公共経営 「シミュレーション」 森戸担当分 第2回 2005/12/09 森戸 晋 1 2 前回のキーワード • 数理計画法(数理計画問題)、変数、制約 条件、目的関数(評価関数) • 線形関数とはなにか • 定式化 • 線形計画問題の定式化 • EXCELソルバーによる求解 • 最適解、最適(目的関数)値、限界コスト、 潜在コスト 公共経営 「シミュレーション」 第2回 内容 • 第1回宿題解説 – 家具の生産計画 – Red Brand Canners • 定式化例: 鉄鉱石配合、農場経営問題 • 「目標計画」 3 4 「家具の生産計画」(宿題1.1) 解答例 家具の生産計画: 問題の提示 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 7 5 2 B 160 8 4 8 C 40 3 8 4 5 D 生産能力(時間) 100 5 1000 5 720 2 640 a)切断時間にはどれぐらいの余裕(スラック)があるか。 b)製品Aを生産するようになるためには、製品Aの利益がいくらに なる必要があるか。 c)製品B、1台当たりの利益が$100に落ちたときの最大総利益 はいくらになるか。 d)外部から研磨機が1時間当たり$20で借りられるとしたとき、 研磨機を借りるのがよいか。 e)無理に製品Cを作ろうとした場合、どんなことが言えるか。 f)仕上げ工程の生産能力を100時間追加したときに、最大利益 はどうなるといえるか。 家具の生産計画: ソルバー結果 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 C 40 0 3 8 4 6 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 変化させるセル セル $B$14 $C$14 $D$14 $E$14 名前 A B C D 計算 限界 目的セル 許容範囲内 許容範囲内 値 コスト 係数 増加 減少 0 -10 90 10 1E+30 55 0 160 240 80 0 -130 40 130 1E+30 100 0 100 100 10 制約条件 計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内 セル 名前 値 価格 右辺 増加 減少 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 940 0 1000 1E+30 60 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 720 15 720 80 400 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 640 12.5 640 96 352 家具の生産計画: 質問a) 7 a)切断時間にはどれぐらいの余裕(=条件との差=スラック)があるか。: 切 断工程の生産能力に60時間の余裕(余り)があることを示す。(余らせているの は、他工程の生産能力が先にネックになっているから) 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 変化させるセル セル $B$14 A $C$14 B $D$14 C $E$14 D A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 名前 制約条件 セル 名前 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 C 40 0 3 8 4 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 計算前の値 0 0 0 0 セルの値 0 55 0 100 セルの値 制約条件 ステータス 条件との差 940 $F$15<=$H$15 部分的に満たす 60 720 $F$16<=$H$16 満たす 0 640 $F$17<=$H$17 満たす 0 家具の生産計画: 質問b) 8 b)製品Aを生産するようになるためには、製品Aの利益がいくらになる必要があ るか。: 製品Aの限界コストが10なので、1台当たりの利益があと10ドル増え、 100ドル以上にならないといけない。 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 C 40 0 3 8 4 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 変化させるセル セル $B$14 $C$14 $D$14 $E$14 名前 A B C D 計算 限界 目的セル 許容範囲内 許容範囲内 値 コスト 係数 増加 減少 0 -10 90 10 1E+30 55 0 160 240 80 0 -130 40 130 1E+30 100 0 100 100 10 制約条件 計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内 セル 名前 値 価格 右辺 増加 減少 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 940 0 1000 1E+30 60 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 720 15 720 80 400 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 640 12.5 640 96 352 家具の生産計画: 質問c) 9 c)製品B、1台当たりの利益が$100に落ちたときの最大総利益はいくらになる か。