電離圏イオン流出現象

分子イオン上昇流と
電離圏イオン過熱/加速機構
山田学,渡部重十(北大・
理)阿部琢美(ISAS)
佐川永一(CRL )
A.W. Yau(カルガリー大)
数Reで観測される分子イオン

どうすると分子イオンが
数Reに存在できるのか?
– どこが供給源?(高度,
MLT)
– どのように運ばれる?

?
確実に地球起源
– 電離圏/磁気圏間の物質輸
送トレーサーとなりうる

どのような役割を果たし
ているのか?
(Chappel et al., 1987)
これまでの観測例
Greyish-blue Aurora:
Vallance Jones[1960] 等古くから4001000kmでの発光がしられている
粒子観測
DE1衛星による分子イオンの観測例.
DE1:あけぼの衛星 etc.:
(Craven et al., 1985)
数千km~数Reで分子イオンを観測
光学観測
MSX衛星
Romick et al.[1999] 千km以上に
N2+の発光が広がったのを確認
(upflow?)
Romic et al.(1999)
本研究の目的
いままで詳しく研究されてこなかった分子イオ
ンの振る舞いを調べることでイオン加熱・加速
高度に新たな制限を加える.
行なったこと
 発生領域の決定
– 1992~1999までのSMS観測より発生領域(MLT,
InvLat)の傾向を調べる
 分子イオンの供給高度の推定.
– 手法: 分子イオンを含めた多種イオン系で密度・速度
プロファイルを数値的に計算し,これまでのあけぼの
/SMS観測結果と比較.
SMS Mass Scan mode
観測イオン種:
1~64 AMU/q
 観測エネルギー:
0~25eV(8step)
 ピッチアングル
45゚×8step

SMS mass scan mode サマリープロット
観測されるイオンの種類

Mass Scan Mode観測
結果
– 大抵観測される
• H+,He+,O+
– 場合により観測される
• D+ or He++, O++
(カスプなど特定の場所?)
•
N2+,NO+,O2+
(主に磁気活動高い場合?)
あけぼの衛星SMSによる分子イオンの観測例.
各質量でのカウント積分値.
分子イオンアップフロウ発生領域
 使用データ:
– 1992~1999 の mass scan mode のデータ
 カスプ領域付近,夜-朝側オーロラ領域で観測さ
れる.
 磁気活動度が活発(Kp>6)での観測がほとんど
 太陽活動が低いときでも観測される.
1989-1990での発生分布(Yau et al., 1993)
1992-1999での発生分布
分子イオンアップフロウのKp依存性
 頻度(何%??)
 Fast scan のH+密度から推定される分子
イオンの密度

1次元極域電離圏モデル

計算結果
供給高度の推定:フラックス比
分子イオンのフラックス比 f(N2+) ~
~ f(NO+) > f(O2+)
Craven et. al.(1985) DE1衛星,Yau et al.(1993) :あけぼの衛星の観測結果による
フラックス比 ~
~ 密度比 を仮定し分子イオンの供給高度を推測.
高度300~400km前後でO2+イオンの密度が他の分子イオン密度
を下回る. 多くの観測でN2+が最大であることからこの高度より上空
に加熱・加速域が存在すべき.
SMSの観測でO+イオンと比較してN2+イオンのカウント数
は2~3桁小さい
分子イオン供給高度の上限は800~1000kmより下であると推定.
供給高度の推定:ピッチアングル
1989/11/13 のイベント
– 観測高度 5000km
– 分子イオンがコニクス He+
になっていた.
– 磁気モーメントとエネ
+
ルギー保存を仮定し N2
ピッチアングルから加
熱高度を推定.
O+
Log(Count)

H+
Ion
Conic angle
到達時間
加熱域高度
N 2+
66 deg
274 sec
4387 km
1.1 %
O+
62 deg
226 sec
4264 km
11.2 %
O++
57 deg
265 sec
3768 km
0.9 %
He+
52 deg
143 sec
3424 km
2.3 %
H+
43 deg
85 sec
2547 km
84.6 %
見積もられたN2+イオンの
加熱高度は高すぎる
理由として
1.
分子イオンは比較的低速で
上昇.
2.
何段階かの加熱・加速が行
なわれた.

密度比
分子イオンアップフロウ発生シナリオ
電離圏上部(500km程度)に存在する分子イオンが
1000km以上に輸送される.
1.
–
–
2.
スケールハイトの変化(オーロラ電子, フリクショナルヒーティ
ング)
上空の軽いイオンが急激に減少
1000km以上の高度で起きている波動(bloadband
Low-Frequency wave が有力か?)によって更に加熱
まとめ
分子イオンを供給している高度

–
–



成分比より500km以上
密度から1000km程度以下
1000km~5000kmの間で加熱/加速を受けている
分子イオンアップフロウの発生領域はカスプ,夜側がメ
インである
分子イオンアップフロウの密度は3×104~103ions/m3
程度
今後の課題
•エネルギーの式等を加えより現実的なモデルへ改善
•分子イオンアップフロウとプラズマ波動の関係を調べる
まとめ
極域電離圏からのイオン流出量
Akebono/SMS Fast Scan
Mode観測結果



流出量は太陽活動に関係
磁気活動が活発になると流出
領域低緯度側へシフト
H+:O+≈1:2 は必然?
内部磁気圏観測

粒子観測(DE 1,AKEBONO,
GEOTAIL, POLAR, FAST, CLUSTER, …)

光学観測
IMAGE衛星
He+ 共鳴散乱光(30.4nm)
を用いたプラズマポーズの観測
N2+ 共鳴散乱光観測
粒子観測から様々な種類のイオンが流出していることがわかっており
N2+の共鳴散乱光などでイオンの動きをイメージングできるかもしれない
Romic et al.(1999)
低エネルギーイオンを計測すると

そもそもどの程度存在し,どのような役割
を果たしているのかのか未知である.

電離圏から磁気圏への物質輸送ルートを
しる手掛かりとしてHe+,O+(あるいは分子
イオン)をトレーサーにできる.
Akebono/SMS Mass Scan Mode
観測結果