日本語教育の連関に関する実態調査 - J-GAP

J-GAP 香港-日本チーム
『日本語教育の連関に関する実態調査』
結果報告
伊東祐郎
加納千恵子
水戸淳子
萬美保(発表者)
調査の概要
名称
 目的





『日本語教育の連関に関する実態調査』
留学生受け入れ機関から見た日本語
教育連関の実態、課題点を探る
対象
日本の大学の日本語教育関係者
方法
オンラインアンケート
調査期間 2013年10月10日から11月23日
回答数 44大学(国公立23、私立21)
アンケートの主な内容
短期留学生受け入れ態勢(科目の有無、科
目数、科目の種類、など)
 レベル判定の方法
 連関に関する取り決め
 単位互換に関する対応
 自由回答(留学生教育全般の連関について)

レベル判定は何に基づいているか
(複数回答可)
日本語教育の連関に関して協定校と取り決め
があるか?
取り決めの有無、
連関の状況/今後の予定
⑧[有無わからない]
10%
①[有]うまく連関している
8%
②[有]うまく連関していな
い
5%
③[有]連関については分
からない
5%
⑦[無]その他
22%
⑥[無]する必要がある
20%
④[有]その他
10%
⑤[無]今のところ問題は
ない
20%
単位互換等の問い合わせの対応
(複数回答可)
自由回答
プレースメント
② 単位互換
③ 情報の共有、連携
④ 組織を含めた留学制度のあり方
①
①プレースメント
問題点






提供できるレベルが少ない
同じ教科書使用の場合
・既習箇所の繰り返しへの学生の不満
・既習でも理解度が異なる
協定校間でのレベル差
同じ協定校でも年度、学生によって違う
・違うレベル判定を受けると学生が不満
単位互換のため無理して上のレベルへ
日本語学習への期待や専門分野の違い
①プレースメント

特に問題はない
対応
・技能別を含め多様なクラスを提供・・・多様性
・Add-drop期間の活用・・・柔軟性
・JLPTの活用・・・参照枠
・協定校と長い歴史があり見当がつく・・・情報共有
・協定校が少なく教員同士のやりとりで予想・・・情報交換
②単位互換
問題点



科目名のずれ
授業時間数、単位数のシステムの違い
学校により成績判定の基準が違う
対応

2科目の履修で1科目の単位とする・・・柔軟性
提案

JFスタンダードは日本語教育の共通参照枠として開発され
ているが、単位互換等については大学レベルの共通評価基
準が必要・・・大学レベルの指標
③情報の共有、連携のあり方
問題点

協定校の多さ、プログラムの多様さへの対応が難し
い

協定校の担当者との接触がない

協定校の日本語教育に関する情報がない
③情報の共有、連携のあり方
対応




提携校に冊子を配布・・・情報提示
協定校からの訪問がある時に授業参観・・接触、情報交換
留学生への対応について教員同士の打ち合わせを増やし
た・・・接触、情報交換
アカデミック日本語能力の共通評価基準の策定に向けて取
り組み中・・・アカデミック日本語の指標
③情報の共有、連携のあり方
提案







授業のすり合わせを相互に行う・・・情報交換、柔軟性
教員の相互交流を行う・・・接触、情報交換
互いの日本語コースについて透明性を高め、対外的に理解
可能な形にする・・・指標、情報交換
日本語コースについてcan-doの形で発信する・・・指標
共通レベルチェックシステム、web上での無料の能力チェック
ツールの普及・・・参照枠
世界各地での廉価で頻度の高いJLPTの実施・・・参照枠
授業コードのナンバリングの統一
③情報の共有、連携のあり方
提案
共通の形式による集約的な情報提示
 提供している日本語教育について、大学ごと
に、共通フォーマットで紹介するページをweb
上に作成し、そのアドレスを日本語教育学会
のHPにリンク集として載せるのはどうか?
④組織を含めた留学や制度のあり方
問題点

「送り出し校」と「受け入れ校」の間で留学や日本語教育に対
する期待や目的に違いがある・・・多様性への対処

提携を結ぶ際、日本語教育の連関については話し合われな
い。日本語教員には意見が言えない、決定権がない…etc

留学フェアなどにも日本語教員は同行しないため、日本語教
育についての質問には答えられていないのが実情
・・・日本語教師の発言力
④組織を含めた留学や制度のあり方
提案
協定を結ぶ際の日本語教師の発言力強化

提携校を選定する際、日本語教育の実態にも注意
を払ってもらうようにする

留学生のリクルーティングには日本語教員も同行す
る
その他

Articulationを考える際、非漢字圏の学生への対応
の強化を望む

先進的な事例を知る機会を増やしてほしい

留学中の日本語学習が日本語能力の向上に大きく
貢献しており、優秀な親日家を多数育てる大きな原
動力になっていると感じる。このような取り組みを歓
迎している。
留学生教育における連関
対策のためのキーワード
機関内指標の作成・開示
 共通参照枠利用
 機関内外の接触
 情報共有
 多様性
 柔軟性
 日本語教師の発言力

学習の連続性維持のために…
指標作成

例1 機関間の共通指標

例2 独自の内部指標→外部指標
★参照枠(JFS, CEFR,ナショナルスタンダードなど)利用の可能性
指標開示

統一化された形式を使用

共有データベース


教育理念・教育内容・明確なレベル基準の公開
単位互換の可能性・評価基準の公開
柔軟性
→多様性に対処
ありがとうございました☺
(データ資料の提供:水戸淳子)