討論準備課題(ジャーナリズム編) - 新聞を著作権(的)政策で救済することの是非 - 課題の性質 ・今回は考えを磨くことの他に、事実関係を調 べることにも力を入れて下さい。 ・作成するのはメモだけです。 状況 新聞社は購読者の減少、広告出稿量の減少で悩んでいます。 例えば、以下の資料を見て下さい。 日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」 http://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php ADMT 広告図書館 「日本の広告費」 http://www.admt.jp/library/statistics/ad_cost/media.html http://www.admt.jp/library/statistics/ad_cost/past.html 諸藤絵美, 渡辺洋子「生活時間調査からみたメディア利用の現状と変 化~ 2010 年国民生活時間調査より~」 http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2011_06/20 110605.pdf ※他にも資料などを探してみて下さい 背景:報道と資金 お金がかかる報道 ・地道な調査を重ねて発見に至るような調査報道 ・海外に特派員をおいて現地で取材を重ねるよう な報道 安くあがる報道 ・関係機関のプレスリリースや公式発表に依存す るニュース記事 ・ほかの報道機関が取材した内容に基づく記事 ・ネットの噂を伝える記事、それに関係者や識者の コメントを付け加えた記事 近年では、新聞救済のための政策として、以下の ような案が議論されています。(米国の議論) ・スクープを最初に報道した報道機関は、その利 用を一定期間独占できる権利を持つことにして はどうか。 ・つまり、そのようなニュースについては、著作権 法上問題がないとされるアイディアや事実の無 断利用も禁じてはどうか。また、著作権法上許さ れている引用行為 なども制限してはどうか。 ・それによって、報道機関はオンラインでニュース を公開してもアグリゲートサイトや、ブログに事 実だけを借用されるということが防げるのではな いか。 参考資料の例 検索の際のキーワード: Hot News Doctrine (hot news misappropriation doctrine, hot news appropriation doctrine) 例: John C. McDonnell (2012) "The Continuing Viability of the Hot News Misappropriation Doctrine in the Age of Internet News Aggregation" Northwestern Journal of Technology and Intellectual Property v.10 n.3 http://scholarlycommons.law.northwestern.edu/cgi/viewcontent.cgi?a rticle=1164&context=njtip Sanford et al. (2009) "Saving Journalism With Copyright Reform and the Doctrine of Hot News" Communications Lawyer, v.26 n.4 http://www.americanbar.org/content/dam/aba/publishing/communic ations_lawyer/sanford.authcheckdam.pdf 制約条件1 ・ディベートの時間中は、「少なくとも調査報道 は社会に必要である」という立場を維持してく ださい。(どういう理由で必要か、ほかに報道 のどういう部分が必要か、は自由に考えてく ださってOKです。) ・ディベートが終わった後のレビューではこの制 約条件を外して議論します。 課題:この政策を、できるだけ有益な ものに仕立て上げて下さい。 1)この政策のよいところ 2)この政策の主な欠点や致命的欠陥(最低2 つ) 3)欠点を解決できるような政策の設計案・具体 的特徴 4)結果としてジャーナリズムはどのように保 護・振興されることになるか メモ作成 前ページの4点を整理したメモを各人作成して 下さい。 授業に持参して下さい。終了後に回収します。 ※文章やポジションペーパーは不要。アイディ アを磨くことに時間を使ってください。 例 ・欠点:スクープの定義の仕方によっては、緊急に広めるべき災害の ニュースが、報道機関に許諾をもらわないと広まらないことになる。 ・対処案:不特定多数の人命、身体の安全、財産に関わるニュースは、 除外するような法律にすればよい。 ・欠点:医学分野の研究者や研究機関は病気の予防法や栄養や運 動が健康に与える影響など、新しい調査の結果を報道発表として 公表しているが、全ての報道機関は彼らに許諾をもらわないとそ れについて報道できないことになるのか? 政府機関はどうか? ・対処案:スクープについての独占権を持つのは、定期刊行物に発表 された情報のみで、また権利者は、そのような情報の提供に対す る対価を主な収入としている事業を営む者、と定義すればよい。 フォーマット ・当日は、攻守交替スタイルで議論します。 ラウンド1 チームAが賛成派 対 チームBが反対派 ラウンド2 チームAが反対派 対 チームBが賛成派 ・各ラウンドは [反対派の批判→賛成派の応 答]x2 時間配分(予定) ・本日の目標と活動概要確認(7分) ・チーム分け&ジャッジ選定・先攻・後攻決め(2分) ・グループ内議論(20分:論点共有・選定) ・ ラウンド1(15分) ・グループ内議論(10分:論点選定) ・ラウンド2(15分) ・ジャッジの質問・応答(7分) ・判定・講評(3分) ・レビュー(10分)
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