2005年12月14日 東京大学大学院教育学研究科 東大教育研究創発機構 公開講演会 韓国・東アジアの教育改革 ー韓国の代案学校運動を中心に ( 1990−2005)ー 趙恵貞 韓国延世大学教授、文化人類学専攻 東京大学学校臨床総合教育研究センター 「アメリカとヨーロッパ諸国が2、3世紀に かけて徐々に達成たち教育の近代化を、日本 (韓国、台湾、香港、シンガポール)は1世 紀にもならない短い期間で達成した」 佐藤 学(2003:38) 「圧縮された近代化と高い階層移動性は深刻 な入試競争教育体制を産んだ」(37) 「東アジア型教育は教育の近代化が頂点に達 し、経済が低成長時代に突入することによっ て学力神話が崩壊すると、一瞬で崩れた (107) 1.概観:東アジアの近代化 圧縮的高度成長の社会:土建国家 「東アジア型教育システム」の破綻ー学力神 話崩壊、ケアにおける危機的社会 リコンストラクションと新自由主義改革:不 安定な雇用、消耗性バッテリー化 家庭の解体、共同体の解体、階級両極化 「子ども、親、教師の『個人責任』を極大 化」 佐藤(2003:54) 学校の両分化 エリート教育機関と大衆を受容する福祉機関 中間層多数の子どもたちの虚無主義、冷笑主 義、無気力「眠れる森の美男と美女」 2.歴史的背景の概観 1) 旧韓末 –通訳学校など開花のための学校、書堂 (ソダン)の普遍化 2) 植民地の時期 (1905-1945)-普通学校、民族主 義的私学、興士団、YMCA 3) 米 の 影 響 下 冷 戦 体 制 に お け る 文 化 植 民 主 義 (1945-1960) – 国民学校、右派国民づくり 4) 軍事政権下の経済発展期 (1960-1993) – 経済 開発のための輸出人力づくり。中高の入試制度 廃止及び家庭教師/塾禁止政策 5) 民間政権委譲と教育改革の試み (1993- 2000): 青少年問題が話題に。21世紀ヴィジョン委員会、 IMF経済危機 6) グローバリゼーションと新自由主義 (2000- ) 3.学校、青少年、代案学校関連記事 (1995−2005) GNP 1万ドルの時代へ:消費世代の登場 新世代論 ソ・テジ論:「あなたの好きなよ うにしなさい」 家出衝動76%(1998)、自退日記(1999). サイバー・アンチ・スクール運動(2000)、髪 型自律ソウル市教育庁勧告 (2000) 青少年75%携帯電話中毒(2001)、青少年の鬱 病が深刻 (2001) 青少年の寝不足 45% 家庭教師 25% パソコン ゲーム (2004) 再び増える青少年の家出(2005) 3.学校、青少年、代案学校関連記事 (1995−2005) 学校崩壊の議論とともに代案学校が登場、青少 年問題の本格化 寸志記録簿女教師 (1997), 揺れる教権(1998) 「中高暴力サークル」青少年保護対策本部 (1999) 「学校は絶対に塾に追いつけない」(2003) 公教 育崩壊、解法はないのか(2003) 現在の平準化政策は失敗(2005)、 教員評価制 来月試験的に実施 (2005) 3.学校、青少年、代案学校関連記事 (1995−2005) 私教育と公教育:私教育費特別対策委員 会発足 (1999) 留学博覧会: 「韓国教育未来はない」 (2000) カモパパたち 教育費貧富の格差深化させ。貧困の再生 産 (2001) 私教育費対策効果なしか/入試補習塾依 然増加勢(2004) 2008 大学入試制度により私教育増加 (2005) 3.学校、青少年、代案学校関連記事 (1995−2005) 代案学校:「代案学校がブレーク、自律、個性取 り戻す;競争率10:1超える学校も」 (2000) 公立代案学校設立推進 (2001)、代案学校教育 広場 (2002)、これからは「小さい学校」だ (2002) 、代案学校も正規学歴として認定 (2003) 代案教育教師アカデミー (2004) 「親が開いた学校 、『子どもが楽しいといいま す』」 (2005) 代案学校法制化の背後には: 教育哲学尊重、不 当な干渉するな (2005) 4. 代案学校の歴史と歴史的主体たち 1) 1980年代以前:中高入試を廃止し、家庭教師を 禁止するなど強制政策、アメリカ式自律教育(梨 花女子大学校付属初中高)大学生の夜学、宗教 集団による不適応児童への援助、大学生の反体 制運動 2) 民主民衆民族、女性運動 (1980- 1995)と教育 運動 フェミニスト集団の「もう一つの文化」、子ども キャンプ、全教組教師キャンプ、共同育児、生協 女性の進化、市民運動団体による夜学、放課 後・週末学校 4. 代案学校の歴史と歴史的主体たち 3) 1995 (GNP 1万ドル):本格的に代案学校が登 場。 脱学校の集い、出版社、廃校を再生させ る運動、小さな学校を活かす人々、ウリ教育(雑 誌)、全教組活動、作文教師の集い、インター ネットを通した情報交流 1995年 2月 「新しい学校を作る集い結成」 成績を悲観し自殺する子どもたちを助けよう 1994 共同育児子どもの家 2004年 親が出資する形。現在56ヶ所。 1997 非認可ガンジー青少年学校中高統合技 術学校設立 4. 代案学校の歴史と歴史的主体たち 1998 特性化学校として認可 (6ヶ所から 24箇所へ)- 中途脱落生予防対策 2001 代案初等学校 (非認可)と田園型 小さな学校(廃校を活かす運動と連携した 公教育改革モデル) 現在:全日制代案学校約70ヶ所。 (特性 化代案学校 24校, 非認可代案学校40 +) 1999 ミンドゥルレ(タンポポ)脱学校代案 教育集中雑誌創刊、ハジャ・センター創立、 都市型代案学校のスタート 2005年 3月 2日 代案教育法通過 5.