関西大学 橋本ゼミ 「年金改革シミュレーション」

年金改革シミュレーション
年金改革における主な問題点
• 世代間不公平
• 国民年金の空洞化
• 第三号被保険者の問題
負担給付比率のシミュレーション
• 負担給付比率とは…
年金給付額/年金負担額
• 1930年生まれ、1950年生まれ、1970年
生まれの人の年金負担給付比率を厚生労働
省による改革案をもとにした1・2・3案につい
て見てみる。
厚生労働省による改革案
• 1案 現行制度の給付設計を維持する案保
険料率を34.3%にし給付水準は現行を維持
• 2案 厚生年金保険料率を年収の20%にとど
める案
保険料を20%にし給付水準を2割カット
• 3案 厚生年金保険料率の現状程度に維持
する案
保険料率は維持し給付額のみを4割削減
年金負担額
• 各世代各年齢時所得×その年の保険料率
• これを23歳から40年間足し続けたものが
生涯年金負担額
世代ごと平均所得推移
700
600
500
1930年生まれ
1950年生まれ
1970年生まれ
400
300
200
100
0
28 33 38 43 48 53 58 63 5 10 15 20 25 30 35 40 45
昭和・平成
• 家計調査年報より作成
厚生年金の給付
• 基礎年金+報酬比例部分
• 基礎年金はおよそ年額80万円
• 報酬比例部分の計算式
平均標準報酬月額×乗率×加入月数
×物価スライド率
平均報酬月額とは
• 年金加入者が厚生年金加入中に受け取った
月給(標準報酬月額)を現在の水準に評価し
直して全期間の平均を算出したもの
• 月給×標準報酬再評価率
参考:報酬再評価率の推移
16
14
12
再
評
価
率
10
8
6
4
2
0
32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 1
年(昭和、平成)
標準報酬再評価率の推移
3
5
7
9 11 13
•
•
•
•
•
•
•
•
第一案による改革案
1930年生まれ 2.90
1950年生まれ 0.5
1970年生まれ 0.32
第二案による改革案
1930年生まれ 2.80
1950年生まれ 0.46
1970年生まれ 0.32
•
•
•
•
第三案による改革案
1930年生まれ 2.71
1950年生まれ 0.58
1970年生まれ 0.27
• 年金給付負担比率の面から見ると2案が望
ましいと思われる。
全額税方式への移行
社会保険方式の問題点
•
•
•
•
保険料の滞納率の大幅な増加
年金財政の悪化
急速な少子高齢化
若年世代と高齢者世代、被用者と自営業者
負担と給付の関係で不公平が生じるなど
そこで、社会保険方式から全額税方式へ!
移行したことによるメリット
• 保険料の滞納、未加入者の問題の解決
• 第3号被保険者問題への対処
• 第2号被保険者の保険料の事業主負担分が
軽減など
シミュレーションの手法
• シミュレーションは2000年から2050年まで行
う
シミュレーション1
• 保険料を徴収せずに税方式で運営する。
• 簡略化のため、物価を一定とし、消費税1%
増税ごとに2.5兆円の税収があるとしてシミュ
レーションを試みた。
• 現在の国庫負担分5兆4000億円を固定する。
シミュレーション2
• 現行の制度を維持した場合のシミュレーショ
ンを行う。
• 現在の給付と年間保険料15万9600円を維持
したときの不足額を全額消費税で賄った場合
のシミュレーションも試みた。
シミュレーション3
• シミュレーション2に保険料の滞納率を考慮
に入れたシミュレーションを試みた。
シミュレーション結果
• 税方式で2050年まで運営した場合、消費税
率を8.1%ポイント引き上げることが必要
• シミュレーション2の場合4.3%ポイントの消費
税増税が必要
• シミュレーション3の場合5.0%ポイントの消費
税増税が必要
社会保障死後余剰返還
• 社会保障制度で支援を受けた費用は本人が
使い切れなかった場合、社会に返還すべきと
いう考え方 ex フランス、アメリカ
• 高齢者は社会保障制度の受益者であるとい
う観点を加味して相続税制を再設計
• 老親扶養の担い手が子供から社会全体へ
• 高齢者(被相続人)の相続資産に対して、3%、
5%、7%とそれぞれの税率を掛け合わせる
ことにより、相続税の増収分を試算する
1老親扶養の対価としての相続
• これまで相続には老親扶養の対価という性格
が合ったことを明らかにする。
遺産に対する考え方
19%
5%
16%
4%
56%
子供が面倒み
れば、遺産を
残す
遺産を残す
財産が余れば
遺産として残
す
子供に遺産を
残さない
わからない
『戦略的』遺産動機
子供が面倒を見れば遺産を残す
100%
80%
60%
40%
20%
0%
20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 2老親扶養の社会化
• 2000年より介護保険制度が施行
• 介護者の状況は依然として、配偶者の割合
は大きいが、介護者の組み合わせの状況を
見てみると、社会サービスが重要な役割を占
めていることが分かる
• 図2介護サービス利用者数の推移
2000 年4月
(実数)
2001 年4月
2002 年 4 月
2003 年 4 月
居宅サービス
97 万人
142 万人
172 万人
194 万人
施設サービス
52 万人
65 万人
69 万人
72 万人
149 万人
207 万人
241 万人
265 万人
合計
• (資料)介護保険事業状況報告書より作成
図4介護内容別に見た
介護者の組み合わせ状況
(出所)厚生労働省
『国民生活基礎調査』
平成13年版より
3相続資産の規模
• 単身世帯について家計資産額を男女、年齢
階級別に見ると、男女とも年齢階級が高くな
るほど資産額も大きい。
• 男女とも60歳以上の各年齢階級では、60歳
代及び70歳以上の世帯家計資産額の5割
~7割が3000万円を上回る。
•
図6 男女,年齢階級別家計資産額(単身世帯・全世帯)
•
(出所)総務省『平成11年全国消費実態調査』より
4相続税の課税状況の推移
• 現在、相続税が課されている人は一割も満た
ない。これは、わが国の相続税制において、
課税最低限がフランス、イギリスなどのヨー
ロッパ諸国と比べ高く設定されているためで
ある
相続者の推移
1000000
5.5
980000
5.4
960000
5.3
940000
5.2
920000
死亡者数
5.1
900000
5
880000
860000
4.9
840000
4.8
H8
H9
H10 H11 H12
死亡者100
人あたりの
課税割合
5社会保障財源としての
相続税収の将来推計
年度
2000
2010
2025
3%課税
0.9
1.5
2.7
5%課税
1.4
2.6
4.5
7%課税
2.0
3.6
6.2
(単位:兆円)
(注)平成15年税制改正以前の仕組みによるシュミレェ-ション
(出所)富士総合研究所『社会保障財源としての相続資産の活用』
2001年より
結論
• デメリットも多いが、それ以上にメリットが大き
い全額税方式に移行すべきである。
• それに伴う消費税の増税負担を軽減するた
めに社会保障死後余剰返還を導入すべきで
ある。