防災情報システムの現状

地方自治体の災害対策本部のための
応急対応支援システムの構築
独立行政法人 消防研究所
基盤研究部 防災研究グループ
胡 哲新, 座間 信作, 遠藤 真
目次
研究背景と目的
防災情報システムの現状
本システムの開発構想と評価
進捗状況及び今後の予定と課題
目次
研究背景と目的
防災情報システムの現状
応急対応支援システムの開発構想
進捗状況及び今後の予定と課題
過去の震災対応事例(1)
参考資料: 阪神淡路大震災 震災対策国際
総合検証事業 検証報告 第1巻、 兵庫県
1995年1月17日兵庫県南部地震
地震発生
5:46
震度情報入手
6:50
1時間
第1回災対本部会議
8:30
3時間
防災担当者最初登庁
6:40
1時間
県警から被害第1報
6:55
1時間
被災市町から第1報
7:00頃
1時間
自衛隊派遣要請
10:00
4時間
広域消防応援要請
10:00
4時間
県警の広域応援要請
6:45
1時間
県へりによる情報収集 9:15
3時間
県職員の非常参集
14:00頃
8時間
知事によるへり視察
13:30
8時間
被害の概要把握
18:00頃
12時間
初動が遅れた原因
災害対策本部室など活動拠点の被害
要員確保と組織的活動の遅れ
通信システムの被害
災害時の意思決定(判断)に対する不慣れ
全体(広域)調整の困難
参考資料: 阪神淡路大震災 震災対策国際総合検証事業 検証報告 第1巻、 兵庫県
災害時意思決定の流れ
状況把握
What happened
対策実施
活動計画
How to do
What to do
災害時意思決定の問題点
状況把握
・ 情報の空白期の発生
活動計画
・ 全体目標像の把握が困難
・ 対策需要量の推定が困難
対策実施
・ 実施方法への不慣れ
・ 関連資料が散在
2・3年毎
人事異動
• 防災専門家が常駐できない
• 知識、経験が蓄積されにくい
研究目的
発災後
迅速・適切な応急対応の支援ツール
平常時
防災訓練・演習等の支援ツール
目次
研究背景と目的
防災情報システムの現状
本システムの開発構想と評価
進捗状況及び今後の予定と課題
現状の防災情報システム
機能分類
状況
把握
活動
計画
対策
実施
システム名
開発主体
機能対象
震度予測システム
地方公共団体、民間
震度
建物被害予測システム
地方公共団体、民間
建物被害
人的被害予測システム
地方公共団体、民間
死傷者
避難シミュレーション
地方公共団体、民間
避難時間
EES(被害早期推計システム)
内閣府
震度分布、建物人的被害
地震津波監視システム
気象庁
津波の高さ、到達時間
地震被害想定支援マニュアル
内閣府
震度、建物被害、人的被害
簡易型地震被害想定システム
総務省消防庁
震度、木造家屋被害、出火
件数、死傷者、避難者
延焼シミュレーションシステム
地方公共団体
火災
兵庫県災害対応総合情報ネット
ワークシステム
地方公共団体、民間
対応需要量の予測
EMS(地震対策支援システム)
内閣府
最適ルート
地震災害応急対応
マニュアルシステム
総務省消防庁
電子マニュアル
目次
研究背景と目的
防災情報システムの現状
本システムの開発構想と評価
進捗状況及び今後の予定と課題
システムの機能設計と開発方針
状況把握
What happened
• 被害予測機能
• リアルタイム処理
対策実施
活動計画
How to do
What to do
• 対策実施の5W1H
• 関連資料のハイパーリング
• 必要な対策事項
• 優先順位、実施タイミング
全国への汎用性を図る
安価・容易に導入できる
実演説明
自治体防災担当者による
システム評価
調査対象とした自治体:
実際に地震災害を経験した地域: 兵庫県、神戸市
東海・東南海・南海地震が懸念されている地域: 三重県、静岡県・市
地震災害の少ない地域:
調査方法:
鹿児島市、山口県
①5段階評価表の記入
②聞き取り調査
4指標5段階評価結果
調査対象:静岡県(4名)、四日市市(4名)、山口県(2名)、鹿児島市(2名)
10
人数(単位:名)
開発コンセプト
システム機能
情報要素
インタフェース
8
6
4
2
0
適切
やや適切
どちらともいえない
やや適切不適切
不適切
聞き取り調査結果(抜粋)
有
用
性
災害時
平常時
 予測される被害量、需要量は初動態勢の参考になる。経過時間ご
との対応事項、優先順位が一覧となり、分かりやすい。
 防災訓練に活用が可能、応急対策の具体化及び実践性を図ること
につながる。
 既存システムとの連携が不可欠
運用体制
 システムを取り扱う人員確保が必要
 情報共有化を図る必要がある
問
題
点
災害時機能
 入力せずに、既存被害集計システム等との連動を目指すべき
平常時機能
 より頻発な風水害等にも対応するようにアレンジすべき
Interface
精度
 簡素・直感的:スクロールを使わず、操作手順を示す、画面転換を
少なく、大区分、中区分、小区分ごとの情報提示
 システム精度の明示
行政の危機管理の実態調査
(*明治大学危機管理研究センター資料:
2005年6月 全国計995自治体を対象とした)
危機発生後72時間以内に、特に問題点となったことは何でしょうか?
0.0
20.0
40.0
60.0
16.8
臨時的対応組織の形成の遅れ
17.8
対応方針等の意思決定の遅れ
5.9
対応方針等の意思決定が不適切
51.5
職員への初動の手順の周知不徹底
25.7
職員の専門的知識の不足
44.6
情報収集の遅れ
9.9
情報収集が不十分
14.9
組織内の情報伝達の遅れ
10.9
組織内の情報量が不十分
都道府県・国などへの支援要請の遅れ
警察等への支援要請の遅れ
4
3
40.6
市民への情報提供の遅れ
52.56
市民への情報提供が不十分
11.6
マスコミ対応などの不十分
他自治体との連携が不十分
5.9
11.9
市民・事業者などの連携が不十分
9.9
NPO/NGOとの連携が不十分
26.7
避難所の配置や施設・備蓄等の不備
その他
5
目次
研究背景と目的
防災情報システムの現状
本システムの開発構想と評価
進捗状況及び今後の予定と課題
進捗状況及び今後の予定
被害状況把握の支援機能
・ リアルタイム被害予測
・ 対応需要量の推計機能
活動計画の支援機能
・ 対応目標の自動設定機能
対策実施の支援機能
・ 電子マニュアル機能
課題
1.情報システムの literacy
• 防災訓練と演習の実施
• 日常業務との連携
震災時の新潟県災害対策本部(2004/11/4)
課題
2.情報収集(入力)の確保
• 情報収集体制(人・組織)
• IT技術の活用
課題
3.情報の共有化
• 組織間の連携体制(法令、防災計画)
• IT技術の活用
目次
研究背景と目的
防災情報システムの現状
本システムの開発構想と評価
進捗状況及び今後の予定と課題
THANKS