日本地理学会2005年秋季学術大会 2005年9月17日~19日 茨城大学 ラオス・ビエンチャン近郊における 生鮮物流通 池口明子(名古屋産業大)・斉藤暖生(京都大・院)・足達慶尚 (岐阜大・院)・野中健一(地球研) 研究の背景と目的 • 市場経済化後のビエンチャンにおける労働市 場の形成 • ビエンチャン近郊における市場(イチバ)の形 成と生鮮物供給の発展 • 近郊農村へのインパクトは? ⇒流通経路と市場取引参加者の位置づけ、利 用される資源生物の特徴を明らかにする 発表の構成 1. 2. 3. 4. 5. 資料と地域概要 市場の立地 市場商人の居住地分布 取扱い生鮮物と流通経路 考察と結論 資料と地域概要 4km ①村長へのアンケート(足達ほか2005) ②観察 ③商人への 聞き取り:2004年9月、11月、3月 市場の立地 Number of market 20 15 10 5 0 1985 1990 1995 Year 2000 2004 商人の居住地分布 (聞き取り調査による) Hatkhien市場 Nonsa At 市場 Thangon市場 Oudomphon 市場 Parkxapmay市 場 Danxang市場 Xaysavang市 場 Dounoun市場 表1 ダンサン市場における生鮮品の流通経路 採集 栽培 調査日 生鮮品分類 2004年9月6日 葉菜類 果菜類 根菜類 花 非食用植物 タケノコ類 キノコ類 魚類など水生動物 陸上動物 昆虫 合計 2004年11月16日 葉菜類 果菜類 根菜類 花 非食用植物 タケノコ類 キノコ類 魚類など水生動物 陸生動物 昆虫 合計 2005年3月13日 葉菜類 果菜類 根菜類 花 非食用植物 タケノコ類 キノコ類 魚類など水生動物 陸生動物 昆虫 合計 商品種数計 33 24 5 2 1 2 2 11 2 2 84 57 43 10 8 5 6 3 26 5 5 168 57 47 8 2 3 6 5 25 8 9 170 5 2 0 0 0 2 1 1 0 0 11 13 2 0 1 1 3 0 2 4 0 26 13 4 1 0 1 4 2 6 0 2 33 8 1 0 1 2 0 0 0 0 0 12 2 4 1 1 0 0 0 0 0 0 8 16 26 3 1 0 1 0 0 4 1 52 仕 入 方 法 (品・人数) 市 場 で 購 入 村で購入 不明 Danxan Thangon Vientiane その他 不明 18 1 0 33 0 0 0 16 0 0 25 2 0 0 2 0 0 14 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 6 0 7 3 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 3 1 1 0 2 0 0 49 2 8 76 4 0 0 106 8 6 88 3 0 0 35 13 5 82 0 1 0 4 1 2 29 0 0 0 8 3 0 2 0 0 0 2 0 0 4 0 0 0 5 2 0 0 0 0 0 1 3 0 1 0 0 0 26 14 0 3 0 0 1 1 1 0 0 0 0 11 3 2 3 1 0 0 0 191 47 16 210 3 1 12 37 15 6 109 1 0 2 22 9 7 60 3 1 4 1 4 0 17 1 0 0 1 1 0 1 0 0 1 4 0 0 0 0 0 0 2 4 0 2 0 0 0 2 1 1 1 0 0 0 40 10 2 5 4 1 3 2 3 2 2 0 0 1 15 5 1 3 1 0 3 126 52 19 200 10 2 14 (聞き取り調査により作成) 表2 商人による主な仕入地の選択 2004年9月6日 2004年11月16日 2005年3月13日 のべ人数 調査日 主な仕入方法 人数 % 人数 % 人数 % 採集 6 12.5 5 8.2 8 9.3 19 栽培 6 12.5 1 1.6 14 16.3 21 村人から購入 11 22.9 31 50.8 32 37.2 74 Danxan市場 10 20.8 5 8.2 9 10.5 24 卸売市場TG 6 12.5 2 3.3 3 3.5 11 卸売市場VT 3 6.3 14 23.0 13 15.1 30 その他の市場 3 6.3 1 1.6 2 2.3 6 その他の方法 0 0.0 1 1.6 1 1.2 2 不明 3 6.3 1 1.6 4 4.7 8 合計 48 100.0 61 100.0 86 100.0 195 (聞き取り調査により作成) 流通経路の類型(参加人数順) • a. 近郊農村⇒近郊市場 a1:農村の採集・栽培者から購入 <魚・昆虫> a2:販売者自ら採集・栽培<ササゲ・ツボクサ> • b. 国内生産地/タイ生産地⇒ビエンチャンの卸売 市場⇒近郊市場<セイヨウハッカ・ナス> • c. 国内生産地⇒サイタニー郡内の市場⇒近郊市場 <キュウリ・ハクサイ> 経路aで利用される資源 考察と結論 • 1990年代後半から近郊農村に市場が増加し、商人 の販売機会が形成されているが、その規模は国道 沿いに限定される。 • セイヨウハッカ・トマトなどの栽培野菜は主としてビエ ンチャンから供給され、これらと競合せず、なおかつ 季節に応じてアクセス可能な野生生物が、近郊農 村から参加する商人にとって重要な資源となってい ると考えられる。 • 国道からのアクセス不利地域においては、ビエン チャンへ商品を運ぶ商人の活動基盤を今後明らか にする必要がある。
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