アドホックグループを対象とした 協調作業支援フレームワークの提案と実現

アドホックグループを対象とした
協調作業支援フレームワークの提案と実現
総合政策学部 小松 純
[email protected]
本研究の概要
 アドホックグループに適した協調作業支援環
境を提案、実現する
 P2Pモデルにおける
オフライン同期問題とブートストラップ問題を、
一般的ユーザが利用可能なサービス資源を利用
して解決
 既存P2P型グループウェアでとられている
ユーザによるサーバ的ノード設置や
ベンダ運営のサーバへの依存が不要に
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本研究の目的
 アドホックグループを対象とした
協調作業支援環境の構築方法の提案と実現
 P2Pモデルにおけるオフライン同期問題とブー
トストラップ問題をアドホックグループでの利用
に適した方法で解決する
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アドホックグループ
 アドホックグループとは
 何らかの目的達成のために一時的に構成される
グループ
 ex. タスクフォース、プロジェクトチーム
 比較的小規模で、構成メンバーは流動的
 メンバーが既存組織横断的に構成
 構成メンバーの多様性(地理分散性・時間分散性)
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アドホックグループを対象とした
グループウェアの要件
 低い初期コスト
 グループの存在期間が短いため
導入に掛かるコストが問題
 可用性の維持
 常に利用できる必要がある
 機密性の維持
 扱う情報の機密性が守られる必要がある
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既存のグループウェア
 クライアント/サーバ型
 例: Lotus Notes等のグループウェア
 サーバ設置が必要(大きな初期コスト)
 ASP型
 例: Intranets PRO等のサービス
 外部のサービスプロバイダへの依存
(可用性・機密性に問題が生じる可能性)
 Peer to Peer型
 例: Groove Virtual Office、アリエル エアワン
 サーバ設置せずに利用可能
 ユーザ自身のPCにインストールする形態
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既存のグループウェア
C/S型
ASP型
P2P型
大きい
小さい
小さい
可用性の維持
○
△
○
機密性の維持
○
△
○
要件
初期コスト
Peer to Peer型のグループウェアが
アドホックグループでの利用に最も適している
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既存P2P型グループウェアの問題
 しかし実際には・・
純粋なP2Pモデルは問題ないが
既存のP2P型グループウェアは
アドホックグループでの利用に適しているとはいえない
 なぜならば
 サーバのような固定的ノードの存在を想定(大きな初期コスト)
 ソフトウェアベンダが運営するサーバに依存(可用性・機密性に
対する不安)
「オフライン同期問題」と「ブートストラップ問題」の
解決のために、サーバ的ノードが必要
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オフライン同期問題
A
?
?
B
ノードがオフラインに
なることによって、各
ノードが認知する情報
の一貫性が崩れる
E
C
D
9
ブートストラップ問題
A
203.178.139.aaa
ど
こ?
B
E
202.3.141.bbb
ノードが、ネットワーク
に接続しようとしたと
きに、まずどこに接続
しに行けばよいかわ
からない
61.195.64.eee
C
218.142.202.ccc
D
133.27.132.ddd
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問題解決のアプローチ
 既存P2Pモデルの問題
 オフライン同期問題とブートストラップ問題を
ユーザが設置するサーバ的ノードや、
ソフトウェアベンダーが運用するサーバを用いて解決
 本研究のアプローチ
 一般的なユーザが利用可能なサービス資源を用いた擬似
ノードによって、
オフライン同期問題とブートストラップ問題を解決
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本アプローチのモデル
リソースの更新内容をこのモデル
のメッセージ配送によって
全てのノードに伝達することで
オフライン同期問題の解決を行う
B
リンク
メッセージ
ノードB
(オンライン)
ノードBの
擬似ノード
A
擬似ノード
ノードA
(オンライン)
C
ノードの接続状態変化をこのモデ
ルのメッセージ配送によって
全てのノードに伝達することで
ブートストラップ問題の解決を行う
メッセージ
蓄積中継リンク
ノードC
(オフライン)
ノードCの
擬似ノード
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本アプローチの優位性
 ユーザ自身によるサーバ的ノード導入が不要
 ソフトウェアベンダ提供サーバへ依存しない
初期コストが低く、外部サービスへの依存もないため
アドホックグループでの利用に適している
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フレームワークの設計と実装
 モデルをグループウェアのためのフレーム
ワークとして設計・実装
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擬似ノードを実現する一般的サービス資源
WWW
IM(jabber)
メール
一般性・普及度
◎
△
◎
情報の蓄積
△
○
○
ユーザ識別・認証
△
◎
◎
要件
擬似ノードを実現する一般的サービス資源としてメールを用い
フレームワークの設計と実装を行う
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アプリケーションの設計・実装
 実装環境
 Java(J2SE 1.4) + SWT/JFace
 機能
 プレゼンス共有
 テキストチャット
 ファイル共有
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評価
 動作試験によって、本実装が「オフライン同期
問題」および「ブートストラップ問題」を解決で
きるか確認
インターネッ
ト
 試験環境
 1つのLANセグメント
 3つのノード
 インターネットに接続
HUB
A
B
C
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試験方法
 問題が発生すると思われるシナリオに基づいて、
ノードのネットワーク接続状態を遷移させた場合の
挙動を確認する
ブートストラップ問題解決の確認のためのシナリオ
オフライン同期問題解決の確認のためのシナリオ
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試験結果
 想定した全てのケースにおいて
ブートストラップ問題が解決されることを確認した
 想定した全てのケースにおいて
オフライン同期問題が解決されることを確認した
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本研究の成果
 アドホックグループを対象とした協調作業支援
環境について要件を明らかにした
 オフライン同期問題・ブートストラップ問題を解
決する、一般的なサービス資源による擬似
ノードを用いたモデルを提案した
 モデルをフレームワークとして設計・実装・評
価し、2つの問題を解決できることを確認した
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今後の課題
 評価
 アドホックグループでの利用実験
 既存P2P型の環境との対照実験
 デプロイメント
 ソフトウェアを公開し、ユーザに利用してもらう
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アドホックグループを対象とした
協調作業支援フレームワークの提案と実現
総合政策学部 小松 純
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ご清聴ありがとうございました
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フレームワークが提供する機能





ネットワークアーカイブへの透過的アクセス
ネットワーク状態管理
リンク管理
メールの送受信
メッセージの送受信
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2. 既存の協調作業支援環境
 実現方法と提供形態による分類
提供形態
実現
方法
パッケージ
ソフトウェア
ASPサービス
C/Sモデル
(1) C/S型
(2) ASP型
P2Pモデル
(3) P2P型
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(1) C/S型の協調作業支援環境
 代表例
 Lotus Notes、 サイボウズ
 特徴
 サーバを設置し、
 アドホックグループでの利用
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(2) ASP型の協調作業支援環境
 代表例
 Intranets PRO
 特徴
 アドホックグループでの利用
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(3) P2P型の協調作業支援環境
 代表例
 Groove Virtual Office、アリエル・エアワン
 特徴
 アドホックグループでの利用
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オフライン同期問題
A
?
?
B
E
C
D
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