学校給食のあり方について~費用負担と民間委託の検証

~費用負担のあり方と民間委託の検証~
関西学院大学経済学部 高林研究室
学校給食制度の分析
1章 現状認識
2章 費用負担のあり方
3章 費用削減の方策
4章 政策提言
1章
現状認識
学校給食制度の現状認識
学校給食の位置づけ
学校給食の性質
競合的・排除的
戦前・・・貧困児童救済
公共財
なぜ公的供給か?
戦後・・・救貧対策
現在・・・食事補助
私的財
『価値財』
学校給食制度の現状認識
学校給食の業務
・献立の作成
・物資の購入
・食材の検収
・調理
・検食
・食器洗浄
学校給食の業務分担
学校栄養職員(公務員)
・栄養士の資格を有するもの
・学校給食実施に必要な知識または
経験を有するもの
学校給食会
学校給食調理員(公務員)
校長
学校給食の問題点は何か?
問題提起
保護者の過小な負担
保護者の過小な認識
過剰な人件費
過剰な人員配置
保護者負担は適切か?
合理的な運営が
なされているか?
2章
費用負担のあり方
費用負担のあり方
《現行の費用負担システム》
施設費
備品費
設置者負担
(市町村)
地方交付税
による積算
地方交付税
による積算
修繕費
人件費
人件費
(給食調理員)
(栄養職員)
光熱水費
都道府県
負担
国庫負担の
2分の1
消耗品費
補助金
食材料費
保護者負担
費用負担のあり方
一回当たりの保護者負担費
安高
小学校
290.1(千早赤阪村)
240.7(和泉市)
222.2(八尾市)
210.7(豊中市)
192.8(高槻市)
(単位:円)
中学校
285.7(和泉市)
261.8(熊取市)
252.3(門真市)
238.1(大阪市)
229.1(田尻町)
非常に安い
市町村平均
222円
256円
費用負担のあり方
アンケートの概要
(対象)
・小学生から大学生の子供
をもつ親
(実施日)
・10月8日~10月30日
(回収率)
・57.2%(138配布)
(質問内容)
・現在の学校給食に満足して
いるか
・給食費の保護者負担をどう
思うか(安いと答えた人は
一食あたりいくら出しても
良いか)
・実際には学校給食一食当た
りいくらかかっていると思うか
・民間委託についてどう思うか
費用負担のあり方
一食当たりいくらかかっていると思うか
19%
16%
14%
19%
9%
23%
200円未満
200円以上300円未満
300円以上400円未満
400円以上500円未満
500円以上
検討がつかない
費用負担のあり方
給食費の保護者負担が安いと答えた人は一食どの程度出してよいか
12
11
プラス100円~200円
は可能
10
8
6
4
4
3
2
0
0
0
0
300円 400円 500円 600円 700円 800円
費用負担のあり方
過小な負担
価値財
過小な認識
受益と負担の不一致
個人の便益
受益に見合った負担
3章
費用削減の方策
費用削減の方策
民間委託
民間企業
財・サービス
の生産
民営化
民間企業
財・サービス
の生産
政府
負担
税
政府
費用削減の方策
民間委託についてどう思うか
27%
賛成
反対
60%
13%
どちらとも
言えない
費用削減の方策
☆人件費(調理員)の分析方法☆
1:直営と委託率100%の児童・生徒一人
当たり人件費を比較
2:委託率の上昇による児童・生徒一人当
たりの人件費の変化を検証
費用削減の方策
☆児童・生徒一人当たりの人件費の算出方法☆
児童・生徒一人当たりの人件費
(調理員数×給与)
児童・生徒数
☆委託率の算出方法☆
委託率
委託を行っている学校の児童・生徒数
各市町村別の児童・生徒の総数
委託率別一人当たり人件費平均
委託率
0%
100%
一人当たり人件費
32,559円
12,841円
費用削減の方策
一人当たり学校給食費
(一人当たり調理員費)
委託率と人件費
委託率と人件費
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
-20%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
120%
委託率
費用削減の方策
☆人件費が下がる要因の考察☆
1、委託率別に調理員一人当たりの児童・生徒数
を比較
2、調理員の年齢構成を民間委託を100%行って
いる市町村と行っていない市町村で比較
3、給食調理員の年齢別給与を民間委託を100%
行っている市町村と行っていない市町村で比較
☆調理員一人当たり児童・生徒数の算出方法☆
調理員一人当たり児童・生徒数
各市町村別児童・生徒数
各市町村別調理員数
費用削減の方策
委託率別調理員一人当たり児童・生徒数平均
調理員一人当たり
委託率
の児童・生徒数
0%
130人
1~99%
199人
100%
304人
民間委託率が高くなるにつれて調理員
一人当たり児童・生徒数の数値が高い
民間委託率が高くなるにつれて調理員
一人当たりの労働量が多くなる。
民間委託したほうが調理員一人当
たりの生産性が高い!!
費用削減の方策
50歳代の給与
が最も高い
給食調理員給与別比較
円
500,000
450,000
直営調理員の給与は大きく右肩上がり
400,000
350,000
300,000
給
与 250,000
200,000
150,000
民間調理師の給与の変化はほぼ一定
100,000
50,000
0
20~24
25~29
30~34
35~39
40~44
45~49
50~54
55~59
60~64 才
年齢区分
政令指定都市
市
町村
調理師(女)
調理師見習い(女)
費用削減の方策
直営のほうが50歳以上の
調理員割合が高い
年齢区分別調理員割合
50歳以上割合
市町村(民間委託)
50歳以上割合
市町村(直営)
50歳以上割合
政令指定都市(直営)
0%
25歳以上~30歳未満
10%
30歳以上~35歳未満
20%
30%
35歳以上~40歳未満
40%
50%
40歳以上~45歳未満
60%
45歳以上~50歳未満
70%
80%
50歳以上~55歳未満
90%
100%
55歳以上~60歳未満
60歳以上
費用削減の方策
民間委託している市町村のほうが
より少ない人数で調理業務を行っている
直営調理員の給与が年功序列で、
民間の給与水準を大きく上回り、
もっとも給与の高い50歳以上の
調理員が6割以上を占めている
民間委託
すれば人件費
が安くなる
4章
政策提言
政策提言
費用負担のあり方
費用削減の方策
私的財・個人の便益
合理化・民間活力
保護者負担の増額
民間委託
受益と負担の一致
費用の削減
ご清聴ありがとうございました