既存システムを連携させるこ とによるeラーニング ― MoodleとXoopsのアカウント情報を交換するモジュール ― 筑波大学人文社会科学研究科 飯高敏和 はじめに • 近年においては、レガシーシステムと新システ ムの統合が注目されるなど、旧来の情報資源 を円滑に新システムに流用していくアプローチ の必要性が強調されている。 • Eラーニングにおいても、既存のシステムで用 いられる貴重な資源を有効活用した学習は、 必要であろう。 • そのような必要を意識し、グループ情報と連動 したユーザーアカウント情報の共有によって、 既存のシステム(XoopsとMoodle)を連携させる モジュールを作成したので、それについて本発 表では報告する。 発表の構成 既存のシステムを利用するアプローチ がもつ、社会論的意義を考察。 グループベースでユーザーアカウント をシステム間で共有する手法について の考察。 実際に作成した、MoodleとXoopsのア カウント情報を移植・交換するXoops モジュールについて解説する。 本発表が注目するレガシー・ システムについての議論の特徴 従来 (急激な)移行にともなうリスク レガシーシステム =時代遅れ →単純に更新されるべき に注目が集まる。 →社会制度との類似性 昨今 レガシーシステム =貴重な情報資材 →システム統合等によ り役立てる 社会システムとの類似で見た 場合のポイント • 実際の既存の制度(システム)上でのアクター (ユーザー)のシステム活用実態に沿った形で の運用により、混乱(リスク)を回避する必要。 →ではアクターの実態に沿ったシステムとは:別々のシステムを 統一されたユーザーアカウントで利用できれば、ユーザー側か ら見れば、新しい機能も既存のシステムの延長となることに注 目するもの。 実際に、共通のアカウントの 使用による複数のシステム 連携は、多く存在する。 さらに踏み込んだポイント • 社会制度との関連で考えた場合には、ユーザー の活動実態に沿うためには、個人のアカウントだ けでなく個人の所属するグループも重要。 ・加えて実際のシステムを見てみても、Xoopsのよ うなCMSをはじめとしたWebコミュニケーション ツールの多くは、グループウェアとしての機能も 有している。 →グループ単位でアカウント情報を連動さ せることで、グループ単位で新システム や新機能を円滑に活用できる。 システム連携や移行にともなう リスク システム自体を改造する手間やシ ステム改造に伴うバク発生 システムの間でユーザーアカウントのみを共 有することの有効性。この場合、システムを実 際にはいじらなくても、ユーザー側から見れば、 システムは連携している。 利用環境の変化に伴う、利用 者側の混乱 グループも含めて連携させることで、より従前の システム利用に近い状況で統合(追加)された 機能を用いることで、混乱を防ぐ。 実際のシステム連携にあたって ユーザーアカウント グループデータの連携 改造部 既存システム1 改造部 既存システム2 システムを部分的に改造して、システム外の共通のアカウント データなどを流用する場合が多い。 →うまく扱わないと、リスク1(改造にともなうリスク)を回避できない。 なるべく既存のシステムを改造しないほうがよい(個別のユーザー アカウントを最小限の改造で共通化する手法の開発は進んでい 改造にともなうリスク回避のために • 基本的に、既存システムの内部を改変しな いことが一番の解決策 →既存の部分をいじらずに、つまり既存の機能 の動作に影響しないように、システムを拡張す るものとして、システムの標準の拡張モジュー ルがあるが、これを用いて既存システムを連携 させるのが発表者のアプローチ。 →管理者がサーバーを操作するのではなく、モ ジュール化によって、アプリケーションの側から の操作で連携できるようになる(手軽さで、連携 の手間という意味でのリスクを回避)。 Eラーニングにおけるアカウント 共通化の意義 • Xoopsのように、一般的なグループ活動を支援する ツールとeラーニングツールを、コースごとに連動す ることで、コースメンバーの授業外でのつながりを 強化できる。 • 一般的に用いることのできる、非eラーニングのシ ステムを、卒業・修了後も利用可能にすることで、 在学中の教育の効果を長期的に測定する試みが 容易になる。←共通のアカウント情報があるため XoopsとMoodle連動の概念図 • 以下のようにXoopsの標準モジュールを用いて、 アカウントを共通化している。 Xoopsの標準モジュー ルを用いた、システムの 連携 sylph 運用の概念図 • 卒業・修了後のことも考えたシステム運用。 学外でのコミュニ 1.OB・OGなどとのネットワーク ケーションを活発に の構築が円滑に運ぶ 2.Xoopsの調査モジュールなど を用い、教育の効果を長いス パンで確認 XoopsとMoodleのデータ連動 グループとユーザーの間に関連データをおいている点では、両 者は共通するが、Moodleの場合は異なる関連データを持つこと で教員と生徒を区別する。 実際のデータ管理 • データの管理は、Xoopsの標準モジュール上か ら行うことができ、システム連動に伴うコストが 軽減されている。 既に共有されてい るグループ・コース 共有されていな いグループ・コー ス。ボタン操作で 共有できる。 実際のデータ管理2 • グループ・コースごとのメンバーを共有する際には、 教員と生徒を分けている。教員をXoopsに移植す る際には、権限のあるユーザーとして移植。 実際のデータ管理3 • ユーザデータの移植は、次のような流れで行われる。 中間データ有 Xoopsの場合 中間データ無 Moodleの場合 Moodleでは、教 員と受講者で異 なる関連データ。 改善されるべき点 • 現状では、アカウント情報を単純に交換するだ けのものになっており、片方のシステムでの変 更は、自動的に他方のシステムに反映されない。 →利用者の意見をうかがい、反映の方法を探るつ もりであったが、利用者の数が少ないため難航。 (ともあれ、XoopsテンプレートにJavaScriptを挿 入して、アクセスされる度にチェックする手法を 考えている。) →利用者を増やすべく、仕様をよりユーザーフレンドリーにする一方 で、同様の方式でOpenPneとXoopsを連動させるモジュールも配布
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