: 製品Bの「目的セル係数」160の許容内減少($80)の範囲内なので、最適 解は変わらず、$60*55=$3,300の減収となり、最適値は$15,500となる。 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 C 40 0 3 8 4 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 変化させるセル セル $B$14 $C$14 $D$14 $E$14 名前 A B C D 計算 限界 目的セル 許容範囲内 許容範囲内 値 コスト 係数 増加 減少 0 -10 90 10 1E+30 55 0 160 240 80 0 -130 40 130 1E+30 100 0 100 100 10 制約条件 計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内 セル 名前 値 価格 右辺 増加 減少 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 940 0 1000 1E+30 60 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 720 15 720 80 400 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 640 12.5 640 96 352 家具の生産計画: 質問d) 10 d)外部から研磨機が1時間当たり$20で借りられるとしたとき、研磨機を借りる のがよいか。: 研磨機の生産時間の潜在価格(最適値の改善率)が$15/時間 であるので、1時間当たり$20の賃貸料に見合わない 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 C 40 0 3 8 4 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 変化させるセル セル $B$14 $C$14 $D$14 $E$14 名前 A B C D 計算 限界 目的セル 許容範囲内 許容範囲内 値 コスト 係数 増加 減少 0 -10 90 10 1E+30 55 0 160 240 80 0 -130 40 130 1E+30 100 0 100 100 10 制約条件 計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内 セル 名前 値 価格 右辺 増加 減少 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 940 0 1000 1E+30 60 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 720 15 720 80 400 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 640 12.5 640 96 352 家具の生産計画: 質問e) 11 e)無理に製品Cを作ろうとした場合、どんなことが言えるか。: 製品Cの限界コ ストが$130なので、製品Cを作ろうとしたとき、1単位当たり$130の割合で利益 が減少する。(製品Cの単位当たり利益が$170以上にならない限り、製品Cを 作るのは得策ではない) 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 C 40 0 3 8 4 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 変化させるセル セル $B$14 $C$14 $D$14 $E$14 名前 A B C D 計算 限界 目的セル 許容範囲内 許容範囲内 値 コスト 係数 増加 減少 0 -10 90 10 1E+30 55 0 160 240 80 0 -130 40 130 1E+30 100 0 100 100 10 制約条件 計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内 セル 名前 値 価格 右辺 増加 減少 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 940 0 1000 1E+30 60 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 720 15 720 80 400 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 640 12.5 640 96 352 家具の生産計画: 質問f) 12 f)仕上げ工程の生産能力を100時間追加したときに、最大利益はどうなるとい えるか。: 仕上げ時間の潜在価格($12.5)とその許容内増加(96時間)から、少 なくとも$12.5*96=$1,200増加する。96時間以上の部分については、この出力 からは何とも言えない。 