ヒューマンレコーダの話 - ウェアラブル環境情報ネット推進機構

平成19年11月22日 【工学部講義資料】
コンピュータを「着る」時代
東京大学名誉教授
東京理科大学大学院総合科学技術経営研究科 教授
NPO法人 ウェアラブル環境情報ネット推進機構 理事長
板生 清
e-mail : [email protected]
http://www.npowin.org
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朝日新聞社説
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内
容
Ⅰ. カラスの話
Ⅱ. ヒューマンレコーダの話
Ⅲ. 快適服の話
Ⅳ. 環境の話
Ⅴ. 安全安心の話
VI. 万物は情報を発信する
VII. . さらなる社会変革への取り組み
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Ⅰ. カラスの話
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PHS・GPSによる移動体の位置追跡
カラス探索用PHS
(22g.13日間)
PHS 基地局
デジタルマップ
GPSとPHSによる中型動物用(狸,鹿,イノシシ等)位置探査端末
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物流追跡システム(RFID/PHS併用による商品個体レベルの自動追跡)
位置情報
周囲のパレット情報
製品のタグ情報
を親端末が収集しまとめて送信
Wide Area
位置情報
Local Area
製品のタグ情報
製品タグ
(RFID)
親端末
(PHS)
位置検出
データ送信
Bluetooth
周囲のパレット情報
Local Area情報と位置情報を
併せて管理することで、
Wide Areaでの物流管理が
低コストで実現する
商品個体レベルの
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連続位置追跡が可能
システムの適用範囲は広がっている
 システム開発当初の目的
物流で使われるパレットの紛失・流失の原因究明
お客様からの引き合いで適用範囲は拡大
 シャーシ
 廃棄物
 トラック
 ATM(の工事,輸送)
 カーゴ台車
 建機
 通い箱
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物流位置情報プロジェクト
PHSを用いたパレット追跡システムの開発
物流パレット紛失被害の増大
(一説では国内で数十億円/年)
位置追跡への要求増大
位
置
情
報
外部電源にて6ヵ月
の電池寿命を実現
パレットを選ばず装着可能
(実用新案第3094364号)
専用ソフトにより最適な
倉庫マッチングを実現
事例を重ね適切な運用モデルを考案
補充費,回収費,不法投
棄の削減
平成13年,
NPO法人ウェアラブル環境情報ネット推進機構と
ウベパレットレンタルリーシング(株)により事業化
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Ⅱ.ヒューマンレコーダの話
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ヒューマンレコーダ開発による健康増進の取り組み
フライトレコーダは飛行機に必ず装備することが義務づけられている (航空法第61条)
また大きな船にはボイジレコーダが義務づけられている (海上船舶安全法)。
最近、自動車でもドライブレコーダの普及に向けた取り組みが安全対策 ・自己分析調査
の両面から盛んである。
さて、それでは人間にもそのようなバイタルデータの記録装置が必要になるはずである。
最近のマイクロデバイスの技術進歩からみて、ウェアラブルなレコーダが実現できるはず
である。
私はこれを「ヒューマンレコーダ」と名付けてみた。
ヒューマンレコーダは、24時間、365日絶え間なく人間が生体として発する情報(バイタ
ルサイン)を検出し、記録するウェアラブルな装置と定義する。
心電計や体温計や加速度計などをチップ化したセンサから携帯電話へと微弱無線で送
信し、携帯のメモリに一旦蓄積して、さらにはパソコンに転送して生体データを蓄積するシ
ステムである。
このような装置を実現するためにWINでは、昨年10月にバイタルケアネットプロジェクト
を新発足させた。
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センサネット時代に携帯電話はサーバーにな
る
携帯電話の位置付け
様々な機能を提供する、誰でも持てる身近なコンピュータ
人の情報を記録する
ヒューマンレコーダ
快適
•音楽ケータイ
•TV
•ラジオ
•ゲーム
•おサイフケータイ
身近なコンピュータであるが、
個人を学習できない。
⇒人に必須の機械にしたい。
•バイタルサインをトレース可能
•行動をトレース可能
安心
PC機能
•電卓
•カレンダー
•万歩計
•ウェブ
•メール
•File Viewer
•個人の状態にあったサービス
近未来
安全
•キッズケータイ
•防犯ブザー
•ナビゲーション
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生体現象の計測と得られる医学データ
