Software Reliability E n h an c e m e n t Ce n t er Information-technology Promotion Agency, Japan プロセス改善概説と改善ツール -プロセス改善とは- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 技術本部ソフトウェア高信頼化センター IPA/SEC連携委員 臼杵 誠 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center アジェンダ 1. プロセス改善推進者育成について 2. プロセス改善とは 3. プロセス改善推進者への期待 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 1 1.プロセス改善推進者について Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 2 プロセス改善推進者のスコープ プロセス改善推進者 ・プロセス改善活動を牽引する人。 プロセス改善推進者 準アセッサ 適格アセッサ 注: ここで示しているアセッサとは、アセスメントを有効に活用してプロセス改善を推進する人を指す。 ・プロセス改善を行うのは、プロセスを実施する当事者です。 ・改善推進者はプロセス改善を行う人や組織へ働きかけを行い、改善を促す役割を担います。 ・プロセス改善を実施する当事者自身がプロセス改善推進者としての役割を担うこともあります。 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 3 プロセス改善推進者の研修コース プロセス改善推進者入門コース プロセス改善推進者実践コース (半日) アセスメント活用コース 準アセッサ育成コース (ベーシック) アセスメントモデル 活用コース (半日) (2日) スピナッチキューブ 活用コース 準アセッサ育成コース (アドバンスト) (1日) (3日) 適格アセッサ育成コース 注)実践コースは各コース選択性です。 (5日) プロセス改善活動の推進 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 4 2.プロセス改善とは Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 5 ソフトウェアは社会基盤の一部 (2008年10月1日 情報化月間記念式典特別行事 講演資料より) 本コースで対象とするプロセスとは、エンタープライズ系および組み込み系の 区別無く、ソフトウェア関連のライフサイクル全般に関係するプロセスです。 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 6 現状! (ソフトウェアプロセスの現状と問題点) Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 7 “改善”とは? 改善とは? 物事をより良い方に改めること。 現状より良い状況にするために、何かを変更 すること。 何かとは? 〔改善の対象〕 製品品質、サービス、待遇、・・・ 技術(エンジニアリング、テクノロジー)、 プロセス、人、材料、・・・ プロセスを変更する→プロセスを改善する Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 8 プロセスの定義 規定・標準 プロセスの定義 ISO/IEC 15504-1 及び、 ISO/IEC 12207 インプットをアウトプットに変換する、相互に る又は相互に作用する一連の活動(JIS Q9000 IEEE ある目的のために実行される一連のステップ Quality Process Management (by Pall,Gabriel A.) 指定された最終結果を生み出すように設計され 作業活動に関わる「人、材料、エネルギー、機 び手順」の論理的編成 INPUT プロセス OUTPUT プロセス STEP3 STEP2 STEP1 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 9 プロセスに着目 良いプロダクト(成果:結果)は 良いプロセスから生まれる プロセスを良くしなければ 結果は良くならない 結果を制御するには プロセスを制御するしかない 出典:プロセス改善ナビゲーションガイド ~なぜなに編~ P14 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 10 品質向上の着眼点 ・人材、道具、技法(入出力) リソース品質 資源 (resource) 要求品質 必要性・要求 (requirements) 製品・サービス品質 作業・処理 (process) 製品・サービス (product/service) ・出力(条件) ・入力(条件) プロセス品質 環境 (environment) 制約品質 ・天候、文化、法令(制約条件・不変条件) Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 11 プロセス いくつかの事業(project)に共通の処理・作業を、同じ 窓から見て共通の課題を明らかにし、効率化・標準化 ・改善を図る。 要求 各事業に共通な切り口(窓) 事業A 設 計 事業B 事業C Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved 構 成 管 理 品 質 管 理 組 織 Software Reliability Enhancement Center 12 どうして、“プロセス”なのか? そもそも、ソフトウェアは人が作るもの。 