ミクロ経済学 (1) ミクロ経済学とは何だろうか 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2015年4月13日 経済の変化と経済学 豊かな日本,長寿の日本人 農業 → 産業革命 → 工業化 → 情報化 技術革新や経済制度の改革で私たちの生活 は大変豊に 経済の変遷を語るのが経済学? 為替レートや日経平均株価の分析? 経済を上手く運営していく原理の探求 2015/4/13 ミクロ経済学 1 2 経済学の原理 時代や場所を越えて経済を動かす原動力は不変! 原則・常識を守って運営すると先進国 日本,アメリカ合衆国,ドイツ,イギリス,フランス,イタリア ,カナダ, ロシア (G8, Group of Eight) 経済運営が経済法則に背くと悲惨な結果に 北朝鮮,アフリカ諸国などの途上国 大事な自分の人生にも経済学は有用 経済法則を踏まえて行動する必要 2015/4/13 ミクロ経済学 1 3 経済学とその存在理由 人間はいつかは死ぬ.有限の人生をどう生きるか 経済学は個人や企業の経済的選択に関する学問 経済問題があるからこそ経済学が存在 「できること」と「できないこと」がある 利用可能なモノやサービス,機械設備,資金,時 間は限られている どうやって上手くやっていくか 2015/4/13 ミクロ経済学 1 4 資源の希少性 経済の問題は希少(キショウ)性から発生 我々の欲望を満たすほど十分に財やサービスが存 在していない.資源は希少である ある物を食べるには他の何かを犠牲にしな ければならない これが経済学の出発点 資源は天然資源を指すがもっと広く用いる パラダイスや濡れ手に粟の大もうけはない 経済学は国際的に通用する学問 2015/4/13 ミクロ経済学 1 5 みんな賢くお買い物をする 洋服を買う時にできるだけ自分に合った可 愛い服を買おうとする.持っているお金で できるだけたくさん買えるよう工夫する 買い物の時にぼんやりとしていない お母さんはバーゲンで血眼になって掘り出 し物を探してはいないか? 好みにあった安いモノを買おうとする賢さ を持っている 2015/4/13 ミクロ経済学 1 6 企業の目的は何だろうか? 企業のキャッチコピー お客様は神様です お客様に心から満足していただけるために ではなぜ無料で配らないのか? 企業の目的は利益(利潤)の追求 競争は価格が低く,質の高い商品を提供させる 就職ランキング2005文系でJALは一位だった 企業イメージに騙されてはいけない! 2015/4/13 ミクロ経済学 1 7 アルバイトを考える できるだけ条件が良いアルバイトを探す 時給,条件,家や大学からの近さ アルバイトは良い社会経験になるという意見 しかし,時給0円で働きますか?みなさんは 企業と同じようにあるものを売っている 自分の時間あるいは労働を企業に提供して 対価(=アルバイト料)を受け取っている 企業に自分の労働を売っている 2015/4/13 ミクロ経済学 1 8 なぜ大学で経済学を学ぶのだろう 高校を卒業して就職することも可能 入学金や授業料の出費があるにも関わらず進 学した理由は何だろうか? 高卒よりも大卒の方が給料が高い 皆さんは企業行動と似ていることをしている タイ焼き屋が店舗を拡張,企業が工場を建設 する事に似ている 今の利益をあきらめて将来の高い利益を目指す 2015/4/13 ミクロ経済学 1 9 我々は利己的だが,それがよい 皆利己的だ!世の中汚い? 「見えざる手」 (アダム・スミス『国富論』1776年) 我々が自分の食事を取るのは,肉屋や酒屋やパ ン屋の博愛心によるのではなく,彼ら自身の利 害関心に対する彼らの関心によるのである. 「私人の悪徳は公共の利益」 (マンデヴィル『蜂の寓話』1714年) 利己心に突き動かされることで公共の利益がか えって増進される.この発見から経済学の誕生 2015/4/13 ミクロ経済学 1 10 トレードオフ 家でゴロゴロすると大学では勉強はできない 良い就職をするためには勉強しなければなら ない=今遊ぶのを諦める タイ焼き屋の店舗拡張にはお金が必要 つまり,ある物を多く手に入れるには,他の 何かを諦めなければならない状況や関係 これをトレードオフと言う ある一つのことに資源を多く使えば他の 物に使える資源は少なくなること 我々はすべてトレードオフに直面している 2015/4/13 ミクロ経済学 1 11 トレードオフ/2 休日に音楽を聴くか,映画を見るか 政府は減税するか,子ども手当を給付するか 値段の高いコンビニでなぜ買い物? 安売りスーパーに行けばもっと安く買える 希少性のために我々はトレードオフに直面せ ざるを得ない この世は天国ではない 個人,企業,政府,その他の組織にすべて当 てはまる真理 2015/4/13 ミクロ経済学 1 12 経済問題は幅広い 自分自身の経済問題,卒業後の進路 企業活動,アルバイト,大学での教育 外国と比べ日本は上手くいっている理由は? 