080328 第119回日本森林学会@東京農工大学 <P3c08> 高山・湿地・火山礫上に生育するアカエゾマツ 針葉の形態および生理特性変異 ○飯島勇人*(北大院農)・北村系子(森林総研北海道)・後藤晋(東大院農) *連絡先 [email protected] 背景と目的 結論と展望 1. アカエゾマツは同一地域 内でも集団ごとに異なる 表現型、遺伝子型を示す ・樹木:定着箇所の局所的な環境条件に適応する ・局所環境への適応:同一種でも形態や生理的特性にくわえて、遺伝組成が異な る集団が形成 ・異なる集団間の個体を移動:移動先での生育不良、遺伝子攪乱を引き起こす 2. 表現形質の変異は環境 条件の影響と系統的制約 (遺伝的支配)を受けている 可能性がある →両者の影響の程度を 明らかにする必要がある ・樹木の集団分化:検討例が少なく、集団分化する空間範囲やその程度は不明 ・アカエゾマツ(Picea glehnii): - 他の樹種よりも生育範囲が広く、様々な環境に適応した集団が分化 - 主要造林樹種だが、同一地域での苗木の種子源はあまり考慮されていない 本研究の目的:同一地域内で生育環境の異なるアカエゾマツ集団 間で針葉の表現型・遺伝子型が異なるかを検討する 材料と方法 結果と考察 調査地 環境条件 ・東京大学北海道演習林 ・アカエゾマツが優占する、代表的な3種類の6集団を選定 高山(Peak、Alpine)・湿地(C13、Mae_l)・火山礫上(C11、C27) ・各集団20個体から、日当たりのよい枝を採取 ・温度やpHは標高 に沿った変化 測定項目 ・湿地は湿度が高く、 含水率も高い ・環境条件:標高、温湿度、土壌の含水率(体積含水率; VWC)・pH ・針葉の表現型:葉密度、5年生までの葉寿命、SLA、個葉の形態 (SHAPE*による分析)、N濃度、Chlorophyll a/b) *http://cse.naro.affrc.go.jp/iwatah/shape/index.html ・遺伝子型:環境条件に関連する既知の11遺伝子座で酵素多型分析 遺伝変異 針葉の形態・生理的特性 形態・生理的特性の違い 遺伝子型の違い 遺伝子座 Allele Peak Pgi Pgm1 Acp 全形質のPCA ・集団間で針葉の表現 型は分化 ・高山2と湿地1集団: 厚い葉を密度高くつけ 長期間維持←ストレス の強さを反映? aa ab bb bc aa ab bb bc aa ad ae bb bd be cd dd de Alpine 2 15 4 13 1 全遺伝子座のPCA 集団 C11 C13 4 12 3 2 9 6 Mae_l C27 20 20 21 2 22 8 6 1 7 11 1 9 5 7 11 6 5 1 2 2 2 5 14 11 1 2 1 1 16 2 16 20 23 ・各集団に固有な遺伝子型が存在 ・生育環境に関連する報告がある同位酵素 (Pgi、Pgm、Acp)で多様性が異なる ・湿地2集団が真逆の位置に分類 謝辞 本研究の一部は科研費(基盤B)No. 19380082の助成を受けた。
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