知的障害者教育について 徳島県教育委員会 知的障害者である児童生徒に対 する教育を行う特別支援学校の 各教科の基本的な考え方 (1)各教科の構成と履修 • 「小学部の各教科は、生活、国語、算数、音 楽、図画工作及び体育の6教科で構成」。 • 「中学部の各教科は、国語、社会、数学、理 科、音楽、美術、保健体育及び職業・家庭の 8教科に 外国語を加えることができる。外国 語は各学校の判断により必要に応じて設け ることができる教科である。」 (2)段階による各部の内容構成 • 「各教科の内容は、学年別に示さず、小学部 は3段階、中学部は1段階で示してある」。 小学部1段階 常時援助が必要な児童に対応する教 科内容 小学部2段階 それほどでもないが日常的に頻繁に援 助が必要な児童に対応する教科内容 小学部3段階 比較的軽い児童に対応する教科内容 知的障害者である児童生徒に対 する教育を行う特別支援学校に おける指導の特徴 (1)知的障害のある児童生徒の学習上の特性等 • 学習上の特性として、以下のことがあげら れる。 「知識技能が断片的になりやすい」 「実際の生活の場で応用されにくい」 「成功体験が少ないことにより,主体的に取り 組む意欲が十分に育っていない」等 (1)知的障害のある児童生徒の学習上の特性等 • 今回新たに、以下のことを加えた。 ・教材・教具や補助用具を含めた学習環境の効果的な 設定 ・児童生徒へのかかわり方の一貫性や継続性の確保 ・在籍する児童生徒に関する周囲の理解などの環境条 件も整える 知的障害のある児童生徒の学習活動への主体的な参 加や経験の拡大を促していくことも大切 (1)知的障害のある児童生徒の学習上の特性等 • 自閉症の児童生徒在籍率が35~40%、あるいは80% を越える場合もあるので、そのような学校の児童生徒 を念頭に置いて,以下のような教育的対応の基本を新 たに加えた。 • 「② 自ら見通しを持って行動できるよう、日課や学習 環境を分かりやすくし、規則的でまとまりのある学校生 活が送れるようにする。」 • 「⑦ 児童生徒の興味・関心や得意な面に考慮し、教 材・教具等を工夫するとともに、目的が達成しやすいよ うに、段階的な指導を行うなどして、児童生徒への学習 活動への意欲が育つよう指導する。」 • 「⑩ 児童生徒一人一人の発達の不均衡な面や情緒の 不安定さなどの課題に応じて指導を徹底する。」 (2)各教科を合わせて指導を行う場合 • この各教科等を合わせて指導を行うことが 効果的であることから、従前より、日常生活 の指導、遊びの指導、生活単元学習、作業 学習などとして実践されてきており、それら は「領域・教科を合わせた指導」と呼ばれて いる。 日常生活の指導 • その内容を4項目に整理した。 • 日常生活の指導は生活科の指導も入ってい るが、生活科よりも広範囲の内容という理解 が必要である。 遊びの指導 • 以下の内容に書き換えた。 ・生活科の内容をはじめ,各教科等にかかわる広範 囲の内容が扱われ,場や遊具等が限定されることな く,児童が比較的自由に取り組むものから ・期間や時間設定,題材や集団構成などに一定の条 件を設定し活動するといった比較的制約性が高い遊 びまで連続的に設定される。 ・遊びの指導の成果が各教科別の指導等につながる こともある。 生活単元学習 • 生活単元学習の指導計画作成の留意点(6 項目)に、「主体的」ということばが追加された。 • (エ)単元は、一人一人の児童生徒が力を発 揮し,主体的に取り組むとともに、集団全体で 単元の活動に協働して取り組めるものである こと。 • あとは変更なし。 作業学習 • 作業学習では、「作業学習で取り扱われる作業 活動の種類」として新しく「食品加工、クリーニ ング、販売、清掃、接客」が入った。ここは中学 部だけでなく高等部も参考にするところである。 • 接客活動(喫茶店など)を行う学校が増えてき てこともあり、「作業学習の指導に当たって考 慮する点」に「衛生的」ということばを入れた。 • これは接客に対する衛生だけでなく、粉塵の問 題など自分のための衛生も含んでいる。 