全国の分娩の50%は病院、 50%は診療所

産婦人科医師の就労状況
と
未来予想図
日本産婦人科医会
日本医科大学
中井章人
産婦人科施設数
の年次推移
7000
6170
6175
6050
5978
6000
ー192
5000
4000
3000
総数
2000
診療所(分娩無)
2706
1834
1278
診療所(分娩)
病院(分娩)
1000
352
2767
2750
1804
1717
1242
362
病院(分娩無)
2726
+20
1686
1187
1170
396
396
2008
2009
ー148
ー108
+44
0
2006
2007
日本産婦人科医会施設情報調査2009
施設毎の医師数の年次推移
6000
5284
医師数
5449
5108
5137
+341
5000
病院(分娩)
病院(分娩無)
診療所(分娩)
4000
診療所(分娩無)
2587
3000
2690
2710
+123
2451
ー26
2000
1000
2370
410
2368
2353
2342
425
468
452
2007
10488
2008
10648
2009
10953
+27
0
総医師数
2006
10515
+465
日本産婦人科医会施設情報調査2009
分娩取扱い病院勤務医の就労環境
2007年、2008年全国アンケート調査との比較
2009年
2008年
対象施設
1157
1177
有効回答(%)
823 (71.1)
853 (72.5)
分娩数
1施設あたり
499.8
474.8
常勤医1名あたり
88.9
98.3
帝王切開率 (%)
22.5
21.9
25.0
24.2
母体搬送受入数
1施設あたりの医師数
常勤医
5.6
4.9
(うち女性医師%)
1.8 (32.1)
1.5 (30.6)
非常勤医師
1.9
1.9
常勤助産師数
当直を除く1週間の勤務時間
51.6
52.1
1ヶ月間の推定在院時間**
317.1
317.7
当直
回数(/月)
6.0
5.9
睡眠時間(h)
4.8
4.7
翌日勤務緩和(%)
156 (19.0)
142 (16.7)
手当増額(%)
144 (17.5)
124 (14.5)
分娩手当(%)
339 (41.2)
230 (27.0)
特殊手当(%)
143 (17.4)
110 (12.9)
ハイリスク加算の還元(%)
39 (8.2)***
66 (7.7)
クラークの配備(%)
346 (42.0)
256 (30.0)
* 2006年度定点調査より換算
**当直における拘束時間を16時間として算出
***ハイリスク加算の請求がある473施設における頻度
2007年
1281
794 (62.0)
446.3
98.4
NA
NA
施設は減少、勤務医師は微増.
勤務時間の改善はない.
待遇面は緩やかな改善.
4.5
NA
1.5
NA
NA
6.3*
NA
58 (7.3)
73 (9.2)
61 (7.7)
41 (5.2)
5 (0.6)
NA
NA: not applicable
日本産婦人科医会勤務医部全国調査2009年8月
周産期母子医療センターの概要
対象施設
有効回答 (%)
分娩数
1施設あたり
常勤医1名あたり
帝王切開率 (%)
母体搬送受入数
1施設あたりの医師数
常勤医
(うち女性医師)
非常勤医師
総合周産期母子医療センター常勤医師数
常勤助産師数
施設数
14
12
10
8
6
4
2
0
総合
75
62 (82.7)
地域
234*
167 (71.4)
一般
848
594 (70.1)
total
1157
823 (71.1)
816.9
60.8
35.3
119.8
577.8
77.0
29.1
53.9
460.3
103.7
22.2
28.1
499.8
88.9
22.5
25.0
13.2
5.2
2.4
30.7
7.5
2.8
1.3
17.8
13
当直を除く1週間の勤務時間
55.2
50%は10名以下
1ヶ月間の推定在院時間**
318.2
当直
9
8
日勤・夜勤交代制 (%)
4 (6.5)
回数(/月)
5.1
5
4
4
4 3.8
睡眠時間(h)
3
3
翌日勤務緩和2 (%)2
21 (33.9)
2
1
1
手当増額 (%)
7 (11.3)
0
0
分娩手当
(%)9 10 11 12 13 14 15 16 17 1817 (27.4)
<6
6
7
8
19 > 20
常勤医師数
特殊手当 (%)
13 (21.0)
産科医療確保事業による補助 (%)
20 (32.3)
ハイリスク加算の還元 (%)***
6/44 (13.6)
クラークの配備 (%)
39 (52.0)
* 237施設中産婦人科のない3施設は除く
**当直における拘束時間を16時間として算出
***ハイリスク加算の請求がある施設における頻度
4.3
