ケアハウス清水苑会報 “うるおい” (1) 平成23年4月1日 第118号 編集・発行 ケアハウス 清水苑 福井県福井市大森町第7号1番地 TEL (0776) 98 - 5790 FAX (0776) 98 - 5780 http://www.shimizuーen.info Eーmail:info@shimizuーen.info 題字は 小嶋正義さん です 名前 I氏 年齢 74歳 性別 女性 介護度 なし 現病歴 精神病症状を伴う重症う つエピソード キーパーソン:娘 《入居までの経緯》 見学時(2008) 入居時(2009.3) 退去時(2010.12) 移動 車椅子 押し車 自立歩行 食事 自力摂取(刻み) 自力摂取 自力摂取 入浴 機械浴 全介助 一部介助 排泄 紙パンツ 紙パンツ トイレ汚染(+) 自立 (夜間紙パンツ) 整容 一部介助 一部介助 要確認 社交 余暇活動 その他 自分から話しかけた 聞かれた事に返事だ 聞かれた事に返事だ り、積極的に関わりを けされる。 けされる。 持つようになる。 ― 俳句 俳句、ぬりえ、創作、 カラオケなど 入居者の方に冗談を 言ったり、笑顔が増え 初めてお会いした時 移動の手段が車椅子 てくるようになった。 の印象は、あまり話を から押し車に変わっ 意志表示もハッキリし されない寡黙な方。と ただけで、その他変 ており、嫌なことは「イ いうイメージだった。 化は見られなかった。 ヤ」と、言われるよう になった。 H16頃から不安感が強くなり、うつ症状出現にて専門病院入院暦がありました。外泊中に転倒し腰椎 骨折、H17年5月県立病院へ転院されました。入院中にも転倒があり、左大腿骨頚部骨折、骨接合術 が試行されました。その後、うつ症状も続いたが、徐々に軽減し落ち着いて穏やかに入院生活を送ら れていました。うつもほぼ寛解しリハビリに専念しておられました。状況に応じて車椅子や歩行器を使 用されていました。スタッフがお会いした時は、ケアハウスでの生活ができるのだろうか?と、転倒な どのリスク面を考えると、とても不安な状態でした。退院の運びとなったものの、I氏は日常生活に困 難な家の造りと周囲に介護する人間がいない。という事から入居となりました。長女は「リハビリをし、 1人で歩行出来るようになると嬉しいです。」と、言う思いがありました。 《入居当初》 入居の時には、自分で押し車を押しながら不安定な所もありましたが、ゆっくり歩行されていました。し かし、現病のため表情は無表情で、どことなく暗い印象がある方でした。病院からの指示で入浴見守 りが必要との事で、介護保険の申請はしたものの、制度ヘルパーの時間から時間、淡々と言われた ことだけをして、さっさと帰ってしまう…そういう対応が嫌で、結局、うるおいキーパーの利用となりまし た。本人の精神的ケアも含めて、毎日常に苑内にキーパーがいることは安心、いつでも対応してくれ ると言う所が良かったようです。 《入居1ヶ月後》 自分から積極的に話かける事が苦手なI氏に、スタッフもクラブ・行事に参加を呼びかけ、常に他の入 居者の皆様との交遊が出来る環境を作っていきました。最初は、一言、二言の会話だったのも、自分 の意見をしっかり言えるようになり、他の方との会話も普通に出来る状態になりました。眼があうとニ コッと笑い、生活に馴染んでいく姿が手に取るように分りました。 《入居1年後》 押し車、杖なしで歩行されるようになりました。当初の状態が嘘だったかの様に、ご自分で洗濯をした り掃除機をかけたり居室内の整理整頓など、身の回りの事は全て出来る様になりました。生活をされ ていても、とても楽しそうでウキウキしておられました。行事、クラブへの出席率も高く、表情も一段と 明るくなり、スタッフから見たI氏の印象も上品で、社交的な方へと変わりました。