第 7 回:企画づくり

企画づくり
2009年11月18日
企画とは
•プロジェクトをはじめるための企てであり出発点
•企画職(プランナー)
–本当の意味では才能職・能力職(プロデューサは経験職)
• 経験を積むことで能力向上はありえる
–業界では良い企画を立てるためにはいろいろ言われています
①制作を良く理解し,経験していること
②細かい事情抜きに斬新なアイデアを作れる
–そのため経験や実践もなく「企画をやりたい」と言うと「こいつわ
かってねーな」と思われることもしばしばあります
企画(プランニング)と制作(プロデュース)
• 企画は数多く打って,一つを当てる
–毎日考えても良いです(特に企画の元になるアイデア
は常に考えること)
–何度も作り直しても良いです
• 制作は取り組んだものは全て万難を排して完成
させる
–企画を実現する
–問題を回避(解決)する
企画書① -企画書を作る目的ー
企画書=ドキュメント(成果物)
・製作資金(制作費用)を集める!:
• 営業用の企画書
• 企画内容を容易に連想させる
• 予算や制作期間などのビジネス面の考慮
・制作内容を周知、徹底する!:
• スタッフを招集するための企画書
• イメージ、世界観の統一
決まった仕様があるわけではありません
企画書② -必要な訓練!-
•刺激を受ける!:
•コンテンツを見る、体験する、感じる
•いい表現を覚えこむ!:
•まねをして複製→自分の中で消化、自分のスタイルにする
•実際に書いてみる,作ってみる!:
•反復訓練
•ニーズを把握する!:
•人を説得させる、同意させるために状況を知る
(社会状況、トレンド)
•必要事項を網羅する!:
•見せる!
企画書③ -構成要素-
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
タイトル
概要
企画意図
制作内容
制作スタッフ・キャスト
制作費用
決まった書式が存在するわけでは
制作計画
ありません
必ず全てが含まれるというわけでは
収支計画
ありません
付帯資料
企画書③ ー構成要素ー
(1)タイトル
・コンテンツを一言で表す言葉
–企画書の表紙を飾る
• アイデアが集約されたもの
• 造語でもよい
• いいタイトルが浮かばないコンテンツは面白くな
い、特色がない
• タイトルは「商標登録」するのが基本です
–企画が具現化して「商標」をとるまでは「仮」にしてお
きます
企画書③ ー構成要素ー
(2)概要
コンテンツの基本情報の一覧
– タイトル
– 原作、脚色、脚本 <氏名,ペンネーム>
– 制作手段 <PS3,DS,テレビアニメ>
– 長さ(容量)
<XX分,DVDXX枚,プレイ時間>
– 内容の分類(形式、タイプ)<RPG,ACT>
– 対象者 <年齢,性別,属性など>
– 利用形態、目標 <放送予定局、会場、など>
– 制作主体者 <製作、原案、制作>
– そのほか企画内容を端的に示す具体的な情報
企画書③ ー構成要素ー
(3)企画意図
•コンテンツを制作する目的と意義
–なぜそのコンテンツを作りたいのか?
–コンテンツを制作することによる効果は
–なぜ、このコンテンツが必要なのか?
–なぜ,売れるとおもうのか?
重要なのは意気込みとロジック
(特にロジックがかけている・・・)
企画書③ ー構成要素ー
(4)企画内容
• コンテンツを構成する要素を紹介
–設定(キャラクタや環境、時代設定,相関関係)
–ストーリー
–デザイン(キャラクタ,舞台)
–フローチャート(ゲームの展開、システム)
• 途中段階のものでもサンプルを提示
• サンプルが作れなければ,他の作品から引用す
るなどして対応(ただし,著作権に注意)
企画書③ ー構成要素ー
(5)制作スタッフ、キャスト
コンテンツ制作におけるスタッフとキャストの役割
–プロデューサ
–ディレクタ
–演出
–撮影者(カメラマン、Cinematographer)
–脚本、脚色
–デザイン
–絵コンテ
–音楽・音響
–キャスト(声の出演なども)
作品に関わる人は全員
これまでの実績や代表作も入れること!
