特別支援学校中学部生徒が UNO(ウノ)を使って,友だち同士で 遊べるようになるための支援 徳島県立阿南支援学校 田中 清章 1 指導目標 【長期目標】 友だち同士で(教員の関わりがなく)遊ぶ ことができる遊びを3つ以上増やす。 【短期目標・標的行動】 UNO(ウノ)を使って友だち同士で遊ぶ ことができる。 2 現状のABC分析 うまく遊べ なかった (↓) 友だち 遊びの ルール 未習得 からかって くる友だち 誘うスキルが 未習得 遊ぶ 分からな かった (↓) 喧嘩になっ た(↓) 遊べな かった(↓) 3 3 解決策のABC分析 教えてくれ た(↑) 教えてくれる 友だち 遊びの ルール 習得 UNO選手 権開催 誘ってくれる 友だち 遊ぶ ルールが 分かった (↑) 優勝できる かも(↑) 遊べた(↑) 嬉しい(↑) 4 4 方法 【対象児】 特別支援学校中学部生徒26名 1年生12名,2年生8名,3年生6名 【指導場面】 2グループに分け実施(火・木曜日13名ずつ) 自立活動(SST)週1時間 お昼休みの「友だちの輪」 【般化場面】 放課後活動,休み時間 【教材】 UNOのルールを示したパワーポイント教材 UNO選手権の開催 5 手続き(1) 1.UNOのカードの名称,使い方を説明する。 2.UNOのルールを課題分析し,パワーポイントのアニ メーション機能を使って視覚的に説明する。 3.3~4人のグループに分かれて,UNOの練習を行う。 UNOのルールを理解した生徒にはプロンプトを減ら していく。 4.練習後,UNOをしている時に出た望ましい発言や, 友だちにUNOを優しく教えた行動を全生徒に「今日 の名言」として紹介し,強化する。 6 手続き(2) 1.UNO選手権の開催を広報した(集会活動等)。 2.UNO選手権日程の周知 予選:2月2日,3日,9日,10日,17日の5日間 準決勝:2月23日 予選期間中に1位通過した生徒 決 勝:2月24日 準決勝で1位通過した生徒 3.参加方法について 予選の期間は,何回でもエントリーできる。予選敗退 者は,準決勝,決勝戦の応援をしたり,決勝トーナメ ントを行っている隣でUNOをすることもできる。 7 手続き(3) 1.UNO選手権を昼休みの「友だちの輪」で実施する。 *中学部1年生から3年生の生徒総数は42名 2.「友だちの輪」スタッフの人数は13名 スタッフの係りと内容 ■火曜日から金曜日までの担当係:1日あたり3名 *友だちを「友だちの輪」の遊びに誘ったり,担当 曜日の遊びの進行を行う。 ■記録係:1名 *当日の参加者数と累積人数の記録を行う。 3.月曜日はスタッフ全員で一週間の遊びの計画を行う。 8 今週の「友だちの輪」計画 1月16日 月 1月17日 火 1月18日 水 1月 19日 木 1月 20日 金 係 全員 A B C E F G H I J K L M 記 D 録 D D D D 内 話し合い 容 おにごっ こ ダンス UNO (AKB) 選手権 視聴覚室 体育館 場 視聴覚室 体育館 所 UNO 選手権 体育館 記録方法 友だちの輪に参加したスタッフの数,スタッフ以 外の数を記録した。 その日の参加者数の合計記録は,友だちの輪 スタッフである中学部2年生のDくんが行った。ま た,4月からの参加者総数(累積記録)も同時に 記録した。 10 結果(1)UNO選手権前後の参加人数 選手権予選 準決勝 決勝 UNO選手権前 11 結果(2) UNO選手権前後の参加人数 準決勝 決勝 選手権予選 12 結果(3) 友だちの輪の参加人数 13 結果 UNOの練習中に望ましい言葉や,友だちにUNO を教える行動がたくさん生起した。 UNO選手権予選1日目~3日目,準決勝トーナメ ントは,20名前後の参加者があった。準決勝トー ナメントは過去最高の22名が参加した。 予選通過者は,準決勝トーナメントに進めるという 動機づけがあったため、予選期日内に1位になろう として積極的にUNO選手権に参加する生徒が増え た。 お昼休みの友だちの輪参加者数は,2月24日現 在で2,000人を突破した。 14 考察 UNOのスキルを獲得した生徒が増え,UNO選手 権に積極的に参加した。スキルを習得できれば, 友だちの輪に参加できることが分かった。 友だち同士でUNOを教える,教えられる関係(ピュ アチュータリング)が定着した。その結果,SST授 業に参加していない生徒3名も,友だちに教えられ ながら参加することができた。 友だちを誘うスキルが,鬼ごっこなど他の遊びの 場面でも見られるようになった。 15 動機づけ:UNO選手権の開催
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