5.6
1.2
1.8
2.1
1.9
11.4
14.2
地域周産期母子医療センター常勤医師数
施設数
35
30
25
54.4
317.9
23
4 (2.4)
15
5.3
10
10
4.6
4
5
40 (24.0)
0
36 1(21.6)
2
3
4
82 (49.1)
35 (21.0)
70 (41.9)
15/115 (13.0)
95 (40.6)
20
50.5
51.6
80%は10名以下
318.8
317.1
32
19
20
39 (6.6)
6.4
10
4.9
5 5
3 2
95 (16.0)
101
(17.0)
6
7
8
9
10 11
12
240 (40.4)
常勤医師数
95 (16.0)
215 (36.2)
18/314 (5.7)
212 (25.0)
14
5
47 (5.7)
6.0
4.8
3
156
1 1(19.0)
1 1
14415(17.5)
13 14
16 17
339 (41.2)
143 (17.4)
305 (37.1)
39/473 (8.2)
346 (42.0)
9
2
2
18
19
>
20
日本産婦人科医会勤務医部全国調査2009年8月
女性医師支援に関する調査結果の比較
2009年
1157
823 (71.1)
1503
475 (31.6)
2008年
1177
853 (72.5)
1259
413 (32.8)
対象施設
有効回答(%)
集計された女性医師総数
妊娠・育児中の女性医師数(%)
院内保育所の設置状況
設置される施設(%)
436 (53.0)
399 (46.8)
85 (10.3)
病児保育(%)
80 (9.4)
24時間保育(%)
134 (16.3)
111 (13)
利用者数(%)*
163 (34.3)
163 (39.5)
代替医師派遣制度(%)
79 (9.6)
110 (12.9)
妊娠中の勤務緩和
制度がある(%)
378 (45.9)
388 (45.5)
女性医師のうち、31.5%が妊娠・育児中.
軽減される妊娠週数
22.5
23.3
実績人数(%)*
442 (93.1)
371 (89.8)
院内保育所の導入率は上昇したが、女性医師の利用者数
育児中の勤務緩和
は減少.
制度がある(%)
363 (44.1)
346 (40.6)
軽減される期間(月)
17.5
15.3
実績人数(%)*
350 (73.7)
260 (63.0)
*妊娠・育児中の女性医師における頻度
日本産婦人科医会勤務医部全国調査2009年8月
病院、診療所の取扱い分娩数の年次推移
分娩数
545000
540000
535000
530000
525000
520000
515000
病院
510000
505000
500000
495000
診療所
総分娩数1073287出産.
人口動態調査1091156出産の98.4%.
2006
2007
全国の分娩の50%は病院、
50%は診療所
2008
2009
年
人口動態調査2008年
日本産婦人科医会施設情報調査2009
帝王切開率(%)
病院、診療所の帝王切開率の推移
25
20
19.6
21.3
22.7
23.1
平均3%増加
15
10
11.2
12.2
12.7
13.6
病院帝切率
5
診療所帝切率
0
2006
2007
2008
2009
年
全国の帝王切開率18.4%
日本産婦人科医会施設情報調査2009
都道府県毎の診療所分娩が占める割合
(%)
90
80
77
73.7
70.8
70
68.6
68.5
64.6
64.3
56.6
53.9
51.8
51.4
51.6
49.249.8
56
55
54
53.2
47.9
50
58.1
56
54
66
61.7
61.3
59.2
60
68.1
67.8
52.952.7
49.7 50
47.5
43.5
41.3
41.5
39.4
41.1
40.8
37.9
36.5
40
31.4
30.1
41.5
40.8
28.1
30
25.4
20
10
沖縄県
鹿児島
宮崎県
大分県
熊本県
長崎県
佐賀県
福岡県
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山
奈良県
兵庫県
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
愛知県
岐阜県
福井県
石川県
富山県
新潟県
静岡県
長野県
山梨県
神奈川
東京都
千葉県
埼玉県
群馬県
栃木県
茨城県
福島県
山形県
秋田県
宮城県
岩手県
青森県
北海道
0
大都市圏を除き西高東低
日本産婦人科医会施設情報調査2009
診療所分娩率が病院勤務医師の就労環境
に及ぼす影響は?