生体現象
脳内血流
眼球運動
センサデータ
二次データ
三次データ
四次データ
血流量
シックハウス症候群
振動周波数成分
覚醒度
血中酸素
循環器疾患
赤外光強度
不整脈
心不全
心電図
心拍,脈拍
赤外光強度
頭部電圧
アイカメラ画像
飽和酸素濃度
心臓の拍動
身体運動
歩行パターン
呼吸
脳活動
寒暑感
モニタリングの対象
加速度
足圧
角速度(ジャイロ)
脳波
皮膚電気抵抗
緯度経度(GPS)
空間移動
端末位置(PHS)
活動量
心拍ゆらぎ
エネルギー消費
足圧パターン
胸部運動
自立神
経指標
慢性疲労症候群
注意欠陥多動性
障害(ADHD)
生活習慣病
呼吸数
パーキンソン病,骨格障害
α波
睡眠時無呼吸
乳幼児突然死症候群
発汗量
快適感
位置
痴呆性高齢者徘徊
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ヒューマンレコーダによる将来イメージ
前方注意
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ヒューマンレコーダアプリケーション
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ストレスと病気
生活習慣病 ( 高血圧、糖尿病、高脂血症 )
死亡率
脳出血 ↓
心筋梗塞 ↑
狭心症 ↑
脳梗塞 ↑
+
癌
⇒ ストレスの影響を受けている!
コレステロール値、血糖値、尿酸値、血圧↑
⇒血液が固まりやすい(血栓)⇒動脈硬化
長時間
過度のストレス →→→→→ 自律神経乱れ
免疫力低下
迷走細胞(心臓)、胃腸、、
副交感神経(安静、リラックス)
交感神経(興奮、緊張)
優位
⇒
血圧が高くなる
血液循環がスムースにできない
避けられないストレスとどのように付き合うか?
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ストレスと自律神経
自律神経 ⇒ 「交感神経」、「副交感神経」
ストレス ⇒ アドレナリン、ノルアドレナリン (神経伝達物質) ←交感神経優位
⇔
βエンドロフィン
血管収縮 ⇒ 血行不良 ⇒ 体温低下 ⇒ 血液浄化環境の悪化
病気、健康に悪影響
ストレス
+++++++++++++++++ ××
-------------
×
+
+
+
+
○
time
NO ストレス ⇒ 脳の血流悪化により ボーッ とする。
ストレスは解消されず長時間続く状態が良くない。
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避けられないストレスとどのように付き合うか?
→ セルフコントロール、ストレスマネジメントが必要
-100
-150
-200
-250
-300
アロマ
日光浴、森林浴
病気
エステ
西洋医学
Care
⇒ Cure
睡眠
5000
6000
7000
8000
9000
10000
食事
人によりその種類も効果も様々
旅行ストレスマネージメント
→本人でさえ、何が良いのか分からない。→指標が欲しい。
Care
Cure
・・・
等々。
30sec
+ 心拍スペクトル分析が必要
LF
R-R interval ms
LF,HF分析
(自律神経支配)
HF
Ratio of LF / (LF+HF)
ECG
200
150
100
50
ストレス解消法
0
-504000
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Time
Ⅲ.快適服の話
20
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スマートウェアの進化の展望

3つの世代に分類


第二世代をターゲットとする。
身体性
将来的には、第三世代へ(非常に大きなテーマ)。
ターゲットユーザ
何にでも
(モノ,動物,環境)
だれでも
技術者
衣服として着るコンピュ
ータ
MP3プレーヤー付きジ
ャケット
腕時計
携帯電話
ノートパソコン
HMD
第三世代
“e-テキスタイル(素材)”の時
代
第二世代
“ウェア(着る)”の時代
素材・部品のイノベーシ
ョンによるパラダイムシフ
ト
第一世代
“装着”の時代
電気・機械・情報
技術
マイクロテクノロジー
ナノ・バイオテクノロジー
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Sports-wear
• e-coaching
– Sensors
•
•
•
•
Heart rate
Acceleration (ViM)
Ultra Violet
Temperature
– PC with Bluetooth
• Collect sensor
information
• Generate coaching
information
• Manage personal profile
– Rotary encoder
• Select coaching mode
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空調服を端末とするネットワークサービス
ユーザの体温,空調温度のデータを,ネットワーク上のサーバーで収集し,解析す
ることにより,ユーザの状況を常時モニタし,必要に応じて賢く支援する.