家具の種類 家具1台当たりの利益(ドル) 家具1台当たりの切断時間(時間) 家具1台当たりの研磨時間(時間) 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) A 90 0 7 5 2 B 160 55 8 4 8 C 40 0 3 8 4 D 実際の生産時間 総利益 100 18800 100 生産能力(時間) 5 940 ≦ 1000 5 720 ≦ 720 2 640 ≦ 640 変化させるセル セル $B$14 $C$14 $D$14 $E$14 名前 A B C D 計算 限界 目的セル 許容範囲内 許容範囲内 値 コスト 係数 増加 減少 0 -10 90 10 1E+30 55 0 160 240 80 0 -130 40 130 1E+30 100 0 100 100 10 制約条件 計算 潜在 制約条件 許容範囲内 許容範囲内 セル 名前 値 価格 右辺 増加 減少 $F$15 家具1台当たりの切断時間(時間) 実際の生産時間 940 0 1000 1E+30 60 $F$16 家具1台当たりの研磨時間(時間) 実際の生産時間 720 15 720 80 400 $F$17 家具1台当たりの仕上げ時間(時間) 実際の生産時間 640 12.5 640 96 352 「最適(目的関数)値」関数 13 家具の生産計画問題の仕上げ工程の能力を例に (問題の)他の条件が変わらないとしたときに、○○(例:仕上げ工 程)リソースが変化したときの最適(目的関数)値の変化を示した グラフ 最 適 値 20000 0 18800 12.5 14400 50 288 640 736 仕上げ工程の生産能力 14 鉄鉱石配合問題(Blending Problem) • 4鉱山から鉄鉱石を購入し、配合して使用 • 配合されたものは、一定の品質基準を満 たす必要あり(ここでは、元素A,B,C) • 最小費用の配合割合を決めたい(具体的 に「何ton必要」という情報はない) • この種の配合問題は、いろいろなシナリオ でしょっちゅう発生する(dog foodの配合、 農薬の配合、金属の配合、...) 15 鉄鉱石配合 問題データ 元素 1 A 10 B 90 C 45 コスト 800 ($/トン) 鉱山 2 3 3 8 150 75 25 20 400 600 4 2 175 37 500 必要 最小量 5 100 30 鉄鉱石配合問題のLP定式化 • 変数: Ti=鉱山iの配合比率 (≧0) • 目的関数:最小化 トン当たりの費用 • 制約条件:各元素(A-C)の品質基準満足 配合比率の合計は1 • Min z=800T1+400T2+600T3+500T4 (費用) • s.t. 10T1+ 3T2 + 8T3+ 2T4≧ 5 (元素A) 90T1+150T2+75T3+175T4≧100 (元素B) 45T1+ 25T2+20T3+ 37T4≧ 30 (元素C) T1+ T2+ T3+ T4= 1 (合計1) T1, T2, T3, T4 ≧ 0(非負条件) 16 農場経営(Buster Sod) 問題 • • • • 灌漑設備付1,200acresの農場の年間計画 wheat, alfalfa, beefの生産 2,000 acre feet(水量の単位)の用水割当 beef($600/t) wheat($1.60/bushel; 50 bushel/acre) alfalfa(sell $34/t, buy $36/t; 3t/acre) • 「技術的」条件(問題文中の表) • 最大利益(または、最小費用)の計画立案 17 農場経営問題 「技術的」データ 農場経営(Buster Sod)問題の技術的条件 労働・機械 水 土地 alfalfa Activity 等コスト($) (acre ft)(acres)(tons) 1 acre wheat 8 1.5 1 1 acre alfalfa 30 2.5 1 1 ton of beef 40 0.1 0.05 4 18 農場経営問題のLP定式化 • ①変数(variables) ②目的関数(objective function) ③制約条件(constraints) • (決定)変数:wheat、alfalfa、beefの生産量 alfalfaの販売・購入量 • 目的関数:「収益ー費用」最大 • 制約条件:土地の許容上限 用水の許容上限 alfalfaのバランス 19 農場経営問題 変数・目的関数 • 変数(variables):(単位の設定は一例) W=wheat raised and sold (acres) Ar=alfalfa raised (tons) B=beef raised and sold (tons) Ab=alfalfa bought (tons) As=alfalfa sold (tons) • 目的関数(objective function): 最大化 72Wー30/3Ar+560Bー36Ab+34As 20 農場経営問題 制約条件 制約条件 • 土地 (単位acres) W+(1/3)Ar+0.05B≦1,200 • 灌漑用水 (単位acre feet) 1.5W+(2.5/3)Ar+0.1B≦2,000 • alfalfa (単位tons) ーAr+4BーAb+As=0 • 非負条件 (Excelモデルではオプション指定) W, Ar, B, Ab, As ≧ 0 21 22 Red Brand Canners解説 Red Brand Canners 23 24 Red Brand Canners • 登場人物 – – – – Mitchell Gordon, 副社長(Vice President) William Cooper, 財務部長(Controller) Charles Myers, 販売部長(Sales manager) Dan Tucker, 製造部長(Production manager) Red Brand Canners 原料供給と製品需要 Tucker製造部長, Myers 販売部長 • 収穫量と品質構成(検査部の情報) – 収穫量 3,000,000 pounds (lbs) – 品質構成 品質A 600,000 lbs (20%) 品質B 2,400,000 lbs (80%) • トマト加工品の需要見通し(Myers販売部長) – – – – ホールトマト缶詰(whole canned tomatoes) 十分 トマトジュース、トマトペースト 限度あり 資料1に需要予測(販売価格に基づく販売量の予測) 