開発者個人の方法や技量だけに頼ってプロジェクトを進めると。。。 役割や責任が不明確なまま作業を進めてしまう。 → 開発分担が決まらないまま、時間だけが経過。 → 工程が遅れ、顧客承認を得ないまま設計終了し、プログラミングに着手。 → しかし、テスト工程で設計工程に起因する問題が多発。 → 手戻り量が多く、結果的に工期も守れなくなった。 というように、属人的な仕事のやり方では、 ● 製品(サービス)の品質(Quality)は、安定しない。 ● 納期(Deliver)は、不確実(必ずしも納期を守れない)。 ● 結果的に、コスト(Cost)は増大する。 ⇒ 組織が、顧客に提供する製品(サービス)品質を維持し、 または向上させていくためには組織の活動基盤となる “プロセス品質”が重要である。 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved 人 技術 プロセス Software Reliability Enhancement Center 13 プロセス改善の目的 改善効果 Q C D 達 成 Q 品質 C コスト D 納期 要求 診断 プロセス 改善点 プロセス・パフォーマンス を複数の観点で測定 予測精度 制御精度 改善 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved 改 善 推 進 者 効率 Software Reliability Enhancement Center 14 プロセスに関する標準化動向 ISO/IEC 12207 Systems and software engineering -- Software life cycle processes ISO/IEC 15288 Systems and software engineering -- System life cycle processes ISO/IEC 20000-4 Information technology -- Service management -- Part 4: Process reference model SEC BOOKS 共通フレーム2013 ~経営者、業務部門とともに取組む 「使える」システムの実現~ 発行:2013年3月 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 15 プロセス改善の国際標準化動向 ISO/IEC JTC1/SC7/WG10が国際標準化を推進 1992年、CMM、SPICEなど、似て非なるプロセス評価 モデルが乱立する中、プロセス能力レベルの統一基準を制定 すべく発足 ソフトウェア組織の有するプロセスの能力レベル及び組織の 成熟度レベルを評価するための枠組みの標準化 ISO/IEC 15504ベースのプロセス評価改善のスキームの整備 国際規格準拠の業界モデルAutomotive SPICE、SPICE for SPACE等の策定 欧州を中心にアセッサ育成/認定スキームの整備が進展 車載組込みSW分野では、欧州カーメーカが発注要件化 IPA/SECでは、15504準拠のアセスメントモデルSPEAK-IPA 版を策定車載組込みSW分野では、欧州カーメーカが発注要件 化 Software Reliability Enhancement Center 新日鉄ソリューションズ(当時)の国際規格適合モデルSPEAKを基に Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved 16 ISO/IEC 15504(JIS X 0145)とは 自律的プロセス改善及び供給者のプロセス能力判定におけるプロセス アセスメントの利用方法について、全般的な情報を提供 準拠性を考慮する上で、ISO/IEC 15504-2:Performing an assessment の要求事項が重要 アセスメント手順、モデル、アセッサに対する要求事項を規定 原案作成に寄与したプロジェクト名にちなんでSPICE(Software Process Improvement and Capability dEtermination)と 呼称される場合有 CMMI は、ISO/IEC 15504の要件を満たす1つのプロセス アセスメントモデルという位置付け 現行規格ISO/IEC 15504シリーズ(10分冊)から次世代規格ISO/IEC 330xxファミリへの再編作業中 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 17 ISO/IEC 15504の構成 第1部 JIS X 0145-1:2008 発行済の規格 第3部 Part 3 概念及び用語 第2部 追加の手引き(ツー ル、検証、アセッサの 要件) JIS X 0145-2:2008 Part 2 アセスメントの 実施 測定の枠組み (能力軸を含む) 適合性の 要求事項 アセスメント実施の 手引き 文書化された アセスメントプロセス例 第4部 プロセス改善及びプロセス 能力判定のための利用の 手引き プロセス参照 モデルの 要求事項 第5部 参照規格 第6部 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved TSとして発行 安全性の拡張 第9部 能力ターゲット プロファイル 第8部 ITサービス管理の プロセスアセスメントモデル の例 第7部 プロセスアセスメントモ デルの例 (1 2 2 0 7 ベース) プロセス参照モデル ( 1 2 2 0 7 など) 第10部 TRとして発行 組織成熟度の アセスメント システムライフサイクル プロセスアセスメントモデル の例(15288) Software Reliability Enhancement Center 18 3.