屋内エアコン
1.快適度の
モニタリング
空調服
体温,空調服温度
3.他の機器との
連携(空間全体の
省エネ制御)
近所の避難場所,病院案内
ユーザー端末(携帯電話,PDA)
サーバー
2.異常検出
とナビゲー
ション
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ペルチェ素子ユニットの冷暖房服
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27
ITの進化
屋外空間
屋内空間
自動車空間
服空間
存在空間の変化
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Ⅳ.環境の話
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ネットワークの進化
センサ情報ネットワーク
インターネットの発展
31
センサ情報ネットワーク
32
包括的環境モニタリングシステムのイメージ
出典:「ネイチャーインタフェイス」8号
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野生動物
人工物
センサ
情報(位置、生理、
化学物質濃度)
腕時計コンピュータ
マイクロ発電機
ネットワークへ
無線発信機
環境情報センシング
ネイチャーインタフェイサの利用形態
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地球環境と人間と人工物
宇宙
生物系
地球
Nature
Hemisphare
生物
ネイチャーインタフェイス
Human Being
人間
ネイチャーインタフェイス
インタ
マイクロセンサ
インタネット
情報マイクロシステム
人工物系
Artifacts
Hemisphare
35
36
37
Ⅴ.安心安全の話
38
39
本領域の研究対象
自然災害や人為的作用など
社会の安全・安心を脅かす危険や脅威を早期かつ的確に検知し、
その情報を迅速に伝達する統合センシング技術を創生する
ことを目指す研究領域
1) 要素技術としての先進的な
☆高感度・ワイヤレス・超小型の革新的センサー技術
☆ネットワーク技術
☆情報処理技術
2) 個別要素技術の組み合わせによる
☆検知技術の飛躍的向上を実現する統合システム技術
☆情報処理・ネットワーク技術にブレークスルーをもたらす
統合システム技術
厳正なる審査の結果、今年度は下記研究分野を採択しました。
(1)構造物の劣化・損傷分野、食の安全確保分野、自然災害などによる都市基盤の
脆弱性の検出・予測分野、有毒ガスなどの検出分野。
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(2)安全・安心サービスを実現するうえで不可欠な、センシング基盤技術の創出分野。
H17年度 採択課題
☆社会の安心安全に貢献する
ユビキタス集積化マイクロセンサの開発
・・・石田 誠 (豊橋技術科学大学 教授)
☆安全と利便性を両立した空間見守りシステム
・・・車谷 浩一 (産業技術総合研究所 グループ長)
☆安全・安心のための移動体センシング技術
・・・佐藤 知正 (東京大学 教授)
☆セキュリティ用途向け
超高感度匂いセンサシステムの開発
・・・都甲 潔 (九州大学 教授)
☆事故予防のための日常行動センシングおよび
計算論の基盤技術
・・・西田 佳史 (産業技術総合研究所 チーム長)
☆全自動モバイル型生物剤センシングシステム
・・・安田 二朗 (科学警察研究所 室長)
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(車谷)
42
(西田)
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研究のアプローチ
(西田)
乳幼児事故予防のための統合的センシング技術
ユビキタス型・ウェラブル型
乳幼児行動センシング技術
(ミクロな行動のデータの収集)
乳幼児行動・事故シミュレーション
(一歩先のセンシング)
乳幼児行動・事故モデル開発
(再利用性保証)
大容量データの蓄積
データを知識化
(コンテンツ化)
インターネット型
乳幼児事故センシング技術
(マクロな事故データの収集)
事故予防のためのセンシング
行動・事故分析のためのセンシング
行動特性のモデル化とセンサ技術を統合
”統合的センシング”
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45
(安田)
全自動モバイル型生物剤センシングシステムの開発構想
■ 高感度&迅速
■ 簡便&安全
■ 高精度
他項目同時検査(同時に複数種
の生物剤を同定)を短時間で実現
判定精度=ほぼ100%
全自動化により操作容易性を実現
複数機能一体型装置による小型化
→特別な技術(専任技術者)は不要
1. 多項目同時検査
2.モバイルシステム
同時に複数種の生物剤を同定・判別
• 白い粉
• 飲食物
• 罹病患者の検体etc
■ 可搬(小型化)
•天然痘ウイルス
•炭疽菌
•ペスト菌
(検出→増幅→ラベリング→ハイブリ→検定)
3.自動システム
現場での簡便、迅速な検査を実現
現場での機動的検査を実現
シンプル・コンパクトな電流検出系
オールインワン検出システム
情報の電子化・ネットワーク化に対応


簡単、
迅速な
全自動検査
•Q熱菌
•ブルセラ菌
DNAチップ
•エボラウイルス
•マールブルグウ
イルス
•ラッサウイルス
•野兎病菌
•ボツリヌス菌
etc.
