第九課 「的」の文化 質問:「~的」についての言葉、いく つかを思い出しますか?どんなイ メージがありますか? 具体的 抽象的 伝統的 私的 一般的 個人的 国際的 意味的 「的」という言葉を日本国語大辞典での解釈: 1. そのような性質を持ったものの意を添える 2. 漢語に付いて、直接、または「な」を伴って連体修飾に使う 3. そのような性質を有する、それに近い、の意を表す 4. それに関する、それに付いての、その方面に関わるなどの意 形容動詞的用法: 「静詞」の用法 ・今度、社会的な影響は計り知れない。 ・世界の平和のためには、国際的な連携が不可欠だ。 ・子供は童話的な物語が好きだ。 また、「社会的立場」「総体的評価」「遺伝 的特質」などの複合語におけるように「~ な」が省略されて表現される場合もある。 副詞的用法: 基本的に「~に」が結びついて表現され、用言を修飾する。 例: ・ 彼の意見は基本的に正しい。 ・ 物事を相対的に考えましょう。 ・ 国民は今、経済的に困窮している。 ・ その考えは、現実的に実現可能だ。 「 ~ 的 な 」 も 可 能 補足: 副詞的用法の場合、「~には」という形で、あ る特定の立場や視点から物事をとらえることを表す。 例: それは物理的には可能だが、~。 あの人は個人的には好きだが、社会的には好 ましい人物ではない。 物理的な観点から見れば 個人的な考えから考えれば 社会的な考えから見ると 補足: 「私的には~」「僕的には~」「俺的には~」「~さん 的には~」などの「代名詞」「固有名詞」に結びついて表現さ れる用法 。意味も「私としては」「僕としては~」「俺が考える には~」「~さんの立場からすると~」というように、ある特定 の人の立場や視点から物事をとらえることを表している。 あくまでも俗語的場面での使用 に限定されており、確立した用 法ということはできない。 第一部分(1) 現代の日本語で「的」は少数例を除いて、ほとんどがの日本製 漢語である。 第二部分(2-6) 日本製漢語の「的」には、日本人独自の感覚が伴って、いろい ろな作用があって日本人の体質に適う。 第三部分(7-13) なぜ「的」の文化が生まれたのか。 第四部分(14) 「的」の融通無碍は日本人の逞しい応用力を培ってきたのだ。 「好意的」を例にして、日本製漢語の「~的」 「好意的」 に伴われる感覚を分析する。 好 意 的 姿 勢 好意あり を 感 好意なし じ た 好意的な感じがする 好意をまったく感じないが、「好意 (程度の問題) 的」を述べて、逃げ道を用意する。 日本人の独自の感覚が伴う。独自の心理状 態が示され、独自の心理が満足される。 「好意的」 「的」はアンダーステートメントにものを 言おうとする場合にも都合がよい。 アンダーステートメント: 本音 建前 日本人は「アンダーステートメント」を好んで目立た ないことを美徳とする国民である。社会的地位ある者 からすれば、かえって好都合とも言える。 例:何か非常に不愉快なことがあったとして、そ ういうとき「私は必ずしも愉快ではなかった」と いうように表現する。これが典型的アンダース テートメントである。 「アンダーステートメント」は日本人の性格・心理とつながっている 質問:日本人はどんな性格、あるい ヒント:感性 は常に、どんな心理をもって言動を 目立たつ 配慮 協調性 曖昧 行うのですか。 学生同士・友達よく使う 微妙・みたいな感じで 店が休む時の知らせ 今日は 休ませていただ きます 制服 入学式の服装 統一されている メールの返事・時間意識 時間を置かず返事する時 間意識の共通性;時間をき ちんと守りながら暮らす 例: 封建的 反抗的 屈辱的 どう理解する? ずばりと言わず、それ らしいにおい、それら しい雰囲気を感じた というわけで、言葉にニュアンスを伴 われる接尾語として、日本語におけ る「的」という言葉は、日本人の体質 に適った面白い言葉である。 現代日本語に「~的」が氾濫のように見えるが、 新しい言葉が生まれてくるから、プラスの一面が あると作者は思っている。 日本語 の乱れ 若者は新しい言い方を自 由に工夫して、「~的」 の言葉を作り出している。 例: 味的にどうですか?気分的にはどうですか?(~からいうと) まるで嵐的な雨だ。遊び的にはともかく面白いぞ。 マイナス的な影響 環境問題をシステム的に考える 人的・ 物的損害 身体的より精神的な被害を受けた 第三部分(7-13) なぜ「的」の文化が生まれた。 日本人の美意識が働いている 日本人は物事を明確に言い切 るのを避ける傾向が些か強い ようだ。 「的」の文化は「てれ」の心理から発するというこ とも可能である。日本人は借用した文字に心配す る心理が積み重なってゆくと、勢い「てれ」の表 情に走ってゆくのである。 明治以後の日本人は美意識や「てれ」の心理に よって、漢語には、やたらに「的」というぼかしを付 け加えるが、現代日本人はそれより、「~チック」 という外国語を生のままで使おうとしている。 例: ロマッチック アーテイストチック 「~的」を「~チック」に 置き換えようとしてる。 「的」の融通無碍は日本人の逞しい応用力を 「的」がつく言葉の特徴: 気安さ 自由さ 融通無碍さ 培ってきたのだ。
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