国語学演習A(金曜3限) 発表例2-2 福島方言の「ベ」について ―民話資料の調査から― 白岩広行 福島県について 【福島県データ(2007年時点)】 人口209万人 面積13,783㎢ (『新高等地図』東京書籍、2012) だいたい 同規模 (福島のほうが だだっ広い) 【参考】 新潟県:人口243万人 面積12,583㎢ 長野県:人口219万人 面積13,562㎢ 【世界とくらべる】 モンゴル国:人口266万人 面積1,564,000㎢ ジャマイカ:人口2687万人 面積11,000㎢ カタール:人口1448万人 面積12,000㎢ ちなみにモンゴル人は中国内蒙古自治区に多数居住 1 福島県について 県北 会津 県中 中通り 浜通り 県南 2 福島県の民話資料 話を元に戻します 福島県国語教育委員会 編著(2004) 『読みがたり 福島のむかし話』 (日本標準発行) 47都道府県版が あるよ! 県内57地点において 方言で語る昔話を収録 3 福島県の民話資料 サルとカエル 4 推量・意志の「べ」 「ベ」とは‥‥ 用法① 推量用法(標準語の「だろう」) 例)「大阪まではまだまだ遠いんだべなあ。」 (遠いんだろうなあ)《江戸のびっきと大阪のびっき》 「どうだべない。」(どうだろうね)《サルとカエル》 用法② 意志用法(標準語の「~しよう」) 例)「今すぐ食うべえ。」(今すぐ食べよう)《サルとカエル》 「あんちゃん、ほうすっぺ。」(そうしよう)《ドブときょうで》 推量・意志の「べ」 ~にてあらむ → ~にてあらう → ~だろう 推 量 意 志 標準語 福島県方言 古典語 ダロウ ベ ム (雨が降るだろう。) (雨、降っぺ。) (雨、降らむ。) ~ウ ベ ム (さあ、行こう。) (さで、行ぐべ。) (いざ、行かむ。) 行かむ → 行かう → 行こう 古典語の推量の助動詞「べし」 べき(連体形) → べい → べ 「べ」の接続の地域差 述語への接続に地域差がある? どこのことば? 白岩の使う形 見慣れない形 動詞の「~る」に 【~っぺ】 【~んべ】 接続 そろそろ起きっぺ そろそろ起きんべ 断定の「だ」に 【~だべ】 【~だっぺ】 接続 何だべ。 何だっぺ。 【終止形接続】 【~かんべ】 形容詞に接続 寒いべ。 寒かんべ。 ・・・・調べてみた 「べ」の接続の地域差 動詞の 「~る」に 接続 中通り・浜通り 【~っぺ】 起きっぺ 寝っぺ 仕事すっぺ 【~んぺ】 起きんべ 寝んべ 仕事すんべ 会津 「べ」の接続の地域差 断定の 「だ」に接続 全県的 【~だべ】 何だべ 休みだべ 【~だっぺ】 何だっぺ 休みだっぺ 県南・浜通り 「べ」の接続の地域差 形容詞に 接続 全県的? 【終止形接続】 寒いべ いいべ 【~かんべ】 寒かんべ よかんべ 会津に多い? まとめ:福島県方言の「べ」について 【用法】 標準語の「だろう」「~しよう」の両方の用法を持つ 【述語への接続】 県内にも地域差が見られる 起きっぺ(中通り・浜通り)/起きんべ(会津) 何だべ(全県)/何だっぺ(県南・浜通り) 寒いべ(全県?)/寒かんべ(会津に多い?)
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