検出装置
■現場での生物剤、罹患同定検査を実現
■関係機関とのリアルタイムな情報共有を実現
■モニタリングが必要となるあらゆる場面・
場所で日常的な検査を実現
■誰でも容易に操作可能
■First responder での迅速な検知・同定を実現
生物剤による犯罪・テロ対策としての期待効果
1-バイオテロ発生の迅速検知
2-適切な防護・治療・除染対策の確立に寄与
3-感染源・感染経路の特定に威力を発揮する 機動性・情報性
4-高い科学技術力の国内外へのアピールは犯罪・テロに対する大きな抑止力になる
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National Research Institute of Police Science
H18年度 採択課題
☆安心・安全の為のアニマルウオッチセンサの開発
・・・ 伊藤 寿浩 (東京大学助教授)
☆多種類の危険・有毒ガスに対する
携帯型高感度ガスセンサシステム
・・・山中 一司(東北大学 教授)
☆応力発光体を用いた
安全管理ネットワークシステムの創出
・・・徐 超男 (産業技術総合研究所 主任研究員)
☆都市基盤の災害事故リスクの監視とマネージメント
・・・藤野 陽三 (東京大学 教授)
☆実世界検索に向けたネットワークセンシング
基盤ソフトウエアOSOITE
・・・戸辺 義人 (東京電機大学 教授)
47
(伊藤)
48
VI.万物は情報を発信する
49
万物は情報を発信する
ギリシャの哲学者ヘラクレイトスは「万物は流転す
る」と言った。いま情報時代を迎えて、私は「万物は情
報発信する」と言うフレーズを提唱したい。
ここでの万物とは、自然・人工物・人間を含む全ての
存在物である。残念ながら現在人間は万物が発信す
る本質的な(Nature)情報を検知し得ていない。人間
の生体が出すバイタルサインですらである。すなわち
人間の認識と万物が発信する情報とのあいだに界面
(Interface)が存在する。これをNature Interfaceと
呼ぶ。
このNature Interfaceを克服するために、センサネッ
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トワーク技術が有力な武器となる。
自然環境
・環境モニタリング
生活環境
・動物活動モニタリング
・汚染モニタリング
・快適度モニタリング
生産環境
人間環境
・故障予知・診断
ヘルスケア
・エネルギー制御
生体情報モニタリング
交通環境
・自動運転
・高度安全化
防災環境
・河川水位モニタリング
・ダム強度モニタリング
農業環境
・育成モニタリング
・温室制御
(ラスト1mの壁をセンサ端末と
微弱無線で乗り越える)
図2. ネイチャーインタフェイスの世界
51
表1 モバイル通信からセンサ通信へ
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図3 ネイチャーインタフェイサの構成
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センサ端末
(ネイチャーインタフェイサ)
人工物
動物,人間
故障診断
生態観察,健康診断
センサ
物理データ
(アナログ)
プロセッサ
電源
インターネット
論理データ
(デジタル)
無線
基本技術:腕時計型のPC,PHS,GPS,生体センサ,自動発電機
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人間環境
ヘルスケア
快適環境制御
救急医療,痴呆高齢者.
