受診者のメンタルヘルスケア ~メンタルヘルス不全傾向の抽出~通常問診票から 医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック ○金子 仁美 大前 利道 大前由美 沼本 美由紀 堀内 純 目的 うつ病は生活習慣病と同様、早期発見・早期治療が望 まれており、予防医学の観点からもメンタルヘルスは 重要である。人間ドックを契機にメンタルヘルス不全 を早期に発見することが望まれる。 しかし、実際にメンタルチェックを行うことに対 し、抵抗や不安を感じる受診者も多いのではないだろ うか。 そこで、受診者への負担を軽減すべく、通常の健 康診断用の問診票の中からメンタルヘルス不全、今回 は特に抑うつ傾向と不眠の関係について抽出すること が可能かどうか検討するため、探索的調査を行ったの で報告する。 対象 期間 2006年4月~2007年3月 上記期間中に当院で受診した7016名 男性 女性 平均年齢 3974名 3042名 44.3歳(20~65歳) 方法 材 料:自己記入式 問診票 (株式会社 ハーディー) 参考資料:東海大式うつ病スクリーニングテスト 抽出項目: ・生活習慣 ・自覚症状 ・既往歴 ・服薬歴 ・属性 平均睡眠時間 図 1.平均睡眠時間 45% 40% 35% 43.46% 30% 25% 35.99% 20% 15% 10% 7.74% 5未満 5~6 11.56%1.25% 6~7 7~8 5% 半数以上が 6時間以下の睡眠! 5時間以下:543名 5-6時間:3049名 6-7時間:2525名 7-8時間:811名 8時間以上:8名 0% 8以上 不眠の自覚と平均睡眠時間 表1 r≠-0.008119 不眠自覚群A 409名 不眠自覚なし群B 6607名 睡眠時間 人数 割合 5未満 75名 5~6 203名 47.7% 6~7 112名 ▽ 26.0% 7~8 34名 8以上 6名 1.2% 5未満 480名 ▽ 7.2% 5~6 2906名 43.2% 6~7 2479名▲ 36.6% 7~8 811名 ▲ 11.8% 8以上 94名 ※χ2(4)=76.195 φ=0.102 p<.05 ▲ ▽ 16.9% ⇒C群 7.3% 1.3% ⇒D群 参考 問診票メンタルヘルス項目とうつ病スクリーニングテスト メンタルヘルスに関する項目 東海大式うつ病スクリーニングテスト 体がだるく、疲れやすい 夜、なかなか眠れない 就寝中、夢をみることが多い 朝、気持ちよく起きることができない ささいなことで怒ったり、イライラしやすい 気が重く、沈みこむことが多い 人に会うことが面倒で、気疲れしやすい 仕事がおっくうで、能率も上がらない 最近、仕事上の変化が多かった 家庭の中にいろいろな問題がある これといった趣味がなく、時間を持て余し 気味である 医者の診察を受けて、気のせいだと言わ れたことがある 気分が滅入り、ゆううつですか 理由もなく、イライラする事がありますか 人に会うのが億劫になりますか 仕事や趣味に興味が無くなりましたか いっそ死んでしまいたいと思う事がありま すか(考え、体の状態等) 睡眠に関して困った事がありますか 食欲が減退したと感じていますか やせてきたと感じていますか 体がだるくて疲れやすいですか 頭が重かったり、頭痛がしますか 肩がこりますか 性欲(精力)の減退を感じますか いつも・・3点 ときどき・・2点 いいえ・・1点 不眠自覚群Aと不眠自覚なし群Bの 抑うつ傾向の比較 気のせいと診断 無趣味 家庭の問題 仕事上の変化 意欲低下 億劫・面倒 憂うつ イライラ 寝起が悪い 多夢 倦怠感 0% 不眠群A 10% 20% 不眠なし群B 30% 40% 50% 不眠自覚群Cと不眠自覚なし群Dの 抑うつ傾向の比較 気のせいと診断 無趣味 家庭の問題 仕事上の変化 意欲低下 億劫・面倒 憂うつ イライラ 寝起が悪い 多夢 倦怠感 0% 5↓不眠群C 10% 20% 30% 5↓不眠なし群D 40% 50% 抑うつ傾向該当者 強く抑うつ傾向を示 した受診者 ・・・52名/7016名 □ 抑うつ傾向を示した 受診者 ・・・236名/7016名 内訳 男性:30名 女性:22名 年齢:24~56歳 平均(37.1歳) うつ病既往有:8名 うつ病治療中:8名 抗うつ剤服用:12名 精神安定剤:9名 睡 眠 薬:5名 まとめ 不眠の自覚がある場合、抑うつ傾向が強い 十分に休養できる睡眠をとることが重要 不眠をうつ病の早期発見に手がかりとする 食欲、ストレス、抑うつ気分の確認も合わせて 必要 専門医への紹介 ご清聴ありがとうございました。
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