ウェアラブル生体情報センサを利用した雰囲気のデジタル化に関する研究

ウェアラブル生体情報センサを利用した雰囲
気のデジタル化に関する研究
- A Study of Mood Degitalization using
Wearable Vital Information Sensor 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士2年
山本 純平
アウトライン
• 雰囲気とは
–
–
–
–
日常的な雰囲気の利用
雰囲気の有用性
雰囲気の予備調査
雰囲気の解釈
• 雰囲気の定義に関する
評価
– 実験目的と方法
– 結果と考察
• 気分の解析手法の評価
– 生体情報を利用した解析
• 使用する生体情報
– 実験目的と方法
• 雰囲気のデジタル化
– 機能要件と課題
– 評価方法
• 本研究の結論
– 場・技術・精度についてま
とめる
はじめに
• 日常的な雰囲気の利用
– 日常生活において雰囲気を感じ取り,利用している
• ex) 疲れたから落ち着いた雰囲気の喫茶店に入る
– 音,温度,存在する人々,モノなどのにより構成される
• 雰囲気の有用性
– 雰囲気の変化に合わせて環境を動的に変化
– 雰囲気マップ
– Smart Space, ロボット技術への応用
• 雰囲気のデジタル化における問題意識
– 雰囲気の定義が困難
• 曖昧な存在であり,明確な定義がされていない
– 雰囲気の取得技術
• 多くの要素に影響を受け,それら全てを取得することは困難
• 場によってある要素が影響を与える度合いは異なる
• 本研究における雰囲気
– 場の雰囲気を示す
雰囲気に関する予備調査
• 目的
– 日常的にどのような雰囲気を感じ取っているのか
• 調査方法
– Googleで”雰囲気”と検索する
– 1000件のうち◯◯な雰囲気と表記されたものを抜粋
• 調査結果
– 49の雰囲気を抜粋
• オシャレな,レトロな,落ち着いた,楽しい,エスニックな,神秘的な,和やかな,
ダークな,高級感,やさしい,大人な,かたい,独特な,懐かしい,モダン,
アットホーム,エロス,盛り上がった,異様な,話しかけやすい,ゴージャス,メ
ルヘン,エレガント,不気味,賑やかな,クラシックな,異空間,スタイリッシュ,
爽やか,明るい,騒がしい,アンティーク,暖かい,沈鬱な,春らしい,オーガ
ニック,癒し,セレブ,ファンタジー,ミステリアス,歓楽的,ナチュラル,悲しい,
緊張感,不思議,怪しい,ゆったり,ネガティブ,厳格な.
– 本結果を代表的な雰囲気とする
雰囲気の分類
• 代表的な雰囲気を大きく2つに分類
– 外見を表した雰囲気
• 場に設置された物,デザイン,色を表現
– 気分を表した雰囲気
• 場によって変化した気分を表現
外見を表した雰囲気
気分を表した雰囲気
オシャレな,レトロな,エスニックな,ダー
クな,高級感,大人な,独特な,モダン,
異様な,ゴージャス,メルヘン,スタイリッ
シュ,クラシックな,異空間,アンティーク,
春らしい,オーガニック,セレブ,ファンタ
ジー,厳格な.
落ち着いた,楽しい,神秘的な,和やか
な,やさしい,かたい,懐かしい,アット
ホーム,エロス,盛り上がった,話しかけ
やすい,エレガント,不気味,賑やかな,
爽やか,明るい,騒がしい,暖かい,沈鬱
な,癒し,ミステリアス,歓楽的,ナチュラ
ル,悲しい,緊張感,不思議,怪しい,
ゆったり,ネガティブ
雰囲気の分類
• 代表的な雰囲気を大きく2つに分類
– 外見を表した雰囲気
• 場に設置された物,デザイン,色を表現
– 気分を表した雰囲気
• 場によって変化した気分を表現
外見を表した雰囲気
気分を表した雰囲気
オシャレな,レトロな,エスニックな,ダー
クな,高級感,大人な,独特な,モダン,
異様な,ゴージャス,メルヘン,スタイリッ
シュ,クラシックな,異空間,アンティーク,
春らしい,オーガニック,セレブ,ファンタ
ジー,厳格な.