経済を上手く機能させるためにはどんな方策 があるだろうか? あるいは何ができないか これらの問題解決のヒントを学んでいきます 2015/4/13 ミクロ経済学 1 13 今できない事を将来できるようにする 理想のプロポーションのため運動やダイエット 夏に留学するためアルバイトしてお金を貯める 今を我慢して将来の良いことを実現する 投資(とうし) 工場の建設,機械設備の購入,企業を買収 将来の生産能力の拡大のために現在の資金を投じ る活動 労働・工場・機械設備のように生産のために用い られる財やサービスを投入物または生産要素という 株式を購入することも投資という 2015/4/13 ミクロ経済学 1 14 まさかのために 朝バナナ,マイクロ,ダイエット食品etc ダイエットしたが効果がない 明日の天気,株価,将来は正確に予測が不可能 何が起こるか分からないことをリスクがあるという 投資の成果は確実に得られるとは限らない 釈迦が指摘した逃れることのできない事: 生,老,病,死 何もしなくてもリスクは存在 積極的に自分に投資しリスクを回避し幸せを掴め! 2015/4/13 ミクロ経済学 1 15 賢い意思決定のまとめ 二つの忍耐が人生で必要 今できないことを将来できるようにするために投資 する 何が起こるか分からないリスクに気をつけろ 2015/4/13 ミクロ経済学 1 16 交換 人は一人では生きていけない 新潟で取れたお米を食べる 北海道産のサケを食べ フランス製のバックで通学 トレードオフは他人との役割分担を促す 自分にできない事を他人にやって貰う 取引によりできる事に変える 様々な人々が様々な財を作ってそれを交換 2015/4/13 ミクロ経済学 1 17 自発的な交換 利己的でも経済活動が上手く機能している要因 一言で言うと市場における自発的交換があるから 自分の労働力を売って所得を得て好きな物を買う 売買契約は強制的に結ばれてはいない 自分の創意工夫で豊かに.売り手と買い手は勝者 身分制社会や社会主義経済が上手くいかない理由 は自発的な交換ができないから 2015/4/13 ミクロ経済学 1 18 社会が豊かになる鍵=分業 アダム・スミス (経済学の創始者)のピンの例 (『国富論』意訳) 技能を身につけていないピン作りの職人は,精いっ ぱい働いても,おそらく1日に1本のピンを作ること もできなかろうし,20本を作ることなど,まずあり えないであろう.ところが,現在,この仕事が行われ ている仕方をみると,作業全体が1つの特殊な職業で あるばかりでなく,多くの部門に分割されていて,そ の大部分も同じように特殊な職業なのである.ある者 は針金を引き伸ばし,次の者はそれをまっすぐにし, 3人目がこれを切り, (中略),ピンを白く光らせるのも ,また別の仕事である. 2015/4/13 ミクロ経済学 1 19 経済学の基本問題 利己的な個人が自発的に特定の作業を行い 不得意なことは他人に任せる 自分の成果と欲しいものを市場で交換 そこで疑問が出てくる 1. どのような財がどれだけ生産されるのか 2. 財はどのように生産されるのか 3. 財は誰に与えられるか 4. 誰がこうした経済的決定を行うのか 2015/4/13 ミクロ経済学 1 20 コンビニエンスストアーの例 駅前のビルのオーナーが空きスペースをどうする か考えている コンビニを出店することを決意 食料品メーカーが中国に工場を建設 多くの商品を作る コンビニ会社が商品を取り揃え,運輸会社が輸送 学生がコンビニでアルバイトする 駅を利用する人々がコンビニで物を買う 2015/4/13 ミクロ経済学 1 21 問い コンビニの例で4つの問題のどこに当てはまるか ? 1. 種類と数量:多くの商品 ,取り揃え 2. 方法:中国に工場,コンビニ出店 3. 配分:駅前で物を買う人々,学生アルバイト 4. 意志決定:全員自分の意志 オーナーが儲かり,そして駅前が便利になった 2015/4/13 ミクロ経済学 1 22 見えざる手により社会の利益が高まる アダム・スミス『国富論』 生産物の価値が最も高くなるように労働を振り向け るのは,自分の利益を増やすことを意図しているからに すぎない.だがそれによって,その他の多くの場合と同 じように,見えざる手に導かれて,自分がまったく意図 していなかった目的を達成する動きを促進することにな る.自分の利益を追求する方が,実際にそう意図してい る場合よりも効率的に,社会の利益をたかめられること が多いからだ. 2015/4/13 ミクロ経済学 1 23 見えざる手と公共の福祉 我々は利己的である コンビニの店長も利用者も自分のことを優先 各個人が思い思いに決定を行っている 何をするにもトレードオフの関係が出てくる 他人との財やサービスの交換の必要 市場の「見えざる手」によって利己心による 活動が公共の福祉を促進させる原動力となる ミクロ経済学では見えざる手をさらに分析 2015/4/13 ミクロ経済学 1 24
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