作業学習 • 「中学部の職業・家庭に示す「産業現場等にお ける実習」をあわせて実施する場合は、作業 学習として位置づけられる。 • 「産業現場等における実習」は、学習指導要領 上の公の言葉であり、学校現場においては職 場実習や現場実習などと同義である。 (3)教科別に指導を行う場合 • 今回この項では、以下の点が新しくなった。 • 「児童生徒の実態に即して、生活に即した活動を十 分に取り入れつつ段階的に指導する必要がある。」 • 「児童生徒の個人差が大きい場合には、一斉授業 の形態で進める教科別の指導は困難であることか ら、それぞれの教科の特質や指導内容に応じて小 集団を編成し個別的な手だてを講じるなどして、個 に応じた指導を徹底する必要がある。」 • 教科別の指導を一斉にやったとしても個別の手だ てが必要だし、一人一人にきちんと役立つ内容を教 える必要がある。 (4)領域別に指導を行う場合 • 各教科等を合わせて指導を行う場合でも道 徳等のいわゆる領域の内容の指導を行うこと ができるが、道徳、特別活動及び自立活動の 時間を設け、それらを合わせず、あるいは、 それらと各教科とも合わせないで指導する場 合もあり、それは、「領域別の指導」と呼ばれ ている。 各教科に係る改善の要点 1 総則(第1章)内容等の取り扱いに関する共通的 事項(第2節第2) • 総則において「合わせた指導」に取り組むこと が,初めて示された。 • 「合わせた指導」を行っている学校が多い。一 人一人の知的障害の状態や経験等に応じて具 体的に指導内容を考えることが重要である。 各教科に係る改善の要点 2 各教科(第2章) • 各教科については「多様化等に応じた指導をよ り充実する観点」ということで、自閉症の児童 生徒が多くなっていることを踏まえている。 • 自閉症の児童生徒の対応も考えて、指導計画 の作成の留意事項においては「具体的に指導 内容を設定すること」と「よりいっそう生活に結 びついた指導を行うこと」を考慮して改訂した。 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【生活】 「日課・予定」の観点 【内容の新設】 1段階(8) 教師と一緒に日課に沿って行動する。 2段階(8) 教師の援助を受けながら,日課に沿っ て行動する。 3段階(8) 日常生活でおよその予定が分かり,見 通しを持って行動する。 「日課・予定」の観点 • 算数科と指導内容の関連させたり、家庭と連 携して日常生活に生かせるようにすることが 大切である。 • 予定された行動をイメージしやすく(例:実物 や写真,絵,文字等)、次に何があるか分か りやすくする工夫も大切である。 【Q1】生活科を国語や理科と同じように単 独で設定できるか。 • なかなか難しい。例えば教師と一緒に遊ぶという内 容を生活科の授業としてやるならば、あり得るかもし れないが、実際,学校の状況を見てみると日常生活 の指導に合わせたような形の中でやっていることが 多いのではないだろうか。 • 生活科という教科を出たときの解説を読むと、それ は合わせた指導のコンテンツ(内容や情報)である という表現がある。生活科は子どもに応じて多様に できる、合わせた指導のコンテンツとして考えていく ことができる。 【Q2】日課とは何か。時間割のことか。 • 時間割だけでなく、朝登校してからの係活動, 朝の会、活動や授業、お昼ごはん、昼休み があってまた授業がある、帰りの支度をして 帰る。 • この一連の流れを日課ととらえる。 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【国語】 「伝え合う力」の重視 • 目標を改訂:「日常生活に必要な国語を理解し, 伝え合う力を養うとともに、それらを表現する能 力と態度を育てる。 • 日常生活を送る上で、人とのコミュニケーション 能力を重視し、伝え合う力を養って積極的に表 現しようとする意識や気持ちを育てることであり 国語を使って様々な事柄を表現する能力と態 度を育てること。 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【算数】 「数量の基礎,数と計算」の観点 1段階(1) 具体物があることが分かり,見分けたり,分 類したりする。 