落ち着いた,楽しい,神秘的な,和やか
な,やさしい,かたい,懐かしい,アット
ホーム,エロス,盛り上がった,話しかけ
やすい,エレガント,不気味,賑やかな,
爽やか,明るい,騒がしい,暖かい,沈鬱
な,癒し,ミステリアス,歓楽的,ナチュラ
ル,悲しい,緊張感,不思議,怪しい,
ゆったり,ネガティブ
本研究における雰囲気の解釈
ケースB
• ケースA
– 雰囲気・気分・行動が影響し
2. Feeling
あい循環
of People
e.g., stressfulness,• ケースB
1. Mood
e.g., cozy restaurant,
pleasant park,
tense classroom
ケースA
happiness,
sadness,
– 雰囲気が気分に影響を与えない
• 内面的要因に影響を受けて
いる
• ケースC
3. Action
ケースC
ケースD
– 気分が行動に影響を与えない
• 気分の変動が小さい
• ポーカーフェイス等
• ケースD
e.g., fighting one another,
facial expression,
conversation,
– 行動が雰囲気に影響を与えない
• 雰囲気の範囲が広く,一人の
行動による影響が小さい
雰囲気の定義と考察
• 雰囲気の定義
– 人々の抱く気分に着目
• 無数の要素の影響を受け
た結果
– 「場に存在する気分の集
合」
• システムの流れ
– 1.場に存在する気分の取
得
– 2.気分の集合値による雰
囲気のデジタル化
– 3.雰囲気の利用
気分の定義
• ラッセルの円環モデル
– 愉快・覚醒の2軸によって全ての感情を分類
• 本研究における気分モデル
– 円環モデルを基に8つの気分を抜粋し作成
ラッセルの円環モデル
本研究における気分モデル
本研究におけるアプローチ
• 雰囲気の定義
– 「場に存在する気分の集合」
– 妥当性評価の必要性
• 定義が当てはまるシチュエーションの選別
• 気分の定義
– 8つに分類
• 驚き,興奮,楽しい,落ち着き,眠気,憂鬱,悲しみ,緊張
– ウェアラブル生体情報センサを利用した判別手法
• 既存手法との比較
• 精度の検証
• 雰囲気のデジタル化
– 気分データに基づいた数値化
• 数値化に伴う言語化,可視化
雰囲気の定義に関する妥当性評価
• 評価方法
– アンケートを用いて気分と雰囲気を取得
• 気分モデルに1点書き込んでもらう
• 隣接する気分の中間で回答することも可能
• 雰囲気は円グラフで気分の割合を回答
– アンケートによる気分の集合値と雰囲気の平均値を比較
– 複数の場で実験
• 研究発表会,研究会の打ち上げ,友人との飲み会,美容院,ウィンドサーフィンスクール
• 評価結果
– 4カ所で70%以上の一致度
• 研究発表会,打ち上げ,美容院,ウィンドサーフィンスクール
• 雰囲気,気分,行動が循環する場では妥当性が高い
– 友人との飲み会では0%の一致
• データが少なく,一般的な気分を取得できなかった
• 個人的な悩みが表に出ず,雰囲気に影響しなかった(ケースCに該当)
ウェアラブル生体情報センサを
利用した気分の解析手法
• 利用する生体情報
– HRV, 心拍数
• HRVと快・不快の関係性
– HRVとは
• 心拍のゆらぎ,間隔のこと
– 心理的ストレスが測定可能
• HRVを周波数解析することで交感神経の働きがわかる
• 立位,うつぶせでの値の変化
• 心拍数と覚醒・眠気の関係性
– 興奮状態で心拍数が上がり,リラックス状態で下がる
• 卒論でも同様の変化が見られた
• 使用するセンサ
– Polar RS800CX
• 時計型センサ
• 心拍数,HRVが測定可能
• トレーニング用で動きにも強いはず
雰囲気のデジタル化
• アプリケーションを実現するための機能要件
– 気分の集合値に基づく数値化
– 数値化に伴う言語化,可視化
• 課題の整理
– 雰囲気の形成される間隔
• 何分間のデータが必要なのか
– 気分の割合の必要性
• 個人によって感じ取る割合は様々(アンケート結果より)
• 評価方法
– アンケートを利用した気分の取得
– 取得した気分を基に雰囲気のデジタル化し,妥当性評価
– 同じ場で同じ人数で異なる人に実験を行う
• デジタル化手法が万人に当てはまることを証明
修論の結論では
• どのようなシチュエーションで
– 雰囲気の定義の妥当性評価結果から
• どのような技術で
– 既存の解析手法との比較から
• どのような精度で雰囲気を取得できるか
– 雰囲気のデジタル化の評価実験から
おしまい
• 御清聴ありがとうございました