文章を上手に見せる TIPS集(1)

文章を上手に見せる
TIPS集(1)
多治見IT勉強会
可知 朗
2010.04.14
前提
 読み手は、とても不親切
小説やエッセイなどの作品や、
さまざまな論文、報告書、案内書、
社内のビジネス文書にいたるまで
「読者」はとても不親切な存在
• そもそも書き手の思いを知らない
• 書き手の思いを積極的に理解しようとしない
• 何度も読み返さない
上手な文章とは
• そもそも書き手の思いを知らない
• →分かるだろう、は通用しない
• 書き手の思いを積極的に理解しようとしない
• →誤解を招いたのは書き手の責任
• 何度も読み返さない
• →一読で分からせる工夫が必要
上手な文章とは、
一読しただけで
正確に意味が通じる文章
正確に意味を伝えるために
(1)修飾・被修飾の関係
(2)句点・読点の打ち方
(3)漢字と仮名の使い分け
(4)助詞
(5)リズムと文体
……など、多くの技術(TIPS)が存在する
今回のテーマは、(1)修飾・被修飾の関係
例文1
AがBをCに紹介する
Aが (主格)
Bを (対格
Cに (目的格)
①
②
③
④
⑤
⑥
AがBをCに紹介する
AがCにBを紹介する
BをAがCに紹介する
BをCにAが紹介する
CにAがBを紹介する
CにBをAが紹介する
①~⑥まで、どの言い方をしても、
大きく意味が変わることはない。
TIPS 1(大前提)
日本語は、修飾語の入れ替えが可能
日本語では、修飾する言葉の
順序を上手に入れ替えることで
文章はより分かりやすく
(二度読む必要がなく)なる。
英語などの言語では、そうは行かない。
例文2
私は後藤さんが牛田さんが柴田さんが不倫した現場を見たと笑ったのかと思った。
語順を入れ替えると……
柴田さんが不倫した現場を牛田さんが見たと後藤さんが笑ったのかと私は思った。
※実際には、カッコや句読点を用いて
「柴田さんが不倫した現場を、牛田さんが見た」と、
後藤さんが笑ったのかと私は思った。
とすれば、もっと分かりやすくなる。
まとめ1
これまでの検証で、自然だったのは
③ 吉本キャラがついた薄い青い紙 ○
④ 吉本キャラがついた青い薄い紙 ○
④ ライトを消して停まらずに速く走る車 ○
いずれも、修飾句が前、修飾詞が後になっている。
TIPS 2
修飾句が前、修飾詞が後
※この場合の修飾句とは、複数の修飾語
(名詞・形容詞・形容動詞など)で一つの述語にかかるケースを意味する。
検証1のまとめ
修飾語よりも修飾句(修飾語の複合)を前に、
さらにすべて修飾句の場合、
より長い句を前に出すと自然に読める。
TIPS 3
長い修飾句が前、短い修飾句が後
※修飾語よりも修飾句の方が長いことを考えると、
TIPS3は、TIPS2を一般化したものと考えられる。
これは三者の「意味の大きさの違い」に由来する。
柴田さんがケータイで欠席すると連絡した。
柴田さん:大状況(最も重要な意味を持つ句)
欠席する:中状況(その次に重要な意味を持つ句)
ケータイで:小状況(最も意味が重要でない句)
このように意味に順列がある場合、
大状況(意味が最も重要な句)から小状況(意味が重要でない句)へ、
重要な内容から重要でない状況へ
という順にならべると自然になる。
TIPS 3
大状況から、意味の大きい順に並べる
TIPS 1(大前提)
日本語は、修飾語の入れ替えが可能
TIPS 2
形容句が前、形容詞が後
TIPS 3
長い修飾句が前、短い修飾句が後
TIPS 4
大状況から、意味の大きい順に並べる