隔授業プロジェクト
- 北大
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~mosir/work/2002/kamokata/
- 鴨方高校
http://www.kamokou.jp/hokudai/
Mosir プロジェクト
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~mosir/