2段階(1) 教師の援助を受けながら,日課に沿って行 動する。 3段階(1) 日常生活でおよその予定が分かり,見通し を持って行動する。 *従前の「具体物の有無が分かる」を、児童の知的 障害の状態等に即し、その内容が分かりやすく、具 体的な学習活動を設定しやすいよう改めた。 「 図形・数量関係」 の観点 1段階(3) 身近にあるものの形の違いに気付く。 2段階(3) 基本的な図形や簡単な図表に関心をもつ。 3段階(3) 基本的な図形が分かり,その図形を描い たり,簡単な図表を作ったりする。 「図形・数量関係」の観点 【例示の新設】「簡単な図表に関心を持つ」 • 2段階(3):例えば、がんばり表や健康チェック カード、的当てゲーム、ボウリング遊びなどに おける勝敗表の〇や×の意味を理解し、記 入したり、使用したりする。 • 日常生活の指導でゲームなどをやって勝敗 をつけたりする活動をやっているが、それは 算数の内容が入っていることがある。 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【音楽】 「音楽遊び」の観点 • 「扱いやすい打楽器などでいろいろな音を鳴ら して」とは、児童が形、色、音色、感触に関心を 示し、簡単に操作できる楽器で、実際に音を出 してみることである。 • 具体的には「ツリーチャイム」、「カバサ」、「オー トハープ」「オーシャンドラム(傾けると音が出 る)」、「レインスティック(音の様子を視覚的に 感じる)」、「カズー(声や言葉 を音にする)」、 「カリンパ」などの楽器をあげている。 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【図画工作】 「材料・用具」の観点 2段階(2) 粘土,クレヨン,はさみ, のりなどの身近 な材料や用具を親しみながら使う。 3段階(2) いろいろな材料や用具を工夫しながら,目 的に合わせて使う。 *この観点は、知的障害特別支援学校の図画工作 において、特に特徴的な観点である。小、中学校に はない。 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【体育】 「基本の運動」の観点 1段階(1) 教師と一緒に,楽しく手足を動かしたり, 歩く,走るなどの基本的な運動をしたりす る。 2段階(1) 歩く,走る,跳ぶなどの基本的な運動に慣 れる。 3段階(1) 歩く,走る,跳ぶなどの基本的な運動を姿 勢や動きを変えるなどしていろいろな方法 で行う。 「基本の運動」の観点 【例示の新設】 • 「動作を止める」 • 「粗大運動に関する基礎的運動能力の向上 を図る」 • 「手足を十分に伸ばしたり、曲げたりする」 • 「動きを途中で止めたり、速めたりする」。 【改訂の理由】 • いずれも指導内容を広げたり、より具体的な 指導内容を設定しやすくするため。 「基本の運動」の観点 1段階(1) 教師と一緒に,楽しく手足を動かしたり, 歩く,走るなどの基本的な運動をしたりす る。 2段階(1) 歩く,走る,跳ぶなどの基本的な運動に慣 れる。 3段階(1) 歩く,走る,跳ぶなどの基本的な運動を姿 勢や動きを変えるなどしていろいろな方法 で行う。 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【国語】 【改訂の要点】 • (1) 目標は、日常生活に必要な国語及び「伝 え合う力」を活用する能力と態度を育てること が重要であるという視点から改めた。 • (2) 内容は目標の改訂を踏まえるとともに「聞 く・話す」、「読む」、「書く」の各観点について、 生徒の知的障害の状態等を考慮し、より分か りやすくする視点から改めた。 「読む」の観点 • (3) 簡単な語句、文及び文章などを正しく読む。 *例示の新設 ・指示を知らせる標識や案内板。ポスター。 ・いろいろな使用法や説明書(納品書や請求書、領収書) ・コンピュータ画面の電子メール等の文字を読む 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【社会】 「社会の出来事」の観点 • (4) 日常生活で経験する社会の出来事や通 信、メディアなどに興味や関心をもち、生産, 消費などの経済活動に関する初歩的な事 柄を理解する。 *ここで加えた「通信,メディアなど」とは、新聞、テレビその他 の情報を入手する手段のことを意味している。 ・この場合の情報とは、日常生活で体験する出来事だけでは なく,我が国や隣国などの出来事などを含む。 ・これらの中には、中学部の生徒には理解が難しい事項があ る場合もあるが、世の中の流れのおよそをとらえるという観点 での指導の配慮が必要である 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【数学】 「実務」の観点 • (4) 金銭や時計・暦などの使い方に慣れる。 *例示の新設 ・いろいろな各種カード ・「時計など」では、時計以外に、学校の時間割、遠足 などの日程表、バスの時刻表など ・なお、日常生活での使用頻度が増えている現金や 切符に代わる各種カードなどの使用については、 個々の生徒の実態や地域性などに応じて指導するこ とが望ましい。 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【理科】 目標の改訂 • 日常生活に関係の深い自然の仕組みや働き などに関する初歩的な事柄についての理解 を図り、科学的な見方や考え方を養うとともに、 自然を大切にする態度を育てる。 *改訂理由:生徒の知的状態等を考慮した科学的な見 方などの指導も重要であることから「科学的な見方や 考え方を養うとともに」を加えた。 「科学的な見方や考え方」について • 「科学的な見方や考え方を養う」ことに関しては, 「日常生活に関係の深い自然の仕組みや働き、 事物・事象などについて、できるだけ客観的に とらえたり、予測したりする力を身に付けるこ と」をさしている。 • 例えば、「雲の様子から天気の変化を予測した り、気温や温度を数値でおおまかに理解したり すること、また熱くなったものの冷え方や、日常 生活で使用する道具の仕組みや働きが概括的 に分かること」などが考えられる。 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【音楽】 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【美術】 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【保健体育】 「きまり」の観点 • (2) きまりや簡単なスポーツのルールなどを 守り、友達と協力して安全に運動をする。 *いろいろな種類のスポーツがあるが、生徒の実態等から ゲームの一般的なルールをそのまま適用するのではなく、 ルールの数を少なくしたり、基準を緩めたりした簡易な ルールを設定するなどの工夫をすることが大切である。 このことによって生徒の興味・関心,意欲を喚起するこ とができる。 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【職業・家庭】 「道具・機械等の取扱いや安全・衛生」の観点 • (3) 道具や機械、材料の扱い方などが分かり,安全 や衛生に気を付けながら作業や実習をする。 ・「材料の扱い方が分かり」とは、「材料や原材料の扱い方」 「種 類の名称が分かる」「材料の保管・管理」などを理解 することで ある。 ・「安全や衛生に気を付けながら作業や実習をする」とは、食品 や清掃、運搬・管理などに関する作業種の広がりがみられること をふまえた。 ・安全だけでなく衛生に関する指導、作業前作業後のうがいや 手洗い、作業帽やマスクなどの着用して仕事をすることである。 