思想と行為

思想と行為
第11回 マルクスとレーニン
「人間疎外と共産主義」
吉田寛
自由主義
政治的自由
個人の自由
アナーキズム
リバタ
リアニ
ズム
米、共和党
保守主
義
企業の競争
米、民主党
リベラ
リズム
ミル
経済的
自由
政治的
自由
マルクス
ファシズム
共産主義
レーニン
公共の福祉
国家統制
経済的自由主義
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市場の原理
価
格
需要
「市場」の原理
– 近代経済学の原理
– 神の見えざる手により、
市場を通じて最適配分
が行われる
供給
– 善い社会の原理
取引
価格
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取引量
数量
市場の前提
– 私有財産と自由取引に
よる合理的判断による
競争
マルクス、レーニン
革命と戦争の時代
1830年 仏7月革命、32年英選挙法改正
1848年 仏2月革命、マ『共産党宣言』
1859年 ミ『自由論』、ダ『種の起源』
1840年 中アヘン戦争、53年英露クリミア戦争、61年米
独立戦争
1868年 日本明治維新
1870年普仏戦争→パリ・コミューン
94年日清戦争 1904年日露戦争
1900年 世界恐慌
1914年 第一次大戦
1917年 ロシア革命
1922年 イタリアファシスト政権成立
マ
ル
ク
ス
レ
ー
ニ
ン
マルクス
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1918年 ドイツ西部トリールの裕福
な市民の家庭に生まれる
1835-41年 ボン大学 学生生活を
謳歌
24歳 「ライン新聞」編集主任 翌年
イェニーと結婚
生涯の亡命と活動、研究と執筆、家
庭と貧窮の生活
1848年 『共産党宣言』
1864年 第一次インターナショナル
マは委員として活躍
1867年 『資本論』
1883年 没
レーニン(ウラジミール=イリイチ)
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1870年 ロシア中部の町で教育官僚の子とし
て誕生
– 兄弟姉妹は革命家として活躍
17歳 カザン大学入学→学生運動で退学処
分→独学(法学、マルクスなど)
21歳 弁護士試験に合格
23歳 ペテルブルクで政治活動、労働者教育、
研究
1895年 逮捕→シベリア流刑-結婚
1900年 活動新聞「イスクラ」創刊 編集者に
12年「プラウダ」創刊
– スイス等ヨーロッパとロシアを行き来しつ
つ革命の指導
1917年武装蜂起 18年ロシア革命
– 干渉戦と内戦、新国家の立上げ 24年没
「人間疎外」
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マルクス、レーニンの取り組んだ問題
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悲惨な人間生活
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労働者の貧困
過酷な労働
文化的、人間的生活の荒廃
植民地獲得戦争
過酷な植民地支配
人間疎外
人間が人間らしさを奪
われ、奴隷状態に
陥っている状態
これらを市民社会、自由社会という社会的問題と捉
えて、その改善を求めていく思想と人生
ブルジョワと労働者
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近代的市民
– 私有財産→自由な生産と取引
– 合理的判断→自由な政治と経済活動
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議会制民主主義+市場+機械化
– 国内での競争→負け組(私有財産を持たぬ、
失ったもの)→労働者(プロレタリアート)へ
– 国際的競争→資源と市場を求めて植民地獲得競
争→戦争と植民地支配
物神化
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本来自由なはずの人間の意識が「神」という概念を
作ったのに、いまや人間の意識がその概念に縛られ
ている(フォイエルバッハ)。
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「市場」によって人間疎外の生じるメカニズム
労働→商品→市場→購入→さらなる労働
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– ニーズ→労働力の販売→過剰な労働→資本の強大化→
労働者の立場の弱体→過酷な労働
– 欲望→労働→商品開発→宣伝→新たな欲望の創出→新
たな労働
– 資本→企業活動→競争→過酷な労働と商品開発→独占
→さらに過酷な労働と植民地獲得
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こうして、人間がお金(「資本」)の奴隷となっている
私有でなく共有へ
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物神化の原因は利己的欲望にある
– 私的所有とその増殖を目指す
– 市場での取引と競争
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「自由」を基礎にした近代市民社会
– 利己的欲望が、必要を越えて制御されずにどこまでも自
己増殖していく社会
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共産主義的社会
– 基本的な財産と労働の共有 欲望の根っこを国家へ
– 各自に必要なだけの労働と配分
– 過剰な競争や労働の撤廃→余暇を人間的な学芸に
世界史解釈と革命理論
王制
支配者
身分制議会
自由主義
共産主義
王
王
王
王
領主、親方
領主、親方
領主、親方
領主、親方
市民(ブル)
市民(ブル)
市民(ブル)
市民(ブル)
労働者
労働者
労働者
労働者
法、議会
の権利
市民革命
権利請願
都市の自治権
• 革命の基本原則
1. 技術革新
2. 下の階級が力をつける
3. 上の階級から支配権を奪う
名誉革命
フランス革命
プロレタリ
ア革命
パリコミューン
ロシア革命
植民地独立運動
レーニンの状況
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マルクス主義の普及
– 世界各国に共産主義活動家と活動組織
– 共産主義革命の失敗(パリ=コミューン)
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ロシアの政治的立ち遅れと経済的発展
– 新興資本家と労働者、国王と農奴
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植民地
– 獲得、維持の戦争
– 民族運動、独立運動
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世界恐慌
– 市場経済と競争システムの破滅的結果
レーニンの解答
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革命理論
– 歴史の必然でなく、指導による革命
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労働者による統治
– ソヴェトの権力
– 思想統制
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計画経済
– 戦時共産主義
– ネップ
共産主義、社会主義の現在
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ソ連:ロシア革命1918年→ソ連解体
東欧:ナチスドイツからの解放→共産主義化→ベル
リンの壁崩壊→自由主義、修正主義へ
西欧、北欧(大陸)諸国:修正主義→社会民主主義
中国:第二次大戦後、毛沢東らによる革命→市場経
済と政治的共産党支配
英、米、日 自由主義
第三諸国:自由主義陣営と共産主義陣営の代理戦
争の場に
参考文献
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『人と思想 マルクス』、小山治(著)、清水書院。紹
介本
『人と思想 レーニン』、中野、高岡(共著)、清水書
院。紹介本
『共産党宣言』 マルクス(大内、向坂訳)、岩波文庫
– マルクスの基本的な思想が簡明に書かれたパンフレット
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『資本論』 マルクス、エンゲルス(向坂訳)、岩波文
庫
– 『共産党宣言』の思想を理論的に裏付けたもの 難解
レポート
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マルクス、レーニンらの共産主義の思想につ
いて、ベンサム、ミルの功利主義や自由主義、
あるいはカントの人格主義、ホッブスらの社
会契約説の観点から、メリット、デメリットを一
点ずつ考えて、説明せよ。
– 300字程度