PCの特徴と分類

PCの特徴と分類
コンクリート工学研究室
岩城 一郎
PCの特徴(RCと比較して)
長所
 コンクリートにひび割れが生じないように構造物を作る
ことができる.
 使用限界状態においてコンクリートの全断面に圧縮応
力が作用(全断面有効)
 終局限界状態において多少のひび割れが生じた場合
にも復元力に富む
短所
 短いスパンの構造物では不経済
 設計上,検討ケースが多く,施工上,煩雑な作業が多
いため注意が必要
PCの分類
プレストレスの導入方法による分類
- プレテンション方式(Pre-tensioning)
- ポストテンション方式(Post-tensioning)
 PC鋼材の配置方法による分類
- 外ケーブル方式
- 内ケーブル方式
 プレストレスを与えるレベルによる分類
- フルプレストレッシング(Full prestressing)
- パーシャルプレストレッシング(Partial prestressing)→PRC(Prestressed
Reinforced Concrete)
 使用するPC鋼材による分類
- PC鋼線
- PC鋼より線
- PC鋼棒
 定着工法による分類
- ねじ式(代表例:ディビダーク工法)
- くさび式(代表例:フレシネー工法)

プレストレスの導入方法による分類(1)
プレテンション方式
PC鋼材をあらかじめ緊張し
ておき,その後,コンクリー
トを打込み,硬化後,鋼材
を切断する方法
(コンクリートと鋼材の付着
により定着)
例 JIS桁,枕木等
主として工場製作
プレストレスの導入方法による分類(2)
ポストテンション方式
コンクリート硬化後,PC鋼
材を緊張する方法(定着
具により定着,シース,グ
ラウトが必要)
例 一般のPC桁
主として現場施工
PC鋼材の配置方法による分類
外ケーブル方式
内ケーブル方式
外ケーブル方式:コンクリート部材の外側に
防錆処理を施したPC鋼材を配置する方法.
偏向部が必要.コンクリート断面を薄くでき
る(部材の軽量化).PC鋼材のメインテナン
スがしやすい.コンクリート構造物の補強に
も適用可→急速に発達
外ケーブル方式による補強例
プレストレスを与えるレベルによる分類
フルプレストレッシング(Full-prestressing)
引張側の合成応力が引張応力にならないようにプ
レストレスを与えること(I種,全断面有効)
 パーシャルプレストレッシング(Partialprestressing)
プレストレスを与えることにより,ひび割れが発生し
ない程度に引張応力が生じることを許容すること(II
種),あるいはひび割れは許容するが,ひび割れ幅
をある制限値以下に抑えること(III種,PRC:
Prestressed Reinforced Concrete,RCに比べ,より
積極的にひび割れ幅を制御すること)

使用するPC鋼材による分類



PC鋼線(wire):太さ 5,7,8mm
PC鋼より線(strand):PC鋼線をより合わせたも
の(例 7本,12本,19本)
PC鋼棒(bar):太さ 23,26,32mm
定着工法による分類
ねじ式(代表例:ディビダーク工法,Dywidag 独)
ねじ切りしてある鋼棒を緊張した後,ナットを回して定着する
方法
 くさび式(代表例:フレシネー工法,Freyssinet 仏)
PC鋼材とともにくさびが定着具にめり込むことによりPC鋼材
を定着

ねじ式
くさび式