企画書③ ー構成要素ー
(6)制作費用
•
•
•
•
•
•
場所(賃貸料、建設償却費、設備償却費、光熱費)
機材(購入費、リース費、償却費)
人件費(日当、月給、年棒、出来高、プロジェクトベース)
技術(開発費、メンテナンス費、ロイヤリティ)
運営費(通信費、交通費、資料費、打合せ費)
企画(譲渡費、ロイヤリティ)
• あくまで試算レベル。
–多すぎると企画は不採用、少なければ制作会社は赤字!
• どれぐらいの精度で試算できるか?
企画書③ ー構成要素ー
(7)制作計画
制作内容の項目化とそれぞれの詳細を理解し作業のスケ
ジュールを作成する
–それぞれの制作期間と開始時期(スケジューリング)
–関わる人数(スタッフィング)
–使用する機材やスタジオなど
–費用
•スケジュールどおりに作らなければ基本的にダメです
•予備の日とサポートに回れるスタッフを用意する余裕を
企画書③ ー構成要素ー
(7)制作計画(サンプル)
単位:週
1
企画
脚本
デザイン
2
3
4
5
企画・営業
グラフィック
素材制作チーム
脚本
デザイン
(2人)
主要3D制作(6人)
主要モーション収録
(3人+アクター5名)
主要2D制作(3人)
プログラム
チーム
サウンド
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15
α版
β版
追加3D制作(3名)
追加モーション収録
(3人+随時アクタ)
追加2D制作(2名)
コアプログラム作成
(5人)
ビルド,デバッグ(5人)
テーマ音楽製作
(1人)
アテレコ
(2人+声優)
音響制作・MA・ポスプロ
(2人)
完成
企画書③ ー構成要素ー
(8)収支計画
制作全般にわたる支出とコンテンツの活用によって得られる
収益の計画
•支出
–制作費
–宣伝広告費
–運用経費
•収益
–一次利用権料
–二次利用権料
–海外展開
–商品化権料
(映画化,テレビ化,攻略本,マーチャンダイジング)
企画書③ ー構成要素ー
体裁のサンプル①
タイトル
1
概要
タイトル: ○○××
原作、脚色、脚本: ○○××
制作手段: CGアニメーション
長さ:120分
内容の分類:SF
対象者:12歳以上
利用形態:劇場公開
制作主体者:
キャラクタ設定
キャラクタの設定(文字)やデ
ザイン(画像)を乗せ登場人物
を紹介する
多い場合は付帯資料に
文字ほか
文字ほか
ストーリ
文章で記述する.シノプシスと
呼ばれる作品のシナリオのあら
すじのような体裁.
いいです
絵
写真
12~13
14~15
回収計画
制作スケジュール
国内販売
テレビ放映
海外販売
海外放映
おもちゃ展開
月 月 月
項目
項目
17
18
様々なビジネス
モデルを想定
4~6
操作系やシステムなどの説明
文章に絵や写真,フローチャート
で記述する.
ゲームの場合はここに
フロー
きちんと枚数をあてる
写真
チャート
こと
ゲームによっては
シンプルでも全く
なくてもよい
制作予算
デザイン費
脚本費
システム開発費
グラフィック制作費
デバッグ費
プレス費
管理費
あくまでも想定で
16
写真
3
10-11
製作体制
原作、脚色、脚本: ○○××
監督:XXXX
音楽:>>△○
開発:XXInc
デザイン:○○
舞台設定
時代背景や世界情勢などコンテン
ツの舞台の設定を記述すること.
絵や写真などを混ぜること
必要があれば枚数は増やすが,
あまり多い場合は付帯資料とする
絵
2
デザイン
7-9
チーム編成の詳細は
企画のあとなので,
想定でいいです
企画意図
文章で記述するが,あまり長く
しすぎないこと.400文字程度
が妥当なところ.
句読点や段落わけをうまく使う
こと.
一文を短くすること
その他設定
メカや環境の設定(文字)やデ
ザイン(画像)を乗せ登場人物
を紹介する
多い場合は付帯資料に
デザイン
4~15は順番が前後しても
よい.それぞれの分量も
可変
19
こちらは厳密に
企画書④
• 構成要素が欠けているケースもある
– 特に後半のスタッフや費用,制作計画,収支計画などはプ
レゼンする相手によっては見せないことも・・・
• 企画の採用が確定した段階で再検討する
• 受託制作などでは企画書作成を必要としないケースも
ある
– 制作依頼を受けて作るもの(すでに企画書がある)
• 形式だけにとらわれず目を引く構成にする
– 最終目的は採用されること!