貸した

日語文法研究
(大学院)
4月2日(木)~
担当 神作晋一
使用テキスト(教科書)
近藤安月子著 (こんどう あつこ)
 『日本語教師を目指す人のための日本語学入門』
 P. 1~172

アメリカでの日本語教育経験
著者の略歴(表紙の裏)
日英語の比較の視点
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東京大学大学院教授(駒場) 現職
専門:日本語統語論、日本語教育学、言語習
得 (のだ文など)
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国際基督教大学(ICU)卒業 三鷹
フルブライト派遣日本語教師としてアメリカへ カ
ンザス大学、ハーバード大学で講師
コーネル大学でTAをしながら博士号を取得
東京外国語大学助教授
はしがき
よむだけ
序章 日本語文法への招待
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ねらい:
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現代日本語の文法概説の前に、言語類型
論と語構成などから見える現代日本語の
特徴を紹介します。
キーワード:

学習者、母語話者、文法、類型、語順、SO
V型、誤用、後置詞型、膠着語、形態素、
文脈依存性、獲得
序章 日本語文法への招待

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
§1 類型論から見る現代日本語
§2 語の成り立ちから見る現代日本語
§3 日本語と文脈依存性
§1 類型論から見る現代日本語
§1 類型論から見る現代日本
語 P.1
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日本語学:個別言語としての現代日本語を研
究対象とする狭義の言語学
言語学:言語のさまざまな側面を研究対象と
し、各分野の規則性を探る学問
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
音声、表記、語の成り立ち、文の構造、文章の成
り立ち、ことばの使い方
狭義の文法:文の構造上の規則 統語論
広義の文法:ことばを使う規則全般
→前の教科書「日本語学とは」を参照。
§1 類型論から見る現代日本
語 P.1
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(言語)類型論
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
グリーンバーグ(Joseph Greenberg)
他動詞文(目的語がある)の語順
verb
主語(S)、目的語(O)、述語(V)
SOV型言語
SVO型言語
§1 類型論から見る現代日本
語 P.1
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
日本語は語順が自由
(1)昨日 友達に 日本語学の本を 貸した。
(2)友達に 昨日 日本語学の本を 貸した。
(3)日本語学の本を 昨日 友達に 貸した。
「*日本語学の本を 貸した 友達に」
「*友達に 貸した 日本語学の本を」
⇒ただし、文末にVがあることが条件
§1 類型論から見る現代日本
語 P.1
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
(4)*郵便局は、から 九時 まで 五時 です。
The post office is open from 9 a.m. to 5
p.m.
日本語は後置詞型言語
郵便局は9時から5時までです。
§1 類型論から見る現代日本
語 P.1
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
(5)*ジョンさんは今日学校を休みますから病
気です。
John is not coming to school because he is
sick.
日本語と英語では原因と結果が反対の順序
ジョンさんは、病気なので学校を休みます。
病気なので、ジョンさんは学校を休みます。
§2 語の成り立ちから見る現
代日本語
§2 語の成り立ちから見る現
代日本語

膠着語:基本的な意味を表す要素に他の意
味や機能を表す要素が付いていく。


例:「読んだ」「読ませられた」 違う内部構造
形態素に分析 (形態素解析) ≒単語
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


読んだ 「yom+ta」
読ませられた 「yom-ase-rare-ta」
働きかけ(使役)「(さ)せ」
影響を被った(受身)「(ら)れる」
§3 日本語と文脈依存性
§3 日本語と文脈依存性

文脈依存性

実際の言語使用の場面や文脈から{話し手/
書き手}と{聞き手/読み手}に明白で、特に言
及する理由がないことは言わない(書かない)
という特徴がある。
§3 日本語と文脈依存性

(6)♯はじめまして。私は○○です。私は学
生です。私は△△から来ました。私の専攻は
経済学です。どうぞよろしく。


⇒「私(わたくし)」が繰り返されている。
(7)はじめまして。(私は)○○です。学生で
す。△△から来ました。専攻は経済学です。
どうぞよろしく。

⇒自然に聞こえる
§3 日本語と文脈依存性

「何を飲む」「コーヒー」


⇒会話の状況からわかる。
文脈に大きく依存するという性質
§3 日本語と文脈依存性



母語話者は、文法を無意識に獲得する。
日本語の類型的な特徴(SOV) Vが必須。
日本語の文脈依存性の高さ