第1章 第2節 広島の路面電車 広島市と鉄道 ・広島市概要 人口:100万人以上 中国地方唯一の政令指定都市 ・広島市の発展と鉄道 1894年 広島~宇品港間開通(山陽鉄道) 戦地から近い・近代的な港・鉄道の存在などの要因 日清戦争下で臨時首都となる その後の広島市の 都市施設整備・都市発展に大きく影響 広島電鉄の歴史と概要 ・広島電鉄の歴史 1912年 前身である広島電気軌道設立 1917年 広島ガスと合併 『広島瓦斯電軌』と改名、宇品線開通 1922~1926年 宮島線開通 観光業に尽力 1942年 交通事業部門分離→広島電鉄の誕生 翌年に江波線、翌々年に皆実線開通 1945年 原子爆弾投下→莫大な被害を被る 1949年 平和記念都市建設計画による復興援助開始 1950年 戦前の全線復活 広島電鉄の路面電車 日本最大の路面電車ネットワーク形成 広島電鉄の歴史と概要 ・広島電鉄の概要(2008年現在) 従業員数1,302人 前期決算 経常利益 23億2,080万円 純利益 15億6,700万円(過去最高) 企業体制 電車・バス・不動産業の3本柱 路面電車ネットワーク発展の理由 ・歴史的背景 運行当時から運輸面の中心が路面電車 ・地理的背景 広島市内の中心部がデルタ地帯 →地点と地点を線で結ぶ<面で包括的に結ぶ 広島中心部でのコンパクトな都市形成に は 路面電車が最適!! 現在の広島の交通事情 ・現状 中心部:公共交通(電車・バス)ネットワークの形成により 交通事情のほぼ全域をカバー 郊外:公共交通ネットワークが浸透せず ・原因 町村の合併により市域面積が終戦時の10倍に DID(人口集中地区)に含まれない面積が市域地区の80% DIDの人口密度は70人/ha・人口集中率87.7% =DID外の住民割合が極めて低い →利用者数の少ない地域に公共交通は発達困難 DID外住民は自動車が移動手段の中心 自動車保有台数=年々増加 路面電車が存続した理由 ・市が路面電車の今後の発達可能性を認めた →路面電車存続のための推進計画が進む 具体的に… 電車軌道内の諸車乗り入れ禁止 交差点内電車優先 電車と自動車の住み分けの確立 ・路面電車の文化的価値を認めた →被爆車両 前線で再利用 他県の廃線車両 動く博物館として観光向けに ←再利用車両 神戸市交通局より購入 被爆車両→ 交通結節点の改善 ・JRの主要な各駅と市内の連結 広島:駅の“公園”化 路面の軌道から鉄道へ乗り入れ実現 →1つのホームでの乗り換え可能(バリアフリー) 横川:電停の移動 →乗り換えの容易化(バリアフリー) 広島港:旅客ターミナルの移設に合わせた軌道の延伸 →利便性の向上・地域開発 利用者数 大幅増加 渋滞地区での交通量減少 市内中心部の駐車場利用率減少 ↓広島港駅:旅客ターミナル ~最新車両・電停~ *最新車両 ・グリーンムーバー 1999年 ドイツから車両を購入 低床化により高齢者・障害者の乗り入れがスムーズに 近未来的なデザイン:今後の広島のカラーとなりうる 座席数が少ない 車両価格・部品調達コストが高額 ドイツ式の操縦が難解 ・グリーンムーバーMAX 国内初となる国産超低床車両の開発・導入 基本スペックの向上: 座席数増加・通路幅の拡大 完全オリジナルデザイン: 平和都市広島のイメージ 費用削減の実現 ←グリーンムーバー グリーンムーバー MAX→ ~最新車両・電停~ *電停 バリアフリー化 →電停の高さ・長さ・デザインの変更 配慮 →電停の移設・段差の撤廃・屋根の設置 広島の路面電車のポイント!!! 交通弱者・社会的弱者を優先した設計 高齢化社会への適応力の高さ ~運行形態・システム~ *運賃制度〔路面電車単体〕 ・市内線均一運賃、宮島線のみ区間制運賃、後払い制 ・環境定期券制度 ・同伴幼児3人まで無賃(大人1人につき) ・障害者介助者2名まで無賃 ・ノーマイカーデー 1日乗車券3割引 ・信用乗車制度 2010年より導入予定 ~運行形態・システム~ *公共機関内での乗り入れを意識した料金体系 ・電車バス共通プリペイドカード ・ ICOCA(2007年より) 支払い時間の短縮:よりスムーズな運行が可能に ・ PASPY(2008より) 広島市内公共機関利用に特化:10%の割引制度あり 導入は初期段階:浸透には時間が必要 ~運行形態・システム~ *走行システム ・電車優先信号システム 交差点の交通信号機が電車の接近を探知 →青信号の延長・赤信号の短縮を操作 →運行効率の上昇 ・電車ロケーションシステム 各車両の現在地を管理者に伝送 →運動の乱れの補正・乗客への接近情報の提供 ・ARC(Automatic Route Control) 装置 アンテナによる運行情報の読み取り →交差点の信号操作による運行制御 ~運行形態・システム~ *安全システム ・ATS(Automatic Train Stop) 装置 速度制限装置 ・安全統括管理者による内部監査 ・事業単位での運転手育成 ・車両への安全バーの設置 広島市の課題 *中心部外、DID外における交通機関発達の遅れ ・アストロライン(市の建設した高架モノレール)の失敗 1994年に建設。 当初の利用者見込みに達せず、減少傾向 要因:都市中心部への高速道路の建設 他公共機関との乗り継ぎの不便さ 運賃の割高感 マイカーからの転換の遅れ アストロライン→ アストロライン路線図 ・広島市内中心部の公共交通は成熟 →推進地区は公共機関整備の遅れた郊外 ・原油高による公共交通への需要増加 迅速かつ有効な郊外での公共機関の整備 →マイカーからの転換促進 やるなら いま!!!!
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