人間科学論 心理学史と科学論の観点から 人間科学部or人間科学科 を有する大学 1972 大阪大学人間科学部 1976 文教大学人間科学部 :: 1987 早稲田大学人間科学部 :: 教育人間科学部 総合人間科学部 などを含めておよそ20箇所 ⇒ここ数年でさらに急増し、 大阪人間科学大学 人間総合科学大学なども設置される Human + Sciences 科学= 自然科学 (natural) sciences 人文科学 humanities/arts 社会科学 social sciences こうした科学の方法的分類を越え、 「人間とはなにか」を研究する学際的科学 とりわけ、行動(behavior)を研究手法とする 分野を、行動科学という 関連。 人間学 哲学的な手法・視点と実証による「人間」の 検証。デカルトによる自我概念の発見以降、 カントやハイデガーなどが「人間」へと言及。 人類学 文化(社会)人類学(民俗学・言語学・考古学 などの総合研究)・自然人類学(生物・進化) の上位概念。 社会・民俗学的な手法ながら 人間科学と類似した学問の分類。 人間科学に含まれる学問領域 社会学 人間行動学 看護学 心理学 人間工学 スポーツ科学 認知科学 教育学 福祉/障害学 哲学 人類学 ・・・・・ 学問とは、知識や概念を体系づけて整理する 一連の作業 円滑な研究のために、学問領域(discipline) に分解されるのが一般的。 人間科学は、こうした学問領域を再統合し、 Inter-disciplinary(知の共有) / Multi-disciplinary(共同研究) を基盤とした 学際的アプローチ 心理学はあやしい?? 血液型性格類型などに代表される、実証性のない 心理テスト 人のこころを読む学問? “科学” であるためには 斥 ⇒ 思弁による知識の排 心理現象(=個人の内部現象)を実証する 方法論の確立 心理学の成立 心理テスト。 全額貯金する あなたは貧乏な人です。 運試しに宝くじを買って 家を建てる みたのですが、 なんと1億円が当たり 高級車を買う ました。 さて、あなたならどうす る? 周囲の人に言う 全額貯金する あなたは出世してもあまり 性格は変わりません。部下 からもイイ上司に見えるの ですがバリバリ仕事するタ イプではありません。 家を建てる あなたは出世しても堅実な 生活をするタイプです。敵も できにくく、部下からも頼ら れる最高の上司になる可 能性があります。 高級車を買う あなたは出世すると優越 感をとっても感じるタイプで す。ただ、いざという時には ズルがしこく逃げてしまう人 かも。 周囲の人に言う あなたは出世すると有頂 天になってみんなにイバリ ちらすタイプで、部下から嫌 われやすい上司になるで しょう。 心理査定/テストに求められる要素 客観性・・・テストの結果を評価する場合、個 人的感情が入ることがないようにできている こと。 信頼性・・・同じ被験者にテストを行う限り、誰 がいつ行なっても同じ結果を得る程度のこと。 妥当性・・・測定しようとしている現象を、テスト がどのくらい正しく測定しているかを示すもの。 実際のテスト開発では、数千人 に試験し、標準化が行なわれる おおまか心理学史 19世紀 精神物理学 ヴェーバー/フェヒナー 実験心理学(生理学的心理学) ヴント ライプチヒ大学に実験心理学研究室を開設 ⇒事実上の心理学創始 20世紀 方法論の三大潮流 ・ゲシュタルト心理学 ・精神分析 ・行動主義心理学 ゲシュタルト心理学 ヴントを中心とした要素主義的な心理学に 反対し、ドイツで成立 エーレンフェルス コフカ レヴィン ・・・ // // // // // // // // // 全体性をもったあるまとまり=形態(Gestalt) < > < > < > < > レヴィン;グループ・ダイナミクス研究などに 発展 精神分析 ジグムント=フロイト(S.Freud)により、創始された理 論と治療体系 「性的欲求」説 無意識研究・自由連想法の開発 精神病理に対して、「狐つき」のような”状態”と見る 視点から、人間心理を分析的に治療する視点へと 転換 アードラー 個人心理学:「権力への意志」 ユング 分析心理学:「元型」/類型論 共にフロイトから離反 行動主義 機械論・唯物論的 「科学的」心理学成立のため、内観法を排した実験の推薦 J. ワトソン 条件反射研究のワトソンと、試行錯誤学習のソーンダイク、徹 底的行動主義のスキナーなど 現在の実験心理学の主流となる方法論 行動をS-R(stimulus-response/刺激-反応)図式で表す古典 的行動主義 S-O-R(-Organism-/刺激-生活体-反応) トールマン 応用分野として行動療法へと発展 科学的であるために 科学的方法 の手順 観察 仮説構成 仮説に基づいた予測 確認/実験 観測結果に対する、別の可能性の検討 公表 追証(追試) “こころ”を考える哲学 心身問題の捉え方 心身一元論 ①心は体に還元される ⇒唯物論・機械論 ②体は心に還元される ⇒唯心論・観念論 ③心身は第三の本質に還元される 心身二元論 デカルト:「自我」概念と機械的身体 脳科学・認知科学・神経科学などの 発展から心と脳の問題へ fMRIの登場:物理的観測が実験手法に 現代の心身問題 脳という物質の情報処理過程研究 =イージー・プロブレム ハードプロブレムとは (D=チャーマーズ) 観測不可能な「意識」や、知覚に伴う感覚=「クオリ ア」の本質研究 *脳からどのような過程で意識・クオリアが生まれるか *[哲学的ゾンビ]は存在し得るか クオリア[感覚質] 視覚・触覚・味覚などを 知覚したときの主観的感覚 *クオリアは個人内/個人間 において、共通するものか クオリア研究の難しさ: クオリアを測定する科学的方法/実験法の欠如 科学と技術 医学と医療行為 医学的に証明されていない施術 ex)中医学 民間療法 #医学の位置づけ 応用科学=実用の学 #専門分科の弊害 総合診療 #全人的医療教育 人間の総合理解のために 医療における支援モデルの変化 <心理・社会・生物学的理解> Biomedical→Bio-psycho-social modelへの 転換 モデルの発展: ethical, spiritual, ecological, existential <患者/ニーズに合わせた医療> 倫理観の変化 医薬品/治療法の自己選択権 実用科学としての人間科学 人間(human;homo sapiens):ルネサンス期 の「人間の発見」以来、主体的存在。「社会的 動物」(アリストテレス) 様々な人間観の検討と共に、人間の総合的 理解と技術の応用を目的とした研究の総称 人間科学「をする」主体も人間
© Copyright 2024 ExpyDoc