販売価格は長期販売戦略を反映 25 Red Brand Canners 製品の利益性、原料使用量 Cooper財務部長 • 単位当たり利益: ホールトマト>他製品 • 農家からのトマトの購入価格: 18 ¢/ lb • 資料2: 各トマト加工品の利益への寄与度 各製品のケース当たり原料使用量 26 Red Brand Canners 生産能力と品質基準 27 Tucker製造部長 • 生産能力は十分 • 品質Aの原料に限りがあるため、ホールトマト だけを生産できず • 原料・製品の評価システム – 評価値は0~10(10が最高) – 品質Aクラス(Bクラス)の評価値は平均9(5) – 各製品の原料の許容平均評価値 • ホールトマト缶詰≧8,トマトジュース≧6, トマトペースト≧0(制限なし;品質Bの原料から生産可) •ホールトマト缶詰の生産は原料最大800,000 lbs Red Brand Canners 追加原料調達の可能性 Gordon副社長 • 品質Aクラスの追加原料調達の可能性 • 追加購入量の上限: 80,000 lbs • 追加購入単価: 25.5¢/lb 28 Red Brand Canners 「限界利益」分析に基づく判断? 29 Myers販売部長 • 今年の業績見通しは明るい • ホールトマト缶詰の生産がよい訳ではない • Cooper財務部長の計算のように、数量だけを 考慮するのでなく、トマトの数量と品質を考慮 して決めるべき • 資料3: 限界利益(marginal profit)の計算 – トマトペースト=品質Bの2,000,000 lbs – ジュース=品質Bの400,000 lbsと品質Aすべて – これで$144,000の利益を達成できるはず Red Brand Canners 「限界利益」に基づく分析? Myers販売部長 EXHIBIT 3 • 連立方程式を解いて、品質Aトマトと品質Bト マトのlb当たりの原料コストを計算(これって 妥当?) • 製品 ホール缶詰 ジュース ペースト 売価 $12.00 $13.50 $11.40 原料費を除く変動費 7.56 9.54 5.85 原料費 4.47 3.72 3.90 限界利益 $-0.03 $0.24 $1.65 30 31 Red Brand Canners 質問 1.なぜTuckerはホールトマト缶詰の生産が 800,000 lbsで抑えられるというのか? 2.原料をすべてホールトマト缶詰の生産に回 すというCooper財務部長の提案はどこに問 題があるのか? 3.Myers販売部長はどのようにして資料3を 計算したか?Myers販売部長の論理はどこ に問題があるのか? 32 Red Brand Canners 質問(続き) 4.Gordon副社長の追加購入を考えないとい う想定の下で、最適生産計画を線形計画問 題として定式化せよ。トマト製品の重量(lbs) を変数(決定変数;decision variables)とせよ。 目的関数の係数は単位重量(lb)当たりの利 益(¢)で表現すること。 5.Gordon副社長が提案する原料の追加購 入を考慮した場合にはモデルをどう修正す ればよいか。 33 Red Brand Canners 質問への解答例(1) 1.なぜTuckerはホールトマト缶詰の生産が 800,000 lbsで抑えられるというのか? – 品質基準Aの原料はa=600,000(lbs) – ホールトマト缶詰の品質基準から 9a/ (a+b) +5b/ (a+b) ≧8 ただし、bは品質Bの原料 なお上の不等式は, 9a+5b≧8 (a+b)と等価 – 品質基準を等式として連立方程式を解くと、 a=600,000,b=200,000,あわせて800,000 lbs Red Brand Canners 34 質問への解答例(2) 2.原料をすべてホールトマト缶詰の生産に回す というCooper財務部長の提案はどこに問題が あるのか? – 品質基準を満たさなければいけないために、ホー ルトマト缶詰の生産には原料800,000lbsという限度 がある。仮に、ホールトマト缶詰を限度一杯生産し た場合(品質基準の制約から,残りの原料 2,200,000lbsはペーストにせざるをえない;一方, ペーストの需要は2,000,000lbsまで)の利益は(計算 すると10136000¢となり,比較してみると)最適計画 の利益13609000¢より低い Red Brand Canners 質問への解答例(3) 35 3.Myers販売部長はどのようにして資料3を計算し たか?Myers販売部長の論理はどこに問題がある のか? – 品質Bの原料2,000,000lbsをペーストに割り振っている のは、ペーストが(Myersの計算では)一番もうかるが、 需要制約のため、これ以上作っても売れないため – そもそも、トマトの価格と品質評価値が比例するという命 題の論拠は疑わしい – 1000000*0.24/20+2000000*1.65/25=144,000 (ジュース,および,ペーストのmarginal profitは,それぞれ,ケース 当たり$0.24,$1.65なのでlb当たりに換算) より、利益が$144,000上がるという計算には、トマトの原 料費の一部しか考慮されていない – この方式はトマトの原料費を正しく評価できない あとは各自でどうぞ 検討の順序 変数の設定 ↓ 制約条件の設定 ↓ 目的関数の設定 36 最適生産計画 線形計画問題としての定式化(1) 追加購入を考えない場合 • 変数(単位は重量:lb) – WA(WB):品質A(品質B)の原料によるホールト マト缶詰の生産量 – JA(JB) :品質A(品質B)の原料によるトマト ジュースの生産量 – PA(PB) :品質A(品質B)の原料によるトマト ペーストの生産量 • 目的関数(単位はセント¢) – 総利益の最大化 37 最適生産計画 線形計画問題としての定式化(2) 追加購入を考えない場合 • 制約条件 – トマトの原料使用量はトマトの原料供給量以下 – トマト製品の生産量は予測需要量以下 – 各製品(ホールトマト缶詰、トマトジュース)の投 入原料品質基準を満足 • 制約条件の数式化の準備 – トマトの原料使用量 ≦ トマトの原料供給量 – 製品生産量 ≦ 予測需要量 – ホールトマト缶詰(トマトジュース)の投入原料平 均評価値 ≧ 8 (6) (非線形制約にならない よう注意) 38 最適生産計画 39 線形計画問題としての定式化(3) 追加購入を考えない場合 • 目的関数 各自、考えてください。