脳波,眼球運動,加速度,皮膚温度,皮膚導電率,
脈拍,パルスオキシメータ,足圧,GPS
自然環境
自動車運転者の覚醒度制御
アロマテラピー濃度制御
インターネット
物流
野生動物
PHS,GPSによるカ
ラス,タヌキの位置
探査
人工環境
N次元地図表
示システム
PHSによるパレット
追跡
工場
振動センサ,圧力セン
サによる故障診断
環境計測
環境微粒子
日照,騒音,温湿度
RF-ID応用
造船所
環境情報,生体情報の一元管理
ウェアラブルデータ伝
55
送.位置探査
VII.さらなる社会変革への取り組み
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自動車と人間の情報共有の取り組み
事故を未然に防ぐための技術として注目されているのが、人
間の五感をモニタリングし、それを車の走りにフィードバックする
ための技術である。
自動車を運転する人なら誰もが感じたことがあるだろうが、ヒ
ヤっとする瞬間というのは、街中などで障害物が多くあるときや、
単調な直線の高速道路などぼんやりしてしまうときに経験するこ
とが多い。これは、情報が多すぎても少なすぎても運動能力が
低下することを意味している。つまり、適度な刺激がないと、人
間は疲労して事故を起こしやすくなるのである。逆に言えば、人
間の疲労を事前に検知することができれば、多くの事故を未然
に防ぐことができる、と考えられる。
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ウエアラブルズシステム
センサー等
心拍
個人の健康情報
精神性発汗
個人の環境曝露履歴情報
個人の位置情報
体温
活動量
生体情報
ウエアラブル
環境情報
情報システム
個人のDB情報等
温湿度
空気清浄機
視線方向輝度
エアコンディショナー
空気清浄度
リラックス音楽システム
騒音
従来システム
自動車室内設備等
日射量
位相反転音発信システム
赤外線フィルター・システム
図8 ウエアラブルズによる自動車室内の快適環境評価・創成システムの情報ネットワークのイメージ
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子供や高齢者の安全への取り組み
子どもや高齢者の安全性を抜本的に高めるためは、これらに
加え、センサー、画像処理、ネットワーク、GPSをはじめとした
科学技術の成果を積極的に活用し、不審者や不審な行動、
子どもや高齢者の行動などを観察・検知し、警告・連絡するな
ど、犯罪の検知・予防、自己防御能力を高めることが必要で
ある。これらの技術の導入に際しては、安全性を確保するとと
もに、威圧感や負担感が少ない人に優しい方法であることも
必要である。このほか、子どもや高齢者に対する将来の安
全・安心の確保の方法として、先端科学技術等を活用した全
く新たな対応方策の創出も期待される。さらに、人文・社会科
学との協働により、心理学的な取組も重要である。
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特に、技術開発の急がされる項目は以下のように考える。
(1)位置情報の高精度化:GPS、ICタグ、およびセンサ情報等
の融合による、山林等の人口密度が低い地域や、建物の内
部・地下等に移動しても監視が可能となるシームレスな検知
システムの構築。
(2)危険状態の検知:声のトーンや姿勢・身振りから、被害者が
危険を感じているかどうかを検知する音声処理・画像処理技
術など。心電計・体温計・3次元加速度計を内蔵したワンチッ
プセンサの開発。これは、平常時には健康情報のモニタとし
て働くが、脅威時には情報を発信する。
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未来の人間情報通信(1)
• 今日、私たちは手軽で便利な情報通信手段として、例えば、携帯
メールを用いることが当たり前のようになっている。キーボードや
音声といった人工的な媒介物を通して相手に情報を伝えている。
メールでは自分の考えや感情が相手に充分に伝わらないもどか
しさを感じる。
• 単にもどかしいだけでなく、時には、単純化された事務的な表現
が相手に冷ややかな印象を与えてしまい、その後になんとなくぎ
すぎすした人間関係に陥ったり、最悪の場合は、こちらの本意が
伝わらず思わぬ誤解をまねく原因になったりということがあり得る。
メールのように情報通信手段が簡便でスピーディになればなるほ
ど、ディジタル機器は、私たち人間の持っている複層的で繊細な