保証人である長女も 定期的に来訪され、一緒にランチを食べに行ったり、美容室に行ったり、ドライブに行ったり・・・そして、 長女宅へ外泊されたりと、行動範囲も広くなりました。 それから2年が経ち、2010年12月に1度娘宅へ外泊され、そのまま退去されました。 【Ⅰ氏との関わりを通して】 新しい環境での生活というのは、誰でも不安に感じるものです。特に高齢者は環境への適応力が低いもので、不安も私たちに比べて大きいのではないでしょうか。Ⅰ氏はうつ 病もあり、「自分で何かをしよう」という意欲が著しく減退したままの状態でした。また、自分から「何かをしたい」という意思表示をハッキリされる方ではなかったので、こちらから 積極的に関わり、あらゆる事に参加するよう働きかけたり、キーパーの支援を手厚く付け、スタッフとの関わりを多く増やしていきました。始めの内はけむたいものだったかもし れませんが、関わりを多くにした事で安心感をもたれ、新しい環境での生活に直ぐに適応できたのではないかと考られます。 環境に適応できたことで、“うつ”の症状も抑えられ、毎日が充実した生活を送ることができたのではないでしょうか。さらには、充実した生活を過ごすことで、自分への良い刺激 となり、ADLの改善へと繋がっていったのではないでしょうか。毎月、専門病院での診察でも、I氏の状態は、すごく落ち着いていて良い状態である事。今のまま継続することを 医師より言われていました。 自立した生活を支援するためには、スタッフが積極的に関わって行く事はもちろんですが、その方が理解され、受け入れるまでが大変難しいのです。I氏は持ち前の素直な優し い性格から自立という道が早く開けたのだと思います。 元気になられた今、最愛の娘や孫たちと一緒に生活できる事は、I氏にとっても一番良い事です。本人・長女もまさか、一緒に暮らせるとは思ってもいなかったとおっしゃっていま す。ケアハウスでの生活が、このように在宅復帰への支援に繋がる事は、私達もとても嬉しく思いますし、本来のケアハウスのケアが出来た一つだと思いを噛みしめている所で あります。 ※東北地方・太平洋沖地震・津波の被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。 ケアハウス清水苑会報 “うるおい” (2) ★ 23年度取組と従前との比較 ★ 21年度 22年度 内容 手順 ① 他種施設受託への取り組み ② 平成23年4月1日 23年度 内容 近住、大森区の空き地 ① 食ポリシー 清水苑型生活支援ハウスの クラシカル・基本型ケアハウス ② 健康居室 確立 として 手順 内容 イメージ 最適動線の追及「明るく、楽し 全員参加でみんなの健康食 ① 配食企画 く、元気よく」 食環境(食堂)のレイアウト追求 孤独・退屈の追放⇒アクティ ビティ ② 衛生保全・健康居室・持ち出さな 生活動線探求 い、持ち込まない ③ 研究交流(全国展開) ケア・ゼーレ探訪 ③ 明快スタンダード 明快な責任所在 正しいコミュニケーション ③ 分かりやすい約束・契約明快 ④ 衛生保全 居室導線 ④ 制度資本 見直し⇒リニューアル、清水 苑文化の構築 ④ ⑤ 管財保全 いつでも使える ⑤ 研修交流 全員参画=共感・感激・感動 ⑤ ⑥ 地域ネットワーク みんないっしょに 協働 チーム力の向上 ⑥ (ゼネラルスタッフ-ケアスタッ (コラボレーション) フ-キッチンスタッフ) ⑦ 安全向上 安全報告書の改善運動 ⑦ ストレス解消 更に「明るく、楽しく、元気よく」 ⑦ ⑧ 環境改善 クリーン・快適 ⑧ ネットワーク推進 清水苑型自律生活者受入 清水苑発信、協力関係、賛同 ⑧ 清水苑式福祉普及運動 者を広めて PR大公報 ソーシャルワーク ⑨ A・B室マーケティング トイレタリー改善 ⑨ SSO(ISO) PDCAサイクル、継続的改善 ⑨ ISOとSSOの合体 へ一層の推進 インターナショナルの視点 ⑩ ストレス解消・HR 明るく、楽しく、元気よく ⑩ まち作り(地域充実) ネットワークの形成・参加 ソーシャルワーク ⑥ 正しいコミュニケーション うるおいキーパー・高効率・生活 新福祉事業としてのキー 支援の展開効力 パーワーク 育て!