いろいろ幻惑させる情報 があるので、どの情報を使うべきかよく考えてく ださい。 ヒント: トマトの購入費用は、一括して払う(定 数)と考えられる。各製品に対する目的関数の 係数は、トマトの原料費を除いた「売値-変動 費」で考えればよさそう。ただし、単位(per case, per poundなど)に注意。 40 最適生産計画 線形計画問題としての定式化(4) 追加購入を考えない場合 • 制約条件 各自、考えてください。(制約は比較的簡単) なお、「品質基準制約」を (9a 5b) /( a b) 8 のように書くと、非線形制約になってしまい、ソル バーから文句を言われます。文句を言われな いように分母を払って整理した上で線形制約に しましょう。 Red Brand Canners 質問への解答例(4) 41 4. Gordon副社長の追加購入を考えないという想定の下で、最適生産 計画を線形計画問題として定式化せよ。トマト製品の重量(lbs)を変数 (決定変数;decision variables)とせよ。目的関数の係数は単位重量(lb) 当たりの利益(¢)で表現すること。 森戸の計算では、最適値は、13,609,000セントとなっています。 結果出力省略 最適生産計画 42 線形計画問題としての定式化(5) 追加購入を考慮した場合 • 目的関数 (単位 ¢) 各自考えてください。4と同様に考えればよいで しょう。 • 制約条件 考えてください。 43 目標計画法 複数評価尺度(多目的)問題への一対処法 44 線形計画の定式化(1) 最大化 6x1 4x2 制約 2x1 3x2 900 (時間): 工程1 (万円): 粗利益 6 x1 3x2 1800 (時間): 工程2 x1 , x2 0 45 実行可能領域での利益最大化 x2 600 工程1制約 300 最適解 工程2制約 実行可能領域 0 300 450 x1 46 線形計画の定式化(2) 最大化 6x1 4x2 制約 2x1 3x2 900 (時間): 工程1 (万円): 粗利益 6 x1 3x2 1800 (時間): 工程2 x1 250 (個) : 製品Qの販売量 x2 200 (個) : 製品Rの販売量 x1 , x2 0 実行可能領域が存在しない場 合 x 2 製品Rの販売目標 600 工程1制約 300 製品Qの販売目標 工程2制約 0 300 450 x1 47 48 目標計画法による定式化 最小化 (リグレット関数) 制約 G1(粗利益の目標) p1d1 p2 d 2 p3d 3 1 2 2 3 3 6 x1 4 x2 d d 1800 d d 250 G2(製品Qの販売目標) x1 G3(製品Rの販売目標) T1(工程1の制約) 1 x2 d d 200 2x1 3x2 900 6 x1 3x2 1800 x1 , x2 , d1 , d 2 , d 3 , d1 , d 2 , d 3 0 T2(工程2の制約) 49 付順方式のソルバー結果 目標計画法の定式化(1) 付順方式 付順 生産・販売量 販売単価 単位当たりの変動費 販売単価-変動費 製品1の販売目標 製品2の販売目標 工程1の所要時間/個 工程2の所要時間/個 不足偏差 超過偏差 製品Q 製品P 粗利益 製品Q 製品R 粗利益 製品Q 製品R 100 1 0.01 250 100 0 0 100 100 0 0 9 6 3 2 6 4 1 -1 1 1 -1 1 1 -1 2 3 6 3 目的関数 1 1800 250 200 800 1800 = = = ≦ ≦ 制約条件 1800 250 200 900 1800 50 目標計画とは • 一般に複数の評価尺度を考慮する • 評価尺度ごとに、「目標値との差」がいくつ かを制約条件として表現する • 「目標値との差」の重み付き和を最小化す る(なるべく目標に近づけたい) • その他、通常の制約条件(目標計画では、 テクニカル制約と呼んでいる)は通常の数 理計画問題と同じようにあってよい 51 目標計画法の図解 x2 製品Rの販売目標(G2) 600 工程1制約 450 1 d d1 d 2 d 2 300 d 3 B A d 3 D E 利益目標(G1) 0 C 300 製品Qの販売目標(G3) 工程2制約 450 x1 52 pの決め方:付順方式 • G1~G3に優先順位をつける。 • 優先順位の高いものから順に、大きな数 を与える。各値の差は十分大きくなるよう に設定する。 • 例えば、順位がG1→G2→G3のような場合 に、p1=100, p2=1, p3=0.01とする。 53 pの決め方:加重方式 • G1~G3の各目標にウェイトによる重み付 けを行う。 • 各ウェイトは重要性に比例した値とする。 重要なものほど大きな値とする。 54 第2回 宿題 宿題2.1 農場経営問題(「数理計画問題 集(その1)」問題2)を解き、質問aからjに 答えなさい。 宿題2.2 Excelソルバーで問題を解くこと によってRed Brand Cannersの質問4,5に 答えなさい。
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