第6章 世界的な「新時代」思考とバブル 世界的に見た株価大変動の事例 大変動の背景にあるストーリー フィリピン:85~86年 →683.4%上昇 台湾:86~87年 →400.1%上昇 マルコス体制崩壊とコ 輸出の活況による経 ラソン・アキノ新政権 済成長率が二ケタ の樹立 台になる。 大変動の背景にあるストーリー ベネズエラ:90~91年 ペルー:92~93年 →384.6%上昇 →360.9%上昇 イラクのクウェート侵 攻による石油供給 不安と原油価格高 騰 内戦終了と民主政治 の復活 大変動の背景にあるストーリー インド:91~92年 →155.5%上昇 ラジブ・ガンジー暗殺 で38年間のネール 一族による支配が 終わる。 「新時代」の終焉と金融危機の到 来 銀行や為替レートに関わる金融危機は、分析 の目を集中させる。 投資家の目も危機に対して向けられるため、 フィードバック効果が得られる土台を失う。 上がった(下がった)相場は 通常下がる(上がる) 急激な株価の上昇・下落に何らかの投機的 理由があったとすることを証明するのは困難 傾向として、長期にわたって株価が好調な場 合。その後、それと同じくらいの期間不振にな る。その逆もよく見受けられる。 第Ⅲ部 株式市場を動かす心理的 要因 丸山 典嗣 株式の心理的なアンカー① 投機をする →何らかの「アンカー(基準)」がある 心理的なアンカー ① 量的なアンカー ② モラル・アンカー 株式の心理的なアンカー② 量的なアンカー …何かの推測を行うときに頼る手近の数字 ↓ 株式市場では、 ・ 最も新しい株価 ・ 区切りのいい数字(ダウ平均など) を参考に投資を行う! 株式の心理的なアンカー③ モラル・アンカー …投機家に株式投資をさせる理由の強さを 決定するもの ・ 人々の株式投資の理由 理論的根拠<「物語」 ↓ e.g. 従業員による自社株の購入 株式の心理的なアンカー④ 留意すべき点①…人々は「自信過剰」 ↑ 原因 ① 推論が正しいかを評価しない ② 未知の観察を忘れてしまう ③ 「事前に予測できた」と思い込む ④ ある行動をとることで運命が変わる と思い込む(魔術的思考) 株式の心理的なアンカー⑤ さらに、 「将来のパターンを過去のパターンと似てる」 と思い込んでしまう・・・ ・ 投機バブルは、 自信過剰が重要な役割を果たしてい る! 株式の心理的なアンカー⑥ 留意すべき点② …「アンカー」は宙にさまようことがある ↑ 原因 事件が実際に起こるまで 判断を下さないため そのため、ニュースが株式市場に与える影響は 論理的反応<感情的反応 になる 群衆行動と思考の伝染① 留意すべき点① 同じ時代・同じ場所に生きる人間 …類似の考え方を持っている ↑ 人は周りの判断に左右されるため (特に権威を持った人間) つまり、 権威の持った人間(評論家)の判断を参考に 行動を起こす(投機する) 群衆行動と思考の伝染② 情報カスケード…情報の連鎖反応 e.g. 2件のレストラン 前の人が入ったレストランに 次の人が入る ↓ 他人の行動を考慮して 群衆行動に身を投じる 群衆行動と思考の伝染③ 情報伝達について ①スピードが最も速い …日常生活を支える情報 (現代では株式投資・資産運用に関する 情報) ②最も影響力がある手段…口コミ ↑ 伝染病のモデル・アリの行動モデル 群衆行動と思考の伝染④ なぜある意見が急速に情報伝達をするか? …矛盾した意見の共存が可能 ↑ 両方とも専門家に支持されている (と思い込んでいる) ・ これは、 人がこだわりを持っていない ことも意味する 群衆行動と思考の伝染⑤ 留意すべき点② …人はひとつの関心事に集中する傾向にある ↓ 適切な関心事に集中できる? ↓ 適切な関心事 =人と同じ関心事 (周りの意見に左右されるもうひとつの理由) ⇒集団行動の失敗につながることも… 群衆行動と思考の伝染⑥ 留意すべき点③ …ある行動を決めた理由を説明できない! ↓ 株価の変動を説明できない 結局、人々の投機的行動は 論理的根拠がない
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