第一流スタッフ、第一流施 生活する人間理解推進 設 チーム協働作業・コラボレーショ ン波及 - CS GS -KS 広場、サロン形成、新しい社会活 今年も明るく、楽しく、元気 動 よく ⑩ 新生活運動の継続、広布 ―中期計画平成22年度講評― 自ずから例年10項目重点項目に軽重努力の差が現れます。戦略的には、「集住施設 (ケアハウス)の生活環境充実」と云う事で、相互密着関連するものの戦術的には②③ ④⑧⑩に傾注されたかたと思います。つまり、 ・新生活運動の開始H22年10月より毎月テーマのもとに入居者住民の<望ましい生活 リズム>を正していく ・生活者<事例研究>とホームキーパーの役割開発の発表H22年8月のうるおいから 継続連載中 ・居室動線の研究により<持ち出さない、持ち込まない>除菌マットの実施 ・居室マップ<居室点検マークシート>により最適生活動線の探求、連日 の居室探訪(おはようチェック)をもとに充実してまいっております。 すなわちグレードアップと共にスケールアップを計ってまいりましたが、や や前者先行の憾がありました。 そして、23年度の展望からはより地に足のついた政策遂行を執り乍ら上の 箇条を深耕していく表記10大項目を推進していこうと云う事です。 CS-GS―KS ☆野坂タツ子さん ◎ 映 画 会 ( 1 2 、 2 6 日 ) ◎ 喫 茶 ( 8 、 1 5 、 2 2 日 ) ◎ ラ ・ ン ・ チ ( 1 9 日 ) ◎ 外 食 デ ー ( 1 4 日 ) ◎ 歩 こ う 会 ( 1 1 日 ) ◎ 懇 談 会 ( 7 日 ) ◎ 花 見 会 ( 6 日 ) H23年1月スタート <食は文化なり>を力強くアピールして行く スタッフの信條最終條の如く、あえてインターナショナルの視点をアピール して参ります。 ・他施設と比較―覧性表現 ・コラボレーション波及推進 ・選択メニューアルバム公開 昭和3年4月1日生 小嶋正義です。 清水苑で元気に 頑張っていこうと 思っております。 皆さん、どうぞよろ しくお願いします。 <野菜類の残食について> 毎食の食事において“残食ゼロ”は清水苑の食の目標であり ます。残食調査を毎食、当番職員が行っていますが、全体の 残食をみると、やはり野菜を使った食物が上位を占めていま す。特に野菜、煮物、和え物、漬物の残食はいつも目立って います。主食と副菜(メイン)とで、食事が終了としてしまう方 もいます。何故でしょうか?味噌汁などの汁物も汁だけ飲ん で、具が残っているという方がいます。 残す理由を尋ねると、『昔から嫌いだから』『硬いから』『噛む のが面倒だから』などなど…色々とありますが、どれを取って も贅沢な理由です。昔から食べないからと言い残す行為、入 れ歯を入れずに硬いからと残すなど、食べ物に対しての感謝 の気持ちはないのでしょうか?今回の大地震を見ても“勿体 ない”とは感じないのでしょうか? 清水苑では冷凍食品は一切使っておりません。新鮮な野菜 のみを使い、手作りにこだわって、毎日の献立ができていま す。私たちスタッフも常においしく食べて頂ける様に努力をし ております。食べやすい様に食材の切り方などの調理工程 のスタンダードを守り、「美味しかった」と、言っていただける よう頑張っています。 (N.T)
© Copyright 2024 ExpyDoc