きょうだい - CANPAN

~きょうだい会を通して見えてきたもの~
きょうだいの会 代表
産業カウンセラー
諏方 智広
今日の話の内容
1.きょうだい会の運営に関して
・立ち上げにあたって
・運営していく中で
2.きょうだい会の中での参加者の声
きょうだいの問題って?
障害者に関わる支援
支援の目
本人以外の家族
障害児
本人
両親
きょうだい
きょうだいの問題の難しさ
「僕の歩く道」から
・「聞かなかったことに・・」
・「えっ、(話してもいいの?)・・」
・「お袋は気づいていたと思うけど・・」
語られるのは後になってから・・
悩んでいる、その時に相談できる第3者がいたらもっと
救われたのではないか。
きょうだい会を始めるきっかけ
・養護学校の教員として、自身もきょうだいと
してきょうだいの問題を何とかしたかった
• きょうだいが抱える問題に関して調査する研究
は多かったが、抱える問題だけを研究しても
きょうだいは実際には救われることはない。
• 体操教室などでほかのきょうだいと一緒に過ご
したなんとなく「居心地のいい空間・時間」。そ
れは偶然なのだが、大人が意図的にその場を
作ったらどうなるのだろうか。
→きょうだい当事者が子どものころに「あったらよ
かったな」を形にしてみたのがきょうだい会
• トップダウンのきょうだい会と
ボトムアップののきょうだい会
トップダウンきょうだい会
親の会の役員にきょうだい会の担当者がいて
事務的なことをしてくれる(主催行事)
→自由がきかない
ボトムアップのきょうだい会
親の会の会員(きょうだい会の保護者)が連絡役
事務的なことはほとんど担当が行う(後援)
→ある程度自由がきく
プレきょうだい会を終えて
きょうだい
楽しかった、また
一緒に遊びたい。
保護者から
・きょうだいだけの企画があるの
がいい。
・子どもも楽しそうだった。
・将来的に、相談相手になる人
が見つかるといい。
きょうだい会の意義を確認
・はじめて会ったメンバーだけどお互い何かを感じたよう。
・きょうだいは障害児向けの企画では物足らない。
・少しだけどきょうだいの話をすることができた。
新年度より定期的に集まって、きょうだい会を実施し、
親の会がきょうだい会を後援する。
きょうだい会のコンセプト
きょうだいによる
きょうだいのための
きょうだい児だけの
きょうだい会
きょうだい会の活動内容
(よこはま‘06実績)
5月 自己紹介
保護者会
6月 調理活動
7月 自閉症について
8月 キャンプ
10月 秋の味覚狩り(しいたけ狩り・こんにゃく作り)
11月 話し合い・ボーリング
12月 クリスマス会
1月
話し合い スケート
3月
遠足(日本科学未来館)
きょうだい会の規模など
(よこはま)
参加人数:登録30名 小1~高3まで
(常時参加は20名前後)
参加ボラ:登録17名 大学生・社会人
(常時参加は10~14名)
募集方法:親の会会報・口コミ・ポスター掲示
親子面談後登録
きょうだい会の他に、「きょうだいの想いを
聴く会」「母親保護者会」「父親保護者会」「保護者同
士のメーリングリスト」
参加にあたって確認していること
1.参加者や保護者
参加の意思(同じような境遇の子たちとの集まりであ
るということ)、参加の動機、家の中でのきょうだい関
係
研究発表をしていること→個人情報
2.スタッフへ
参加の条件(交通費、保険など)
スタッフ自身が何を目指しているのか
(学生の場合将来の目標)→適材適所への配置
きょうだい会の成果
1.きょうだい児達にとって
(1)自閉症児との関係の中で
自閉症児がいて得をしたと思えるようになった
自閉症児のことをより理解できるようになった
自閉症児に対して優しく接するようになった
→きょうだい関係が良好になっていく
(2)きょうだい児自身
障害のある兄弟姉妹のことを話せる場
他のきょうだいのことがわかる場
様々なこと(普段家族でできないこと)を経験する
異年齢集団
親のいないところでストレス発散
親が自分の方を向いてくれる
→きょうだい自身の心理的安定
(3)親にとって
親自身がきょうだいのことで相談できる場ができた
きょうだい児と障害のことを話すきっかけができた
2.ボランティアスタッフにとって
大人のきょうだいと出会うことができる
きょうだい児のことを理解することができる
卒論・修論が書ける
きょうだい会の課題
デメリット
メリット
・親のいないところで羽
を伸ばせる
・障害のあるきょうだい
のことで気を使う必要が
ない
→自分が主役になれる
・ある程度障害について
説明の必要がある
・自閉症児本人の用事
で欠席
・親の都合で欠席
→ 敷居が高い
デメリットに対して現在の対応
・ご近所お誘い合わせでの参加
・1人で集合場所まで来られるように援助
きょうだい支援は、障害児本人のことで一段落し
たあとに始めて考える余裕が出てくる
→結局きょうだいは「2番目」か?
きょうだい会に参加しやすいように、親がきょうだ
い支援に目を向けられるようにするにはどうし
たらいいのだろうか?
新たに立ち上げるために
1.資金面
助成金
・活動助成(日本財団、県のボランティアセンターな
ど)
・研究助成(科学研究費、明治安田生命)
2.参加者募集
親の会などの障害児の団体
学校や療育センターなどの機関
→子どもは親を通してでないと集まらない(ことができ
ない)
きょうだい会での参加者の気持ち1
1.自閉症に関する勉強会
低学年(小学2年くらいまで)
兄弟姉妹の「障害」はわかっているけども、漠然としている。
中学年(小学5年くらいまで)
ビデオを熱心に見て、自閉症に関する本も興味を持って
読んでいた。
高学年
ビデオを熱心に見ていたが、あまり積極的に話そうと言
う感じではなかった。
きょうだい会での参加者の気持ち2
2.きょうだいの得意なところ、苦手なところ
低学年
逃げ足が速い、絵を描くのが上手、水遊び、物を壊す
自閉症の特質も「得意なところ」ととらえていて、肯定的に見ている
2人(健常と自閉の)きょうだいがいる子が
「自閉のお兄ちゃんのことを書けばいいんだよね?」
高学年
ジャンプが得意、運動が得意、パズルが得意、計算が速い
自閉症の特質を「得意なところ」ととらえていて、肯定的に見ている
きょうだい会での参加者の気持ち3
3.きょうだいに関して、家でのトラブル
テレビを突然、自閉症のお兄ちゃんに切られてしまった。
母親に「お兄ちゃんのことは我慢しなさい」と言われ、その後の行動は?
我慢系
自分の部屋に行く、見るのをあきらめる、ほかのことをする など
反発系
リモコンを取り返す、親にキレる
など
対処系
ワンセグ携帯をねだる、ビデオにとる など
その他
赤ちゃんになる
最後に
原則として、「ここ(きょうだい会)で話したことは、親にはいわな
い」(特定できるようには)というなかで、子どもたちは自分の
思いを語っている。
深刻に悩んでいない子もいるけども、自分が
「なぜここに集まっているのか」の理由はわかっている。
「話し合いは面白くない」という意見は多いのだけど、いざやっ
てみるといろんな意見が出てくる
年齢に応じて、それぞれ想いを持っている
それぞれの想いを語れる場所、
聞いてもらえる場所
忙しくて参加できなくても、籍は置いて欲しい
きょうだい会はきょうだいの居場所
定期的に開催していくことが大切