MICS-21の使用報告

®
MICS21 の使用経験
― ルーチン業務の観点から ―
○藤井恵子1 )・2 ) ,沖永鉄治1) ,寺尾佳介1),永易由香1), 松尾晴美1)
坂田良子1),平林晃1), 高杉敬久3) ,頼岡德在1) ・ 4)
医療法人社団スマイル 広島ベイクリニック1)
医療法人社団スマイル クレア焼山クリニック2)
医療法人社団スマイル 博愛クリニック3)
一般社団法人 広島腎臓機構4)
緒 言
当クリニックは2011年4月1日開院の、現在
透析ベッド数34床の人工透析クリニックである。
人工透析管理システムに東レ・メディカル株式
会社製のMiracle DIMCS21®(以下、MICS21®)
を導入し、コンソール、体重計などと連携させた。
ルーチン業務形態の状況などを踏まえ、これら
システムの使用経験を報告する。
システム概要
RO装置
透析液供給装置
クライアント
HUB
コミュニケーション
サーバー
HUB
Ethernet
コミュニケーション
サーバー
Ethernet
Ethernet
HUB
Ethernet/
無線LAN
ベッドサイドPC
カードR/W
体重計
サーバ
患者監視装置
透析開始から終了まで
MICS21
透析条件
体重データ
血圧
装置データ
透析記録
透析終了後
• 体重を測定すると、患者監視装置に透析条件を自動送信。
• 除水経過・静脈圧・透析液圧・血圧等の装置データを自動取込。
• 透析治療終了後、透析記録を印刷。
透析中の患者監視
選択した患者の血圧・脈拍などの
透析経過、静脈圧・シリンジ残量
などの装置データを確認できる。
※画面上は常に、直近の血圧・脈拍
データが表示されている。
業務形態の状況(透析開始時)
手入力
①除水量の計算・設定
②透析・除水時間の設定
③血流量の設定
④シリンジポンプの設定
⑤透析液温度の設定
自動入力
上記5項目が自動入力のため、コンソールの設定作業が減少した。
これにより、 1患者あたりの透析開始所用時間が約1分短縮した。
(当院関連施設比較)
業務形態の状況(治療記録)
手 書
①体重
②血圧・脈拍
③透析液圧・静脈圧
④血液流量 など
自動出力
上記4項目等が自動出力のため、1時間ごとの定期的な記録作業
が減少した。これにより、1患者1透析あたりの記録作成時間が約4分
短縮した。 (当院関連施設比較)
リスクマネージメント
5.4%
コンソール操作・設定関連
6.2%
6.9%
手技関連
34.6%
指示関連
その他機器の操作・設定関連
10.0%
体重計関連
10.8%
準備物関連
11.5%
項目詳細
14.6%
採血関連
その他
コンソール操作・設定関連
○透析・除水時間設定ミス
○除水量設定ミス
○抗凝固剤注入量設定ミス
○血液流量設定ミス など
体重計関連
○計算ミス
○転記ミス など
人工透析室におけるインシデント・アクシデント内容(H.18年度 博愛クリニック)
透析室におけるインシデント・アクシデント報告は、コンソールの操作・設定
に関する項目が34.6%と1位であり、体重計関連と併せると44.6%と約半数を
占めている。 MICS21®を含めた当院のシステムは、これらのインシデント・ア
クシデントに対し予防効果が期待できる。 (当院関連施設比較)
考 察
昨今の透析医療は診療報酬改定のたび、経営状
況が厳しいものとなっている。このような環境下でも
治療の質を維持、または向上させていくには多面的
な合理化が要求される。
MICS21®を含めたシステム構築は、透析治療にお
いて安全性の向上とともに、業務の省力化に期待で
き、現場の要求に応える事が可能なシステムである
と思われる。
結 語
・MICS21®とコンソール、体重計との連携システムにより、
透析治療中の患者情報集中管理が可能になった。
・透析記録の作成や開始業務なども含め、ルーチン作業
量の減量に寄与している。
・透析治療で起こり得るインシデント・アクシデントに対し
一定の予防効果が期待できる。