都道府県毎の診療所分娩率と母体搬送受入数
都道府県毎の診療所分娩率と病院勤務医在院時間
90
推定在院時間
(/月)
450
80
400
70
350
60
300
50
250
100
母体搬送数
200
R2 = 0.218
40
2
p < 0.05
30
R = 0.0025
150
20
100
10
50
0
0
0
20
40
60
診療所分娩率(%)
80
100
0
20
40
60
80
100
診療所分娩率(%)
診療所分娩率が高い県は平均母体搬送件数が多いもの
の、病院勤務医就労環境に影響は及ぼしていない。
日本産婦人科医会勤務医部会全国調査2009年
日本産婦人科医会施設情報調査2009
都道府県毎の診療所分娩割合と周産期死亡率
7
周産期死亡率
6
5
4
3
診療所分娩率と早期新生児死亡率
診療所分娩率と妊娠22週以後の死産率
2
1.8
5
RR 2= 0.0042
= 0.0018
1.6
1
4.5
4
1.4
1.2
3.5
0
3
1
2.5
20
2
1.5
40
60
0.8
80
0.6
2
R = 0.0085
診療所分娩の割合
1
0.5
0
2
0.4
0.2
診療所の分娩は本邦の周産期予後の維持に役
立っている。
0
0
20
40
60
診療所分娩率(%)
80
100
0
20
40
60
80
100
診療所分娩率(%)
人口動態調査2009年
日本産婦人科医会施設情報調査2009
診療所分娩率は何に影響され増減するか?
平均分娩費用
診療所分娩率と分娩費用
600000
500000
診療所の分娩費用の分布
施設数
400
400000
380
300000
350
300
200000
239
250
230
R2 = 0.0303
NS
100000
200
150
0
100
50
71
42
1
4
20-24
25-29
0
20
40
60
80
100
診療所分娩率(%)
16
7
1
55-59
60-64
65-69
0
30-34
35-39
40-44
45-49
50-54
分娩費用(万円)
厚生労働省科学研究2009年1月
日本産婦人科医会施設情報調査2009
診療所分娩率と面積
面積
診療所分娩率と人口
人口
14000000
90000
80000
12000000
2
R = 0.0532
70000
10000000
60000
2
8000000
R = 0.0196
50000
40000
6000000
30000
4000000
20000
2000000
10000
0
0
0
20
40
60
80
100
0
診療所分娩率(%)
人口密度
20
40
60
80
100
診療所分娩率(%)
診療所分娩率と人口密度
7000
土地が広く、人口が少
ない、すなわち人口密
度の低い地域で診療
所分娩は多い傾向に
ある。
6000
5000
4000
3000
2
R = 0.0849
2000
1000
0
0
20
40
60
診療所分娩率(%)
80
100
国土交通省2009年1月
総務省統計局2009年1月
日本産婦人科医会施設情報調査2009
診療所分娩率と県民所得
県民所得
6000000
物価指数
診療所分娩率と物価指数
102
5000000
2
R = 0.1521
p < 0.05
100
98
4000000
96
3000000
94
92
2000000
90
2
R = 0.0379
NS
1000000
88
86
0
0
0
20
40
60
80
100
20
40
60
80
100
診療所分娩率(%)
診療所分娩率(%)
診療所分娩率と平均地価
物価や地価が安く、人口
密度の低い地域の医療
を支えているのが有床診
療所!
