(仮説) 「~できる力」をテストするためには? 2004年5月21日 ㈱ジェック ミーティングルームBにて 鈴木先生、楚さん、畑田、の3名の会話内容を 畑田が解釈しまとめました。 ㈱ジェック 行動理論研究所 畑田 敏雄 2004年5月21日 1.「効果的な行動選択を行うための前提となる 知識(メタ知識)を問う」 • • • • • • • 「できる人」「できない人」の違いを生み出す分かれ道のひとつ(→これがすべてではない)は、「現状」と 「とるべき方法論」をメタ認知的に捉えることができるかどうか?である。 要するに、メタ認知的(鳥瞰的・客観的)に、この場面はどういう場面か?自分は今どこに居るのか?今、 自分がやっていることはいったい何をやっているのか?どうしたらよいのか?(方略・方法論)を認識・自 覚できるということである。 これらのことが認識・自覚できていなければ、人は状況に適した効果的な行動を選択することができず、 行き当たりばったり」に陥りやすい。だから成功確率が低くなる。これが熟達者と未熟者の違いを生み出 しているのだろう。 メタ認知的に現状を捉えるためには、現状を捉えるための考え方の枠組み(判断尺度)を持っている必 要がある。なぜなら、ある枠組み・ある尺度に照らし合わせることによってはじめて、現状を意味づけ・位 置づけることができる(定義できる)からである。(→また、枠組み・尺度を変えることによって、位置づけ・ 位置づけを変えることが「再定義」ということである) メタ認知的に現状を捉えるために必要な、考え方の枠組み・尺度についての知識を「メタ認知的知識」 (教育工学辞典より)という。 人が自分の行動選択を行う際に関わる「メタ認知的知識」には、「現状(事実)認識」のためのもの(** 観:)「方法論選択」のためのもの(因果理論:こうすれば、こうなるだろう:課題解決方略についてのメタ 知識)の二種類が含まれる。(これ以外にもあるかもしれない) したがって、「メタ認知的知識」を問う質問は、次のような一般的な形式となるだろう。 – 場面をどのように捉えるか?(現状・状況の位置づけ・意味づけを判断するための知識)を尋ねる質問 • • – 例:「この場面(A)は、方針が浸透していると言えるでしょうか?」 例:「この場面(B)が、***という状態だと判断できるのはなぜでしょうか? 特定の場面で、どうしたらよいか?(やり方を選択するための知識) • • 例:「この場面(C)では、どのような行動(対応)を選択するか?」 例:「この場面(D)では、どのような手順・方法・プロセスで取り組みますか?」 2.内的なコンフリクト(葛藤)が生じる場面において、 特定の判断(A)を下した背景にある、「理由」を問う A:「できる人」「できない人」の違いを生み出す分かれ道のひとつ(→これがすべてではない)は、自分の行動選択の判断基準 (なぜ、その行動を選択したか?という理由)をメタ認知的に自覚できるということである。 – – なぜならば、自分の行動選択を決めている「仮説」(「こうすれば、こうなるだろう、なぜならば・・・だから」)が自覚できるということは、日常の 行動選択が「仮説&検証」の繰り返しになるので、自分で軌道修正が図りやすく、結果的に成功確率の高い行動選択ができるように自分を 成長させることができるからである。 (まだ、本人の「信念」になっていなかったとしても)「こう考えるべきだ」(あるべき考え方)ということを知っている(=あるべき考え方につい ての知識、たてまえの知識)があるということは、現状の自分の考え方と比較し、「二つの考え方(&認知)のギャップ」を自覚することから、 考え方の修正→行動選択の修正へと向かうことが期待できるからである。 • 論拠としては、認知的不協和理論(Cognitive Dissonance Theory)がある。この理論は、相矛盾する二つの認知が同時に存在するとき、それ を解消するために一方の認知が、自然に変化することを説明する理論。既になされた行動に対しては、更に協和を高めるための、新たな情報を 積極的に収集したり、不協和を高めるような選択を避けたりする行動が説明できる。 B:特に、特定領域(例:個人情報保護マネジメント)のプロ(熟達者)によって、「ある程度検証された仮説」(成功確率の高い仮 説)を自分の仮説として内化(→ 単なる「たてまえの知識」ではなく「信念」になっている:「信奉理論」(信じているといっている価値観)ではな く、「実践理論」(行動を左右している価値観))ことは、「できる人」になるためには重要である。 – なぜならば、熟達者の体得した「信条」「信念」「価値観」「勘所」(方略、方法論)などを共有することになるからである。(徒弟的?) 1.そこで、Aについてテストするためには、「あるべき(たてまえとしての)考え方・価値観の知識」(こう考えるべきだ)を知ってい るか?をチェックすることが考えられる。 2.そして、Bについてテストするためには、「本人の信念」(自分の行動選択を左右している価値観)をチェックすることが考えら れる。 3.両方に共通する原則は表題のとおりであり、その場面設定や選択肢の「微妙さ加減」で(どれだけ迷いやすく、信念が問わ れる場面や選択肢を設定するか)、「もつべき考え方」(知識)をテストできるか、あるいは「本人の信念」をテストできるかが 左右されるのだろう。 → 楚さん 作ってみてね。(2004年5月21日) 鈴木先生への畑田からのメール(04年5月21日) 「パフォーマンス・テスト」という仮説について 岩手県立大学 教授 鈴木先生 2004年5月21日 コピー:楚さん 岡本さん 根本さん 徳村さん *パフォーマンス・・・「成果をもたらす行動」のこと。 ㈱ジェック 畑田より 鈴木先生、本日の午前中、貴重なアドバイスを いただき、ありがとうございました。 本日午前のミーティングの内容を畑田なりに 解釈・整理してつくった「仮説」を、パワーポイント 資料にしてみました。 (鈴木先生に紙で差し上げたものを修正してあります) → 岡本さんへ:メタ認知の観点が入っています。 徳村さんへ:いったい何を測定するのか?という問題も含まれています。 現在、楚さんがこの仮説にもとづき、 (仮称)「個人情報保護マネジメント・パフォーマンス・テスト」 を作成中です。 ご意見・アドバイスをいただければ幸いです。 *パフォーマンス・テスト・・・「仕事上で求められる成果をだす行動」 がとれるかどうか?を測定するテスト。 要するに、「~ができる力」を測定する テスト。 「行動(Action)そのもの」でもなく、 また、「成果(Achievement)そのもの」でもなく、 「成果を出す行動」のこと。 成果に結びつかない無駄な行動ではない。 「成果を出す行動」をちゃんとるから、 仕事上の成果を出せるということ。 たまたま幸運で成果がでた、業績が上がった というのではパフォーマンスがあがったとはいわない。 これを行えば、こういう成果がでる・・という 行動と結果の間に正の因果関係がある行動を 行うこと。 ============= 畑田 敏雄 (Toshio Hatada) ㈱ジェック 行動理論研究所 電話:03-3986-6365 FAX:03-3982-5894 [email protected] http://www.jecc-net.co.jp ============= (仮説)人のコンピテンシーとパフォーマンスと仕事上の成果の 因果関係の図 仕事上の成果 パフォーマンス (成果の原因となる行動) 状 況 変 化 ( 時 パフォーマンス 間 ) パフォーマンス メタ認知的活動 (成果の原因となる行動) メタ認知的活動 (成果の原因となる行動) メタ認知的活動 課題に向き合う態度と、 活用する知識・技術を、 状況(文脈)に応じて選択・適用する メタ認知的活動(行動理論が働いている状態) コンピテンシー (仕事上の成果を出す能力) 知識 技術 態度
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