プロセス改善推進者への期待 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 19 プロセス改善推進者に求められる能力 プロセス改善推進者として それぞれの「プロセス」の実態・本質と向き合う トータルな「プロセス」設計と向き合う より良い「プロセス」への好奇心・創造性の発揮 プロセス改善推進者に必要な能力は・・・ 7つの基礎力(人間力) → 聴く力、視る力、考える力、表現する力、話す力、 耐える力、時間活用力 ツールの活用・応用力 業務に関する新技術の習得力 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 20 (参考)アセッサの要件 ISO/IEC15504 Part3 にアセッサが備えているとよいとさ れる能力の指針(アセッサの要件)がある アセッサ候補:アセスメントの実施に必要な知識や能力 知識、スキル及び人的属性を最新なものに維持する必要がある 1.プロセスに関する知識 2.参照モデル、アセスメントモデル、アセスメント方法の知識 3.効果的な実施に寄与する人的属性 ←これが7つの基礎力(人間力) 適格アセッサ:上記に加えISO/IEC15504適合アセスメントの 豊 富な実施経験 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 21 プロセス改善推進者に求められる能力 基盤となる7つの力(人間力)を鍛える 視る力 ・ 対象に関わる全てのものに関心を持って観察できる 聴く力 ・ 話し手の心を開く聴き方ができる ・ リズムをつくることができる(適度なリアクション) 考える力 ・ 論理的な思考ができる(思考力、判断力、分析力) 表現する力 ・ 国語力を備えている(誤字脱字や「てにをは」の誤使用があると軽い印象をもたれる) ・ 相手に伝わる文書を書くことができる(一文一意で短文化) 話す力 ・ 説得力のある話し方ができる(主張する論拠を具体的に例示) 耐える力 ・ 何事も根気強く対処ができる 時間活用力 ・ 作業の優先順位を意識し、限られた時間内でスムーズに進めることができる Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 22 プロセス改善推進者に求められる能力 7つの基礎力を駆使し、周囲の理解を深め、いかに巻き込んで いくか 個人 => チーム => 組織の活動へ コミットメント出来る人を増やす ハムエッグを作るために 鶏さんと豚さんのどちらが コミットメントしているか 豚さんを増やす! Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 23 プロセス改善の参考図書(IPA編) 独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア高信頼化センター 編 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 24 プロセス改善における10の勘所 ~虎の巻編~ 全員が参画すること 明確な目的・目標 を持つこと 関係者間で 認識が共有されること 計画的に行うこと 人が中心になること 現実的に進めること 活動を継続すること 主体性を持つこと 成功を分かちあうこと 事実情報に基づいた 行動をとること IPA 「プロセス改善ナビゲーションガイド~虎の巻編~」から引用 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 25 プロセス改善推進のための知恵 ~なぜなに編~ プロセス改善関係者は“プロセス改善の主役は誰か”を理 解しているか? プロセス改善活動の実施(現場)メンバ全員の合意がとれ ているか? 現場で使っているプロセスを明確にしているか? 性急または大規模にプロセス改善を進めていないか? プロセス特性が異なる組織を十把一絡げにして標準プロ セスを適用していないか? プロセス改善推進者が、積極的に現場に足を運んでいる か? 現場、関係者にスペシャリストとしての自覚を持たせてい るか? Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 26 プロセス改善の推進体制 顧客 会社トップ アセッサ その他の関係者 プロセス改善支援スタッフ プロセスオーナー プロセス改善推進者 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved 改善を推進する現場 Software Reliability Enhancement Center 27 (参考)日本SPICEネットワーク http://www.nspice.net/ 〔目的〕 本コミュニティは、SPICEに基づくプロセス改善推進者及びアセッサーの情報共有のための 交流及びプロセス改善技術の向上の場を提供する。 〔活動〕 (1)勉強会の開催 (2)研究会の開催 (3)広報活動 (4)他機関との連携活動 Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 28 ご清聴ありがとうございました Copyright © 2014 IPA, All Rights Reserved Software Reliability Enhancement Center 29
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