中間報告 Excelを用いた自動制御Web教材の試作 2006年9月5日 04TA572C 鳥塚達夫 1.研究の概要 • 技術系社員教育のためのWeb教材を作 成する • 教材は自動制御を題材にしたものとする • 解析やグラフ作成にはEXCELを活用する • 可能であれば、社内で試験運用し効果を 確認する 2.研究分野の絞り込み (1)第三種電気主任技術者試験受験者の感想などを参考にした ☆電気主任技術者試験は、理論、電力、機械、法規の4科目から構成される ☆レベルは工業高校卒業程度とされているが、実際はもう少し高い (2)最も難しい科目は「機械」という人が多かった。その理由は ☆出題範囲が広い(電気機器学、自動制御、パワーエレクトロニクス、照明工学、電気化 学・・・) ☆難易度も高い ☆個別機器の構造や特性を熟知しないと理解できない ☆自動制御などの科目は数学理論に近く、抽象的でなかなか理解できない (3)全国的な統計から、受験生が苦戦している様子が覗えた ☆平成17年度の試験結果(合格率) 第三種:受験者42,390人に対し合格者4,831人・・・合格率11% 第二種:8%、第一種:4%(電気主任技術者試験センターのデータより計算) (5)機械の分野が難しいと言われている理由(推測) ☆学習には市販の教科書を使っているケースが多いが、教科書の文字と数式 と図面だけでは、学習者には現象が十分に理解できないのではないか ☆グラフ作成など計算量が多い演習問題は敬遠されてしまい、本当にわかった という感じを掴めないまま、学習が終わってしまうのではないか ☆うまくイメージが掴めれば、実際にはそれほど難しくはないのではないか (6)研究分野の絞り込み ☆上記の事項を問題意識として、 ・本研究ではコンピュータの計算能力、グラフィック能力を活用することで ・教科書では十分に表現しきれないor学習できない部分を補完し ・学習者のイメージを広げて理解を促進する ことをねらって、自動制御の分野に的を絞りWeb教材を試作する ☆電気機器など、CGを使って電磁気現象を分かりやすく表現することで、学習者 の理解をより促進する教材ができると思われるが、この分野は今後の課題としたい 3.教材の内容 (1)学習者のレベル ☆第三種電気主任技術者試験程度を想定 (2)内容 ☆古典的な自動制御理論を対象にする ☆ラプラス変換やブロック線図の作成 ・市販の教科書で学習可能なのでとりあえずは対象とせず ☆今回の研究の主な範囲 ・コンピュータによる学習が効果的と考えられる、周波数応答や系の 安定性の評価の分野を重点に、演習を中心にした教材を作成する oボード線図作成演習 oナイキスト線図の作成演習 oラウスの方法による安定性判別計算演習 など 4.演習問題作成に用いるツール (1)MathematicaやSpice、Matlabなどの解析ツール ☆優れたツールであるが、想定した学習者のレベルにあわないのではないか ☆高価なので個人ではなかなか買えないのではないか (2)予備検討の結果 ☆マイクロソフトのExcelを使うことで比較的容易にボード線図や ナイキスト線図の作成が可能との見通しを得た ☆Excelであれば、一般に使われており、適切なガイダンスがあれば 学習者はあまり抵抗感なく演習が進められると考えられる Excelを演習問題作成ツールに採用して研究を進める 5.研究の重点 多数回の数値計算を伴い、なかなか学習が進まない部分 ExcelとVBによる簡単なプログラムを用いて 1.基本的な事を憶えた後は、数値計算の部分を極力省力化して、学習者が 数値計算に割く労力を、数多くの特性曲線を描く経験に振り向ける 2.これを通じて、Bode線図、Nyquist線図などの作図を体感させ、 「大体こう いう風にやればいい」という感覚を掴ませる 3.自動制御で用いる解析手段 (Bode線図、Nyquist 線図、Routhの方法など) が個別バラバラにあるのではなく、系の周波数応答や安定性を評価する ための一連の方法であることを理解させる 6.研究の概略スケジュール (1)教材の内容検討と原稿の作成 ☆ 11月中完了を目途としたい (2)原稿のWeb教材化 ☆できれば18年度末までに完了したい (3)試験運用 ☆できれば、19年度から実施したい 7.進捗状況 (1)現在ボード線図作成演習の原稿を作成中 o第一次原稿はほぼ完成 oExcelを用いたボード線図作成事例ももほぼ完成 (2)教材のCGI化に関する基礎知識の習得 o自宅のパソコンにApacheをインストールしサーバを立ち上げ o市販のCGI本で練習プログラムの作成など実施中 o引き続き勉強を進めるが、信州大学のサーバの使用などは今後の検討課題 8.添付資料 oExcelを用いたBODE線図の作成方法 9.謝辞 ご指導いただいたカワモト先生に感謝いたします。 以 上
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