ケプラー楕円軌道の解析 山本文隆 長崎工業高等学校

ケプラー楕円軌道の解析
日本数学協会年会発表
日時:2010/8/22
於:東大駒場
山本文隆
長崎工業高等学校
1.要旨1
惑星楕円運動の実速度ベクトルは動径垂直方
向の速さ一定の回転ベクトルと短径方向の定速度
ベクトルに分けられ、その長さの比は常に
1 : e (離心率)
動径方向の成分は、面積速度を同じにする等速
円運動(基本円運動)の回転速度と同じ
楕円運動のホドグラフは、基本円運動と同じ円形
演示
実速度ベクトル V
 動径垂直方向の速さ一定の回転ベクトル U
 短径方向の定速度ベクトル v
U : v = 1 : e
1
動径 r=ーーーーーーーR
1 - e cos θ
R:円運動半径
θ:惑星方向
(遠日点方向からの角)
演示

2.中心力系という考え方
中心力系でVを動径方向Vr、動径垂直方向V⊥に分ける
↑ ↓
地上の斜方投上を
重力が働く垂直成分(加速度運動)と、
重力に影響を受けない水平成分(慣性運動)に分解。
演示
水平投出と斜め投上、円と楕円
ケプラーの法則に質量は不必要
演示
3.面積速度一定の法則 中心力系
演示
4.面積速度を保つ変形
面積速度は中心力のみに関係して保たれている
→運動物体を中心力方向(正負含め)に加速(速度
増加)させても同じく面積速度は保たれる
r V⊥
=
R U
R:通径
U:通径
でのV⊥
面積速度を保つ楕円変形
微小時刻間隔毎の撃力による
α=√1-e2 γ=1/α として
長径 γ2R、
短径γR、 通径 R
焦点から中心までの距離 γ2eR
R
R
遠日点距離 ――― 近日点距離 ―――
1-e
1+e
ケプラー表記 通径(基本円) 表記
(1-e2)a
R
r=――――――― = ―――――――
1-ecosθ
1-ecosθ
c→f→d=R+√R2+4a2e2=2a
より
長
径
R
a =―――――
1-e2
短
径
R
b =―――――
√1-e2
5.楕円運動の解析
通径Rで V⊥=Uであるから
r V⊥= R U
V⊥ = U(1-ecosθ)
R
r= ――――――――
1-ecosθ
Vr=の導出
θ2-θ1
Vr=V⊥tan―――
2
∠oac
θ2-θ1
∠oab=――――=―――――(=●)
2
2
θ2-θ1
θ2+θ1
∠abc=―――+θ1=――――(=○)
2
2
R
R
―――――――+―――――――=2γ2R
1-ecosθ1
1+ecosθ2
(1+e2)cosθ1-2e
cosθ2= ―――――――――――――
1-2ecosθ1+e2
従って
(1-e2)sinθ1
sinθ2 = ─────────────
1+e2-2ecosθ1
θ2+θ1
sinθ1
tan──── = ───────
2
cosθ1-e
θ2-θ1
e sinθ1
tan──── = ────────
2
1-ecosθ1
θ2-θ1
e sinθ1
Vr=V⊥tan ―― =U(1-ecosθ1)────
2
1-ecosθ1
∴ Vr = e sinθ1
6.楕円運動の向心力(遠心力)
接線速度Vの角度dθにおける変化
Uの角度dθにおける変化と同じ
Udθ
A=Uω
UV⊥
V⊥2
U2
A = ─── = ─── = ──(1-ecosθ)2
r
R
R
7.要旨2
1.楕円軌道の周期Tは動径円運動のγ3倍
2.楕円長半径aは動径のγ2倍
→ ケプラーの第三法則(T2∝a3)は
楕円の形(離心率e)に関係なく成立。
3.ケプラーが長半径aを選んだのは偶然か?
8.楕円運動の周期とケプラーの第3法則
楕円運動は通径円運動と面積速度が同じ。
→ 楕円の周期T は楕円の面積と通径円の面
積を比較すれば求められる。
基本円運動の周期をT0とすると
T : T0 = πab : πR2
a=γ2R、b=γR より
T : T0 =γ3πR2 : πR2 =γ3 : 1
1
よって T = γ3 T0 (=───────)
(√1-e2)3
変形による周期の伸び=楕円面積の変化
面積比
周期比
πR2
1
πa1b1=γ13πR2 πa2b2=γ23πR2
:
γ13
:
γ23
面積速度を保つ
楕円変形
通径Rが同じものは
同じ面積速度
上中下は通径が異な
るので
異なる面積速度
周期は離心率に従い
通径円のγ倍に変化
ケプラーの第3法則
T2∝a3
T2
(γ3T0 )2
T0 2
───= ────── = ─── =一定
a3
(γ2R)3
R3
ケプラーの第3法則 は 楕円の形(離心率)に
関係しない。長半径(外接円)aのみに関係する
ケプラーのこの発見は偶然か?
ケプラー
方程式の
導出に
見られる
第二法則
と
第三法則
の関係
演示
面積速度と周期の関係
上
下
実際運動 仮想惑星
面積速度
全 面 積
周
期
)
1 : γ
γ3 : γ4
γ3 : γ3
(通径等速円運動に対する比
ケプラーの仮想
惑星は偶然か
上:仮想惑星から考えら
れる同周期楕円
↓
長径が等しいものは
同周期
↓
下:逆二乗中心力系での
同周期(逆二乗のみ満たす)
万有引力 遠心力
GM
UV⊥
ーーー=ーーー
r2
r
引力
遠心力
GM
U2
(---=---) より
R2
R
GM=RU2=R‘U’2
R‘=γ2R とすると U’=αU
面積速度=R‘U’= γ2R× αU=γRU