第2章各教科 第2節中学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第1 各教科の目標及び内容 【外国語】 中学部もほぼ 同じである 第2章各教科 第1節小学部 第2款知的障害者である児童に対する教育を 行う特別支援学校 第2 指導計画の作成と各教科 全体にわたる内容の取り扱い 具体的な指導内容の設定 1 指導計画の作成に当たっては、個々 の児童の知的障害の状態や経験等を 考慮しながら、各教科の相当する段階 の内容の中から実際に指導する内容を 選定し、配列して、具体的に指導内容を 設定するものとする。 具体的な指導内容の設定 • 改訂理由 ①これまでの「知的発達の遅滞の状態」を,知 的障害という障害名が定着、その正確な理 解が進んできていることから「知的障害の状 態」とした。 ②具体的な指導内容の設定が重要であること から、後半部分を「効果的な指導を行うこと ができるよう配慮する」という表現だったが、 「具体的に指導内容を設定する」と強めた。 一人ひとりに応じてということである。 具体的な指導内容の設定 • 指導内容を単元等としてまとめて取り上げ、 配列する際には、児童の実態等を考慮して、 実際の生活に結び付くよう指導内容を組織し 指導計画を作成することが大切である。 • 併せて、指導に際しては、ねらいを明確にし つつ,より具体的な指導内容を設定すること が必要である。それは、授業における評価の 観点を明らかにすることにもつながり、指導 の改善を図る観点からも重要である。 生活に結びついた指導 2 個々の児童の実態に即して、生活に 結び付いた効果的な指導を行うとともに、 児童が見通しをもって、意欲的に学習 活動に取り組むことができるよう配慮す るものとする。 生活に結びついた指導 • 改訂理由 ①従前の「各教科、道徳、特別活動及び自立 活動の全部または一部を合わせた(領域・教 科を合わせた)指導計画を作成するに当たっ ては」を削除した。 ②各教科を合わせた指導を行う場合だけでは なく、教育活動全体にわたって指導計画を考 えることが重要である。 生活に結びついた指導 • 児童が見通しをもって、意欲的に学習活動に 取り組むことができるようにするためには、 児童が分かりやすいように活動の予定を示 したり、活動を一定期間、繰り返したりするこ となどの工夫を行うとともに、成就感や満足 感を味わいながら、様々な活動への意欲を 高め、主体的に生活しようとする態度を身に 付けられるようにすることが重要である。 安全の留意 3 児童の実態に即して学習環境を整え るなど、安全に留意するものとする。 安全の留意 • この項は従前通り。 • 安全という観点から、以下の表現が加えられ た。 • 併せて、児童によっては、健康に関する理解 が難しい場合も考えられることから、例えば, 健康を害するものを口に入れることがないよ うにするなど、衛生にも配慮した指導が大切 である。 家庭との連携 4 家庭等との連携を図り、児童が学習の 成果を実際の生活に生かすことができ るよう配慮するものとする。 家庭との連携 • この項は従前通り。 • 例えば、個別の指導計画や個別の教育支援 計画などを基にして、学校で身に付けたこと を家庭でも取り入れたり、地域において実際 に活用したりできるよう、家庭との連携や情 報交換などの工夫が大切である。 教材教具,情報機器の工夫 5 児童の知的障害の状態や経験等に応 じて、教材・教具、補助用具などを工夫 するとともに、コンピュータ等の情報機 器などを有効に活用し、指導の効果を 高めるようにするものとする。 教材教具,情報機器の工夫 • この項は、今回の改訂で知的障害のある児 童の指導に当たって教材・教具、補助用具 やコンピュータ等の情報機器の活用が有効 であることから,新たに追加された。 教材教具、情報機器の工夫 • 知的障害のある児童に対する指導に当たっ ては、一人一人の児童の知的障害の状態や 経験、興味関心などを踏まえるとともに、使 いやすく効果的な教材・教具を用意したり、 実生活ヘの活用がしやすくなるよう、できる だけ実際に使用する用具等を使ったりするこ とが重要である。 教材教具,情報機器の工夫 • 補助具の活用に当たっては,活動を効果的 に補助したり,児童のもっている力を十分に 発揮したりすることができるようにするための 工夫が重要である。 • また,自力で取り組むことを目的に補助具を 取り外す場合は,段階的に進めるなどして, 児童の負担を考慮することが大切である。 