CDF RUNⅡソフトウェアの研究 高嶋研究室 物質科学専攻4回 村山 茂 はじめに 本研究では、 アメリカのフェルミ国立加速 器研究所で研究されているCDF RUNⅡ ソフトウェアを用いて、 CDF RUNⅡプロ ジェクトのシミュレーションを行うことを目 的とした。 CDF RUNⅡプロジェクト • 2001年3月からフェルミ国立加速器研究所 で、ヒッグス粒子の発見を目的としたCDF RUNⅡプロジェクトが行われる。 • テバトロンを用いて重心系2TeVの陽子ー反 陽子の衝突実験を行い、 3年で2000pb‐1の イベントを貯める予定である。 ヒッグス粒子 粒子間にはたらく主な相互作用は次の3つである。 • 電磁相互作用 (光子) +粒子・ W‐粒子・Z0粒 (W • 弱い相互作用 子) • 強い相互作用 (グルーオン) これらの相互作用はゲージ粒子のやりとりで表 され、このようにして相互作用を記述する方法は ゲージ理論と呼ばれている。 ヒッグス粒子 • このゲージ理論はゲージ不変性という性 質をもち、ゲージ粒子に質量があるとゲー ジ不変性は成り立たなくなる。 • そこで、ヒッグス場というスカラー場を導入 することで質量を付加する。 ヒッグス粒子 ヒッグス場を導入すると、上の図のように 粒子はヒッグス場から相互作用をうける。 この相互作用が質量に相当すると考えら れる。 ヒッグス粒子 • ゲージ粒子の質量を付加するためにヒッグ ス場を導入することをヒッグス機構という。 • ヒッグス機構が成り立つためには少なくと も一個以上の中性スカラー粒子となるヒッ グス粒子が存在しなければならない。 ヒッグス粒子 • 軽いヒッグス粒子は、陽子と反陽子との衝 突によりW粒子やZ粒子に付随して生成さ れて、bクォークと反bクォークとに崩壊する。 • CDFにおいて検出されるのはbクォーク ジェットである。 CDF RUNⅡソフトウェア • PYTHIAというプログラムを用いると反応させる 粒子をつくり、さらにGEANT3というプログラムを 使って測定器を設定してシミュレーションを行うこ とができる。PYTHIAでは、どのような粒子のシ ミュレーションを行うかを指定することができる。 • 最終的な結果はROOTファイルとして解析を行う ことができる。 CDF RUNⅡソフトウェア • ヒッグス粒子の崩壊ジェットを観測すると、 W粒子の崩壊ジェットも検出されるために 解析が難しくなる。 • まず崩壊ジェットが2ジェットとなるZ0粒子 (質量90Gev)のシミュレーションを、フェルミ オンと反フェルミオンの衝突により生成さ せるという過程で100イベント行った。 紫:電磁シャワー 青:ハドロンシャワー 緑:μオン検出器 内側の5層がSVX 黒線は粒子の飛跡 カロリメーターで測定されたエネルギー分布 E :エネルギー φ:ジェットの方向 η=-ln tan(θ/2) 1 ジェットの入射粒子に垂直な 成分のエネルギー 2 Z0粒子の不変質量分布 3 各イベントのジェットの数 紫:電磁シャワー 青:ハドロンシャワー 緑:μオン検出器 黒線は粒子の飛跡 カロリメーターで測定されたエネルギー分布 E :エネルギー φ:ジェットの方向 η=-ln tan(θ/2) 1 ジェットの入射粒子に垂直な 成分のエネルギー 2 Z0粒子の不変質量分布 3 各イベントのジェットの数 まとめ • フェルミオンと反フェルミオンの衝突により 生成するZ0粒子の崩壊ジェットの観測と、 その質量分布のグラフ化とを行うことは できた。 • 今後はbクォークジェットだけを検出するよ うにフレーバータギングの方法を調べ、シ ミュレーション過程に付け加えて、ヒッグス 粒子のシミュレーションを行う必要がある。
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