心のヒダを削ぎ落として相手に伝達しているという、ある種の逆行
現象を生み出しているといっても過言ではない。
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生体情報通信(1)
•
•
今日に至るまで、手紙から電話、そしてキーボードへと情報通信手段の主体
は推移してきている。それはアナログからディジタル化への歴史の変遷とも言
える。
そのような日進月歩の科学技術の社会現象の中で、私たちは便利さとは裏腹
に、自分の感情や考えなどが相手に充分に正確に伝わっていないもどかしさ
や不安や不満を募らせてきているのが実情である。私たち人間の生体情報、
例えば、やたら心臓がドキドキする事態や顔が赤面するなどという人間の心理
的要因を削ぎ落とした伝達手段になってきているとも言える。
62
生体情報通信(2)
•
•
それは、反面、私たち人間の生体情報はディジタル化によって計測し尽くさ
れてしまうほど単純ではなく、とてつもなく豊かで繊細な情報が潜在的にあ
るということを意味している。これまで人間の生体情報は未開拓のままでし
たが、私たちは、人間を心身合一の生体情報を持ったセンサーそのもので
あると捉えている。
そこで、私はこれからの情報通信手段について、次のように構想している。
すなわち、自分の生体情報について、人間がわざわざキーボードで入力す
るのではなく、例えば、胸に小さなセンシング・チップを貼っておきさえすれ
ば、自分の潜在的なバイタル情報は自動的に必要に応じて相手に送信さ
れるウェアラブル通信を経て、さらにその情報をネットワーク化するという、
いわゆるセンサ・ネットワーキングの世界を構築することを目指している。
63
生体情報通信(3)
•
高齢化社会の今日、他の人の手を煩わせることなく、しかも自分にとっても
簡便に正確に自分の健康状態や感情の状態を把握することができ、しかも
周囲から早めの適切な措置やより深い心の理解が得られるとしたら・・・
このような安全・安心の社会の実現を望む人は多いのではないだろうか。
近未来の実現を目指して、私はそのようなセンサ・ネットワークの社会の構
築に挑んでいる。
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地球環境と人間と人工物
宇宙
生物系
地球
Nature
Hemisphare
生物
ネイチャーインタフェイス
Human Being
人間
ネイチャーインタフェイス
インタ
マイクロセンサ
インタネット
情報マイクロシステム
人工物系
Artifacts
Hemisphare
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自然環境
・環境モニタリング
生活環境
・動物活動モニタリング
・汚染モニタリング
・快適度モニタリング
生産環境
人間環境
・故障予知・診断
ヘルスケア
・エネルギー制御
生体情報モニタリング
交通環境
・自動運転
・高度安全化
防災環境
・河川水位モニタリング
・ダム強度モニタリング
農業環境
・育成モニタリング
・温室制御
(ラスト1mの壁をセンサ端末と
微弱無線で乗り越える)
図2. ネイチャーインタフェイスの世界
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6. 結び
情報通信サービスは、第1世代の固定電話時代から、第2世代の移動通信時代へと
進展してきたが、第3世代ではキーボードレス・ワイヤレスのセンサ通信の時代へと
発展してゆくと認識する。近年、マイクロマシン技術、マイクロセンサ技術、ウェアラブル
技術、インターネット技術の融合によって、極微の情報マイクロシステムの構成が可能
となってきた。さらに進んで、ナノテクノロジーが進展するなら、フレキシブルなセンサ、
電源、コンピュータ、ディスプレーが出現するであろう。
すでにMEMS技術で10グラム以下のセンシング端末が実現される状況にあり、近い
将来、生産現場、生活現場の機械や、小鳥、植物、人間などあらゆる情報発生源に装
着が可能となり、膨大な情報の流入口を提供する事になる。
これらの情報を知識処理して診断・制御し、その結果をフィードバックするシステムが
出来るようになる。これにより社会イノベーションが起こり、自然や人体、地球の健康を
守る快適な安全安心の世界が生み出されると予想される。
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