教材教具,情報機器の工夫 • コンピュータ等の情報機器の活用により、児 童の意思表示をより明確にしたり、数や文字 を効果的に指導したりすることができること から、児童の知的障害の状態や経験等を考 慮しつつ、適切な機器を選択して、各教科等 の内容の指導において、効果的な活用が図 られるようにすることが大切である。 今回の改訂で重視したこと • 知的障害という用語を学習指導要領の本文に明確に 使うことにした。 • 生活に結びつく指導を、すべての教育活動でやって いくことを重視している。 • 教材教具、コンピュータの活用をやってもらいたい。そ の際に子どものやりやすい状況をみながら、ひとりで きるようにするためには慎重に進めてほしい。 • 一人一人にきちんと指導内容を設定してやってほしい。 • 意欲的に、見通しを持って取り組むことを重視してほ しい。 知的障害者である児童生徒に対する特別支援 学校の自立活動 • 言語、運動、情緒、行動等の特定の分野に、 顕著な発達の遅れや配慮を必要とする様々 な状態が知的障害に随伴してみられる。 • 教科内容の指導も必要だが、障害の状態に よる困難の改善を図るための自立活動の指 導も必要である。 知的障害者である児童生徒に対する特別支援 学校の自立活動 • 【例】理解言語の程度に比較して、表出言語 がきわめて少ない。 • 【例】全体的な身体機能の発達の程度に比較 して、特に平衡感覚が未熟である。 • 【例】心理状態が不安定になり、パニックにな りやすい。 • 【例】きわめて動きが多く、注意集中が困難で ある。 知的障害者である児童生徒に対する特別支援 学校の自立活動 • 【算数科】 ○「身近にあるものの大小や多少などに関心 を持つ」は習得。 ●同等の知的発達の程度に応じた内容であ る「身近にあるものの形の違いに気づく」は習 得が困難。 • 認知面に顕著な発達の遅れがみられる • その状態に応じた自立活動の指導を行う。 知的障害者である児童生徒に対する特別支援 学校の自立活動 • 【国語科】 ○「教師などの話しかけに応じ、表情、身振り、 音声や簡単なことばで表現する」に関心を持 つ」の指導。 ●注意の集中が困難なために、特定の知識・ 技能の習得に支障をきたしている場合がある。 • このような児童生徒に対しても、課題の解決 を図るために、自立活動の指導が必要。 知的障害者である児童生徒に対する特別支援 学校の自立活動 • 教科内容は、一連のまとまった内容を示している。 • 自立活動の内容は、一つ一つの要素を示している。 • 指導の方法としては特設する場合もあるし、合わせ て指導する場合もある。 • 学校では日常的に指導していることが多い。教科内 容で説明できないものは、自立活動にあてはまるこ とがある。 • 自立活動をやっていないのではなく、やっていない と意識している教員が多いかもしれない。 【Q&A】 【Q】各教科等の具体的な指導内容を設定すると いうことだが、これまで例えば単元や作業学習で の個別の指導計画を立てている場合、それに加 えてその中で扱っている教科の具体的指導内容 を盛り込んだものが個別の指導計画の中に出て こなければいけないのか。 • たとえば作業学習において、単元「作業~」な どのとき,A君について「こういうねらいを立て て,こういう指導内容を設定して、こうするん だ」という個別の指導計画がある。それでい いのでは。 • 合わせた指導なので、A君の個別の指導計 画で立てた指導内容の中に国算数理社など の各教科や自立活動等が、単元によって 入っている場合もあるし、入っていない場合も ある。 • その中に合わせた指導が入っていることが、 きちんと説明できればよい。その時に国算数 理社等を、1回全部書き出して分けて書くとい う作業は必要ない。 • その単元の特性に応じてA君のねらいやB君 の内容を色々決めるが、それが1年間終えた とき,きちんと各教科が一部でも履修されて いることを説明できることが重要である。
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