J-GAP 香港-日本プロジェクト 概要と成果 伊東祐郎 加納千恵子 水戸淳子 萬美保 J-GAP香港-日本プロジェクトの主な活動 1. 2. 香港大、東外大、筑波大における短期留学協定 の状況と課題の洗い出し→2011年天津大会 東外大、筑波大学生対象アンケート、 アーティキュレーションにおける課題解決方法模 索→2012年名古屋大会 3. 日本国内の大学日本語教育機関対象アンケート 調査(2013年10-11月) 4. J-GAPシンポジウム 2014(北浦和) 短期留学プログラムにおける課題 (香港大、東外大、筑波大) 1.教科書や教授法の不統一 →教授項目の不整合性 2.受け入れ校における診断テストの判定の信頼の問題 →学生の不満 3.受け入れ校における多様な学生の受け入れ →特定協定校にあわせること困難 4.受け入れ校による成績・評価の記述が不十分 →学生の参考になりにくい 5.送り出し校が単位認定する場合の授業内容、シラバス、 Can-Do Statements、能力レベル・評価基準の不明確さ、不十分・ 不統一な情報 →比較、検討が困難で単位互換の障害 アーティキュレーションにおける 課題解決の模索 1.アーティキュレーション・システム構築の方法論 北米高等教育の例 2.アーティキュレーション・アンケート調査(2013) アーティキュレーション構築に関する実態調査 アーティキュレーション・システム構築の方法論 (林 未央, 2004) ● 「アーティキュレーション・システムは、教育内容やレベ ルが異なる機関どうしのカリキュラムを接合するため のものである(p.110)」 ● 学位とは: 体系性(学位取得のためのカリキュラム)をもって知識 や能力の習得総体を保証するもの。同時に連続性(カ リキュラム内の要素を一定期間連続的に消化)も維持 されていると認識される。 体系性維持のために… 1. 2. 3. 4. カリキュラム統一型 アーティキュレーション・アグリーメント統合型 入学資格制限型 個別対応型 ⇒機関間のカリキュラム整合性 ●弾力性維持の重要性 ①カリキュラム統一型 各大学の一般教養(→日本語教育への応用の可能 性?)の理念や目的を共通化 ただし、共通カリキュラムを目指すのではない 各大学において科目分類や履修要件を調整 カリキュラムの枠組みの均一化を図り、学生移動に伴う 学習体系を確保 州レベルで導入 ②アーティキュレーション・ アグリーメント統合型 複数大学間の単位の同等性を検討 単位互換にかかわる情報を集約、リスト提示 従来のアーティキュレーション・アグリーメントの網を利 用することで、従来のカリキュラム体系を維持 全米半分以上の州で採用 ③入学資格制限型 転入資格を厳格に分類し、学生の持ち込み単位を包括 認定するもの ↓ 日本語教育に置き換えてみると: (例)機関Aで総合日本語レベル3(4単位)を履修し た学生は、機関Bでは総合日本語レベル4(6単位) を履修したものとみなす 包括認定を認める大学を審査、限定することによって、 体系性の維持を図る ④個別対応型 特段、対応策を講じないで、個別に対応する形態 J-GAP香港-日本チームの例 東京外国語大学「JLC日本語スタンダーズ」 香港大学「HKU日本語スタンダーズ」 ↓ 言語能力記述文(Can-Do Statements)を柱に作成 された指導・学習のための指標を通して、大学間の 単位の同等性を検討、単位互換、レベル選択の際の参 考とする ↓ アーティキュレーション・アグリーメント型? 弾力性維持への対応 ●情報公開 単位互換可能性の提示 統一化された書式を使用 共通の科目番号・科目コードの付与 例:検索用データベース 交流協定プログラムにおける 課題解決に向けて 1.教科書や教授法の不統一 →教授項目の不整合性 →教育理念・教授内容の公開、標準化 2.受け入れ校における診断テストの判定の信頼の問 題 →学生の不満 →明確なレベル基準・履修要件の公開 3.受け入れ校における多様な学生の受け入れ →特定協定校にあわせること困難 →情報の公開 交流協定プログラムにおける 課題解決に向けて(つづき) 4.