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十一頭のロバ
作者: グイノ・ジェラール神父
音楽: Un jour
作曲者: 不明
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ロバの群れ
を持っている
ある年寄りは、
それを
遺産として
自分の三人の
子供たちに
遺贈することに
決めました。
彼の遺言によると、長男はロバの群れの半分を受け,
二男はその群れの四分の一を受け、三男は群れの六
分の一を受けるはずですが、残るロバがあればそれ
は神様の分になるのだそうです。自分たちの父の死の
後すぐに、三人の兄弟たちは集まって遺産の分け前
の計算を始めました。
計算の結果はこの三人の兄弟たちを惑わせました。
と言うのは、長男は群れの半分、つまり11÷2=5.5頭
のロバを受け、二男は群れの四分の一つまり11÷4=
2.75頭のロバを受け、三男は群れの六分の一つまり
11÷6=1.83頭のロバを受けることになるからでした。
更に、神様の分け前は残りの0.92頭のロバでした。
例え、いくら彼らが前もって神様の分け前を外して、
群れの数を10頭、9頭、8頭にしてみても、彼らは父
の遺言が要求している通りの遺産分割が中々出来
ませんでした。
あの世に行った父の遺言を全く実現できない事を理解
して、三人兄弟が腹を立て、喧嘩を始めました。彼らの
間の雰囲気が益々悪くなったので、長男は隣の教会の
神父に遺言の問題を相談することに決めました。この神
父が賢明な勧めを与える人として知られていたからです。
個々の事情を聴いた神父は遺産問題の解決の為に
自分のロバを三人の兄弟に与えることを考えました。
「きっとこのロバが役に立ちますから あなたがたにさし
あげましょう。しかしこのロバがあなたがたにもう必要で
なくなった時、必ず私に返してくださいね」と神父は言い
ました。
長男はすぐ十一頭のロバの群れに神父のロバを加
えました。こうしてロバの数は12頭となりました。長男
は、もう一度、二男と三男と共に分け前の計算をしまし
た。今度はすべてはうまくいきました。
長男は群れの半部、つまり12÷2=6頭のロバを受け、
二男は群れの四分の一つまり12÷4=3頭のロバを受
け、三男は群れの六分の一つまり12÷6=2頭のロバ
を受けました。結局この三人の兄弟たちは遺言の通り
6+3+2 =11頭のロバを分けました。
そして不思議なことですが神様の分け前である一頭
のロバが残っていました。長男はこのロバを神父に返
しながら「やはり、このロバは全く役に立ちませんでし
た。神父様が言われたようにお返しします」と言いまし
た。遺産の分け前を受けて、三人の兄弟たちは仲直り
しました。神父のロバのお蔭で彼らの間に平和が戻り
ました。
この物語の神父のロバのように、無償で与えられて
いる神の恵みも役に立たないと思う人がいます。しか
しこの恵みがなければ、人は次々と解決できない問題
とぶつかります。
それでもその日その日の為に与えられているあの神
父のロバのように、神の恵みは人々を仲直りさせ、平
和をもたらし、安定した未来を開きます。
思いがけない時に無償で与えられる神の恵みの名は
「摂理」です。
神の摂理は日常生活を楽にし、知らない内に私たち
に幸せの道を開きます。ですから神の慈しみに対して
無関心な人にならない為に、詩編の質問に具体的に
答えましょう。
「神が与えて下さったすべての恵みに、
わたしはどのようにこたえようか」
(詩編 116,12)
おわり