最尤推定法について 経営学研究科 M1年 学籍番号 speedster 最尤推定法(MLE) • 2項分布の最尤推定 • 正規母集団の平均μのMLE • 正規回帰モデルにおける母数のMLE • 最尤法と積率推定法(MLE対MME) • 最尤推定とベイジアン推定 2項分布の最尤推定法 • コインを10回投げて4回表が出た時の表が出る 確率πのMLEを求める。 • π=0.1を仮定してみる P(s)=(ns)πs(1-π)n-s = (104)×(0,1)4×(0,9)6=0,011・・・(1) • 仮定が正しいものだとすると、観測された標本が 得られる確立は1%に過ぎないことが判明する。 2項分布の最尤推定法(2) • 同様にπ=0.0~0.8までを仮定して計算した結 果、π=0.4が尤もらしいといえる(テキスト P374 表18-1) • ちなみに(1)式は10と4が固定されてるためπが 唯一の変数である。 ⇒尤度関数とする。 L(π)=(104) π4(1-π)6・・・(2) • 一般には L(π)=(ns)πs(1-π)n-s・・・(3) 2項分布の最尤推定法(3) • 最尤推定値 ⇒(2)式の尤度関数を最大にするπの値 (この場合 π=0.4) • 一般に2項分布のπのMLEは(3)式を微分すること で常に標本比率Pであることが証明される。 • 微分についてはホワイトボードで。 正規母集団の平均μのMLE • 母集団N(μ,σ2)から標本(X1,X2,X3)を抽出。 ⇒未知のμを見つける • 母集団は正規分布⇒Xを観測する確立は (18‐7)式になる。 • X1,X2,X3が独立であると仮定 ⇒同時確立は (18‐11)式に、尤度関数は (18‐12)式になる。 • μのMLEは(18‐12)を微分することでXであるこ とが求められる(微分はホワイトボードで) 正規回帰モデルにおける母数のMLE • Xによってμを推定する⇒最小2乗の単純な特殊 ケース • また、XはMLEである ⇒最小2乗推定量は回帰モデルに適用してもMLE であるか? • (12-3)式においてMLEを用いてα、βを推定するこ とは観測された標本を生成する可能性がいかなる 値より大きいα、βを求めることを意味する。 正規回帰モデルにおける母数のMLE(2) • 一般に大きさnの標本を得ると仮定すると、観測 標本の確立を知る事が目的となる P(Y1,Y2,・・・,Yn/α,β) • それは母数α、βの可能な値の関数として表され ている。 • Yの値は独立⇒それぞれの確立の積を求めれ ばよい。⇒(18-15,16,17)式が得られる。 正規回帰モデルにおける母数のMLE(3) • (18-17)式において、α、βは指数関数において のみ見られる。 • 負の指数を含む関数を最大にするには、指数の 大きさを最小にすればよい。 • 最尤推定値は Σ[Yi-α-βxi]2 を最小にするα、βを選択すればよい。 • これは最小2乗推定値a,bを選ぶ事に等しい =正規回帰モデルでは最尤推定値は最小2乗推 定値と等しいといえる。 任意の母集団からの任意の母数の最尤推定法 • 標本(X1,X2,・・・,Xn)が確立分布p(X/θ)の母集団から 抽出される。 • Xiは独立に確率分布p(Xi/θ)をもつ。 同時確立は P(X1,X2,・・・,Xn/θ)=p(X1/θ)p(X2/θ)・・・P(Xn/θ) n = p ( Xi /θ) i 1 n これをθについての尤度関数 p ( Xi /θ) L(θ)= i 1 という。最尤推定値はこれを最大にするθの値である。 最尤法と積率推定法(MLE対MME) • 任意の母集団比率を対応する標本比率で推定する 方法 ⇒積率推定法(標本比率、平均に基づいて母数比 率、平均を求める方法) • 両者はしばしば一致するが、時に異なる時もある。 ⇒この時はMLEの方がMMEよりも優れている。(特 に大標本の場合) • 三つの漸近的性質(テキスト P384) • ただし、小標本に関してはMLEが必ずしも最良とは いえない。 最尤推定とベイジアン推定 • (a)単純なケース • 二つの値しかとらないという母数θの最尤推定値を 見つける。 • 最尤推定法 L(θ0)> L(θ1) すなわち、 P(X/θ0)> P(X/θ1) となる時 推定値としてθ1よりθ0を選択する。 最尤推定とベイジアン推定(2) • ベイジアン推定 • リグレットが等しく、事前確立が等しいとすれば、 P(X/θ1)/ P(X/θ0)<1 すなわち、 P(X/θ1)<P(X/θ0) となる時 θ0を採択する、という事に帰着する。 • これはMLE基準と同一の解答が得られる。 リグレットとは・・・ • 例:二種類のカブトムシ(a0:無害 a1:有害) 新しい地方でカブトムシが見つかったとき、このカブトムシ は害虫か?無害か? ⇒殺虫剤をまくか、まかないかを決定。 • 殺虫剤をまかない時の損失・費用 ⇒無害の時=5 有害の時=100 • 殺虫剤をまく時の損失・費用 ⇒無害の時=15 有害の時=15 カブトムシが無害の時のリグレット 15-5=10 カブトムシが有害の時のリグレット 100-15=85 事前確立とは・・・ • ある地方での晴れと雨の確立が60%、40%であ ると想定する。(事前確立) 天気予報機の導入 ⇒10%の確立で雨の時「晴れ」と予想 ⇒20%の確立で晴れの時「雨」と予想 • 機械が「雨」と予想した時の天気の確立は? .4×.9=.36(雨の確立) .6×.1=.12(晴れの確立) 100%に換算すると、雨=75% 晴れ=25%(事 後確立) 最尤推定とベイジアン推定(3) • (b)拡張:連続なθ • θは連続な値域を動く。θについての事前知識が全く 無いときは等確率 p(θ)=c (一定) を用いる。 • さらに、0‐1型損失関数を選択するものとすれば、事 後分布は最頻値によって推定される。 ⇒テキスト P385,(18‐27,28)式 ※0‐1型損失関数に関してはテキスト P315~316 を参照 最尤推定とベイジアン推定(4) • (18‐28)式において最頻値を見つけるためのθを捜 す。式の[]内はθに依存しない ⇒p(X/θ)を最大にするθの値を求める。 =古典的な最尤法の定義 • 0-1型損失関数と「等確率」事前分布を用いるベイ ジアンと同じ結果を得ると結論。 • 両者とも容易に正当化することはできない ⇒最尤法をあまり褒めたことにはならない。 ちなみに・・・ • p(X/θ)が単峰で対象なら、平均、最頻値、中央値 が一致して最尤法は3つの損失関数のいずれかを 用いたベイジアン推定法と一致する。 • 最尤推定法は大標本では魅力ある特性(テキスト P384)を持つが、小標本では時に奇妙な結果を残 すことがあるため、注意が必要である。 終わり
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