カワモズクニュース№22 25.5.3 4月8日水路の入り口に褐色の藻体が。 〔ミョウテンジカワモズク〕 3月、池のカワモズクは、湧水口の金枠に刷毛状の シャントランシア体がふさふさと発生している状態 です。アオカワモズクは1月に既に金枠に藻体が発生 しましたが、間もなく消失してしまいました。 今年は水路にびっしりと刷毛状のシャントランシ ア体が密集して発生し、下の池の入り口で藻体に成 長したものもありました(同定できず)。 3月10日観察に行くと金枠に小さな藻体が外れて浮 いていました。採取して見てみるとミョウテンジカ ワモズクでした。時期的には早いようですが、発生 が始まっているようです。4月始め、水路の入り口に も小さなミョウテンジカワモズクの藻体が現れまし た。発芽の経過を見たいと思っているのですが、今 年はまだ金枠にも周囲の石にも幼体移行のシャント ランシア体を確認できていません。 藻体は小さかったのですが、既に造果器を持ち、果胞子 体も形成していました。 左:上の池の中央に浮かんでいたアオカワモズク 右:褐色の藻体はミョウテンジカワモズクでした。 5月に入って水路の刷毛状のシャントランシア体は姿 を消しつつあります。去年の5月、金枠に幼体移行の シャントランシア体が発生したように今年も同様の形態 が見られるか、注視しています。 ←2月2日採取のシャント ランシア体 単胞子から の発芽。頭は1週間ほど で消えました。 (3月11日) スライドに藍藻のよう なものが無数に繁殖し、 → 糸状体は解けてしまい ました。(4月14日) 〔単胞子からの発芽〕 2月から観察していたシャントラン シア体の単胞子からの発芽は、成長し てきたものの、スライドに藍藻らしい ものが発生し侵食されてしまいました。 家庭での観察に限界があるのか、カワ モズクが藍藻にも弱いのか。カワモズ クが優位な種はあるのでしょうか。 カワモズクは単に水がきれいと言う だけでなく選ばれた生育環境にのみ生 育する種なのだろうと思わされます。 安室川のチスジノリを訪ねて 上郡駅の裏 安室川の土手は桜が咲きゴイサ ギが来ていました。 人の血管に似 ている事から チスジノリと言 われている。 触ると粘性は なくしっかりし た感じ。 顕微鏡で見 るとこんなボ サボサ。 (100倍) 中軸が全く見 えないので指 で押さえるとこ んな風に潰れ ました。 軸は棒状では なく、達磨落と しのように円筒 形が重なって いるのでしょう か。 兵庫県赤穂郡上郡町は姫路から30分ほど岡山 県と接し、人口16000人の町です。町の中には千 種川とそこに合流する安室川が流れています。 その安室川にチスジノリと言う淡水産紅藻が生 息しており、その保全活動を上郡中学校の科学 部の生徒さんが関わっておられます。 チスジノリは1960年以前から珍しい藻として知ら れていましたが、1995年以降消失していました。と ころが2004年1月に再発見され、大きな話題にな りました。発生場所が丁度中学校の近くでもあり、 安室川のチスジノリを育む特殊な環境を解明する ために実験と観察を継続しています。 論文の中にチスジノリを復活させるため人為的 な撹乱「川を耕す」「石を磨く」を行い、得られた知 見を発表しています。この「川を耕す」「石を磨く」 の実際を伺うために上郡中学校の東山真也先生 をお尋ねしました。 3月29日、夏には消失するチスジノリがまだ生息 していました。しっかりした藻体で長さ40cmほど、 5、6株が河床の石に付着していました。 シャントランシア体も見せていただきました。 実際、河床の石を金属束子でゴシゴシと擦り、 金ブラシでも擦ると言います。磨いた石には印が してあり効果の確認がなされていました。 チスジノリの生育には着床する石に何も付いて いない事と日陰が保たれている事がポイントとの 事でした。 この事はミョウテンジカワモズクの生 育にも大いに参考になる事でした。科学室のサン プルを少し頂いてきました。 400倍にして見ました が全く分かりません でした。雄株なので しょうか、カワモズクと はだいぶ様子が異な ります。 シャントランシア体 大変よく似ていま すが、単胞子があ るのかどうかも分 かりません。 白子・大坂湧水林保全の会 須貝 郁子
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