代案学校のモデル ガンジー学校 1998 「学ぶということは自分を慎むことだ。教えるという ことは希望を語ることである」 特性化学校(人文、実業、特目校、作業学校と代案 学校の特性化) www.gandhischool.net 4つのキャンパス ハジャ作業場学校 2001 (青少年問題から始 まった非認可都市型小さな学校) 「自らアップグレードしよう」、「プロジェクトで学ぶ」 (全工程を経験)、「Showしよう」(学芸会、祝福 がある学校)、同僚、先・後輩がいる学校、直接 見て学ぶ、「欠乏」の重要性、感謝できる心、恋 愛を単位化しよう。 www.haja.net 5.代案学校のモデル イウ学校 2003. 9 (公立代案学校、中高等) 共にいきる人生 www.2woo.net 統合型都心の認可学校、一般公教育と最も近い環境の中で 実験、「最も現実的な公教育の代案を提示する」 (ジョン クァ ンピル校長) コサン初等学校 2002, 2005 (ナムハンサン 2001, 2.) 2001年田園型小さな学校推進事業スタート:100名以下の 小規模学校の統廃合政策による廃校危機にある公立学校 を活かすこと、作文の集いの教師と親、市民運動家たちが 中心 「私の人生の主人は私、共に生きる私たち」 www.keosan.es.kr 「教育の本質に忠実な小さな学校、自律できる教師文化をつ くる学校」 (ナムハンサン初等学校) 村の果樹園開放「学校があり子どもたちが溢れると、人も町 も活性化した」(コサンリサン) 5.代案学校のモデル 約束 1)利己主義を捨てよう、どの子もわが子、2)子ど も対する欲を捨てること、3)親の教育の必要性、 4)賞罰制度の問題-賞をなくそう、5)特技、適 性教育としての名は掲げない、6)偽装転入せず に転校できる方策を模索 「一部で言われている、代案学校形態ではない、 公教育をより強化させ公教育に希望を提示する 役割」 (田園型小さな学校を準備する教師の集 まり宣言文 2001年9月21日) 都市に転校する理由:課外授業、有能な教師と現 代施設があるという神話、生徒数が多いから競 争が誘発され子どもたちは勉強に励むだろうとい う思い(サン・ホスン 2001 危機の学校教育) 5.代案学校のモデル ソンミンサン学校 2004 (親がつくった学校、12年制私立、生協、町 を守る、女性運動) 「自ら立ってお互いを活かす人」 www.sungmisan.net 達成よりもケアの文化 (疎通合理性と道具 的合理性)-「恋愛」の雰囲気 町のおかず屋さん、テキョン(韓国伝統武 術)と生協と市民運動との連携 6.代案学校飛躍の段階と課題 「ポスト産業社会の子どもたちに必要なこ とは基礎学力の徹底ではなく、知識情報社 会に対応できる質の高い学びである」 佐 藤学 (2003:121) 「学び」とは、モノ(対象世界)との出会いと 対話による<世界づくり>と、他者との出 会いと対話による<仲間づくり>と、自分 自身との出会いと対話による<自分づくり >とが三位一体になって遂行される「意味 と関係の編み直し」の永続的な過程である と、私は定義しています。 佐藤(2003:56) 6.代案学校飛躍の段階と課題 内的な問題群: -急激な社会の解体:家庭の学校化、学校の家庭化 「10人 の子どもを育てる賢明な母」 -教師がいない:教師自身の自信と自立:佐藤先生の教師を 中心として再活力化運動 「骨を埋める」という決意をする教師たち、親、市民運動家出 身の教師たち -内部のコミュニケーション (教師と校長、教師と親、女性と 男性) リスニングの問題、非暴力的な対話法、徒弟的学習、 チューター、インターンシップ、影になること、ネットワーク学校 外部: -公教育と私教育の論争(教育の公共性と社会的な援助体制 をつくること;李・ジョンテ) -代案学校と制度圏の学校の境界を壊す(相対的剥奪感によ る大衆の妙な抵抗) -市場モデルまたは相生モデル(アン・ビョンヨン 2005) 7.結びにかえて あまりにも速く変わっていく。 「過去は代案学校が問題児学校として捉えられたが、もは や新しい学校のモデルの一つとしてその位置を確保しつ つある。」 (キル・チンギュン 2005.5.24) 政府の動き (代案学校法制化と革新学校安);革新都市に 特別目的高校を設立しようとする意図、そして宗教団体 の教育界大挙介入の危険性。 西洋と日本の20-30年前の代案学校と共同体の現在の 状況分析 学校を拒否する子ども、子どもを拒む社会 (1997) 学校を求める子ども、子どもを求める社会 (2002) 学校をケアする子ども、子どもをケアする社会(2006) 7.結びにかえて 核心はケアの力:教師のケアの力ではなく、 子どもたちのケアの力を引き出すこと どのように子どもたちがケアしたい学校をつ くるのか どのように社会をケアするのか 後期近代に対する感覚:結果ではなく過程 7.結びにかえて Creative commons としての小さい学校:再び 「村、社会」をつくる。 ジャンプ、学習の楽しさ、エネルギー、奇跡が起 こる時間と空間。 アジアネットワーク:ネットワークを通して創造力 を育て、グローバル市民として成長させること “Think globally, act locally!” “Think Locally, Act Globally!” “Think Regionally, act Locally” “Think Locally, Act Regionally!” Thank you for your attention. 감사합니다.
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