9kono海外体験学習研究会_感染症

「大学教育における海外体験学習研究会」
感染症対策セッション
中央大学の経験と教訓
中央大学国際交流センター
河野光雄
中央大学の海外学習プログラム
国際交流センター所管
派遣
語学研修プログラム
受け入れ 日本語・日本文化研修プログラム
協定校プログラムへの個人参加(センター斡旋)
学部
授業枠の海外研修
海外学習旅行におけるリスク管理
1.訪問国で参加者の安全が確保できるか?
2.参加者が訪問国の安全を脅かさないか?
3.参加者が帰国後自国の安全を脅かさないか?
4.旅程変更による経費はだれが負担するのか?
1.海外プログラム実施前の対応
•
センター所管プログラムの実施を決定
感染力は強いが弱毒性であること
•
プログラム実施体制
JCSOSへの加入
緊急連絡網
応援要員の待機・派遣体制
プログラム担当教員、センター職員
在外教員に現地での協力を要請
•
学生・親への対応
危機対応の講義
学生・親から健康状態申告書(含治療行為承諾書)
旅行保険への加入を義務化
短期語学研修プログラム出発5日前に届いたメール
Do not send student(s) if they have influenza like-illness
(ILI). ILI is defined as a fever of 100 degrees (38 degrees
Celsius) or greater together with a cough or sore throat.
Ensure that student(s) have not had ILI in the 7 days
prior to their anticipated program start date. If the
student has an ILI, camp should be deferred until 7 days
after symptoms began and until they no longer have
acute symptoms for at least 24 hours, whichever is
longer.
メールに対してとった措置
学生へ連絡
発熱している学生は参加させない
• 出発まで毎日検温・記録すること
• 発熱の判断は成田空港で引率教員が行う
•
学生の反応
発熱不参加の場合に対する要求
・参加費用の返還
・単位(事前授業とセット)付与
大学の対応
•
プログラム実施機関との授業料返還交渉を約束
• 航空券代の賠償には応じない
• 単位は付与しない
教訓
不測の事態発生時の授業料/手数料等の返還条件を
履修前に相手側と合意しておく
• いかなる場合にも授業料等が返還されない場合は
履修時にその旨を周知させる
• プログラムに参加できなければ単位は出ないことを
履修時に周知させる
• 格安航空券購入者には「旅行変更費用担保特約」付き
旅行保険への加入を求める
• 出発前1週間の検温データを持参させる
•
授業枠での海外学習
引率教員だけでは危機管理対応はできない
組織的バックアップが必要
当面
国際交流センターに海外学習プログラムを登録しても
らい、その実施計画に基づいて危機管理対応を行う
将来
危機管理センターを設置して専門的に対応
引率教員の負担軽減
より多くの授業で海外学習を取り込める環境づくり
2.海外プログラム実施中の対応
派遣プログラム
感染症が発生した場合は訪問国の措置に従う
訪問国機関の措置・待遇に不満を持つ学生が大使館に苦情を持ち
込み、対応した館員が「事情の説明」(「適正な対応」)を求めて混乱
プログラム打ち切りで発生する問題
プログラム実施機関が授業料の一部返還、航空券変更コストを負担
受け入れプログラム
ホームステイ: ホストファミリーの不安に応えるための措置
到着後大学保健センターで検診、ホテルに泊めて疑義のないことを
確かめてからホスト宅に。ホテル代は大学で負担。
参加費とは別に費目を定めた危機管理費(不使用の時は返却)を
徴収するか?
教訓
•
WHOの勧告に基づいて行われる感染症に対する
政府(自治体)による法的措置(勧告・強制執行)
には異議申し立てはできない
• 隔離等による旅程変更に対するオプションを
あらかじめ用意しておく
• 旅程変更により発生する経費負担に対する
ポリシーを明確にしておく
3.帰国後の対応
• 帰国後検温の義務付け
• 発症時の連絡体制
• 発症時の行動マニュアル