受け入れ校による成績・評価の記述が不十分 →学生の参考になりにくい →評価指標の公開、標準化 5.送り出し校が単位認定する場合の授業内容、シラバス、 Can-Do Statements、能力レベル・評価基準の不明確 さ、不統一な情報→比較、検討が困難で単位互換の障 害 →統一化された書式による情報公開 これまでの活動をもとに 日本語教育におけるアーティキュレーション確立への提言 交流協定における教育目標・内容の情報提示、標 準化 コミュニケーション能力の可視化・体系化 教育目標と評価指標との一貫性・整合性の推進 大学間の情報交換や連携の充実 参考文献 林未央、「アメリカ高等教育におけるアーティキュレーション・システムの標準 化ー体系性・連続性と弾力性の両立問題」. HAYASHI Mio, Standardization of the Articulation System in Higher Education in the U.S.: Can “Orderliness/ Continuity” and “Flexibility” Go Together? Research in Academic Degrees, No. 18 (March, 2004). The Journal on Academic Degrees of National Institution for Academic Degrees and University Education. HKU日本語スタンダーズ・・・その背景と意義 明文化された内部指標の欠如による体系性の揺らぎ 大学の方針(科目レベルのスタンダーズ作成) 学習背景の多様化 入学時点での既習者増加 学習方法の多様化、自律的学習者増加 教育の流動化 留学、他教育機関からの移動 これらに対応するために作成 レベル別目標、指導・学習内容の明確化、質的な達成度の記述 無駄のない効果的な指導・学習 適切な単位交換・成績認定・プレイスメント アーティキュレーション構築の可能性 HKU日本語スタンダーズ 構築のプロセス 1. 2007年時点での指導内容の記述(対象は必 修日本語課目8レベル5技能) 2. 問題点の洗い出し 3. 毎年改訂 Jan 2013 日本語全レベル.doc 問題点の洗い出し、改訂の際の考慮 「教科書を教える」シラバスになっていないか? ・・・「言語項目」が先立って、行動目標とスキルが不明確に なっていないか? 整合性はあるか? ・・・行動目標達成に必要なスキル、それに必要な言語項目、 行動目標達成に適したテーマ・活動、指導方法がなされてい るか? ・・・指導と評価方法・評価項目・基準は行動目標とスキルに 沿ったものか?重複や不足はないか? 問題点の洗い出し、改訂の際の考慮(つづき) 教師、学生(態度、信念、志、専門性) 大学の方針 社会的ニーズ 理想とする卒業生像、学科ゴール、教科ゴール 教室、設備、教材 事務方との連携 スタンダーズ記述、改訂の役割分担 技能別(縦割り班)=全レベルを担当 読む 書く 聞く(独話) 話す(独話) 会話(やりとり) レベル別(横割り班)=全技能を担当 日本語I・II・III・IV 前/後期 改定プロセス 旧カリキュラムのマトリックス作成・・・技能別縦割り班 ↓ 問題点指摘・改善提案・・・技能別縦割り班 ⇔ ↓ ↑ 新マトリックス作成・・・レベル別横割り班 ↓ 実施・・・レベル別横割り班 ⇔ HKU日本語スタンダーズ・・・その背景と意義 明文化された内部指標の欠如による体系性の揺らぎ 学習背景の多様化 入学時点での既習者増加 学習方法の多様化、自律的学習者増加 教育の流動化 留学、他教育機関からの移動 これらに対応するために レベル別目標、指導・学習内容の明確化、質的な達成度の記述 無駄のない効果的な指導・学習 適切な単位交換・成績認定・プレイスメント アーティキュレーション構築の可能性 ありがとうございました☺
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