平均地価
(円/平方m )
600000
R2 = 0.1234
500000
400000
300000
200000
100000
0
0
20
40
60
診療所分娩率(%)
80
100
国土交通省2009年1月
総務省統計局2009年1月
日本産婦人科医会施設情報調査2009
診療所を支える医師の現状
100
有床診療所に常勤する医師の年齢・性別構成と施設責任者の年齢構成(平均56.7歳)
日本産婦人科医会「施設情報2009」より
女性
分娩取扱い診療所医師の年齢、性別分布
90
男性
8%
80
責任者の人数
12%
70
60
92%
50
88%
40
30
20
平均年齢 56.7 歳(女性 50.2 歳)
責任者 58.1 歳(女性 52.4 歳)
10
91歳
89歳
87歳
85歳
83歳
81歳
79歳
77歳
75歳
73歳
71歳
69歳
67歳
65歳
63歳
61歳
59歳
57歳
55歳
53歳
51歳
49歳
47歳
45歳
43歳
41歳
39歳
37歳
35歳
33歳
30歳
26歳
0
日本産科婦人科学会調査2009年
日本産婦人科医会施設情報調査2009
有床診療所のうち2人常勤する医師がいる施設における
その2人の年齢差
30
約800名
友人
兄弟
夫婦
25
20
約1500名
親子
15
10
5
0
0歳
2歳
4歳
6歳
8歳 10歳 12歳 14歳 16歳 18歳 20歳 22歳 24歳 26歳 28歳 30歳 32歳 34歳 36歳 38歳 41歳 46歳
人数
診療所責任者の年齢分布
180
婦人科施設責任者の性別
15%
分娩施設男性 分娩施設女性 婦人科施設男性 婦人科施設女性 160
140
120
100
婦人科施設責任者_男性
85%
58.2歳
52.4歳
65.0歳
57.1歳
婦人科施設責任者_女性
平成10年新規開業9.1%が女性医師
婦人科施設での妊婦健診
28%
あり
なし
80
60
72%
40
20
0
26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96
年齢
分娩取扱施設責任者_男性
婦人科施設責任者_男性
分娩取扱施設責任者_女性
婦人科施設責任者_女性
日本産科婦人科学会調査2009年
日本産婦人科医会施設情報調査2009
産婦人科医師の年齢、性別分布
450
400
350
学会女性
300
学会男性
婦人科診療所女性
250
婦人科診療所男性
200
産科診療所女性
産科診療所男性
150
100
50
0
23
28
33
38
43
48
53
58
63
68
73
78
83
88
93
98
103
年齢
日本産科婦人科学会調査2009年
日本産婦人科医会施設情報調査2009
未来予想図
新人医師の70 %は女性
退職者増加により総医師数は不変か微増
産婦人科医師の年齢、性別分布
450
400
女性医師の35 %は分娩から離脱
350
学会女性
300
学会男性
婦人科診療所女性
250
婦人科診療所男性
200
産科診療所女性
産科診療所男性
150
チャレンジ支援、多様化の推進
仕事と家庭・地域生活の両立
(ワーク・ライフバランスの確保)
100
女性医師が診療所勤務に移行すれば?
50
0
23
28
33
38
43
48
53
58
63
68
73
78
83
88
93
98
103
病院勤務医師は25 %減少する
年齢
産婦人科医師の年齢、性別分布
産婦人科医師の年齢、性別分布
450
450
学会女性
400
学会女性
400
学会男性
学会男性
350
婦人科診療所女性
婦人科診療所男性
300
350
婦人科診療所女性
婦人科診療所男性
300
産科診療所女性
250
産科診療所男性
産科診療所女性
250
200
200
150
150
100
100
50
50
0
産科診療所男性
0
23
28
33
38
43
48
53
58
63
68
年齢
73
78
83
88
93
98
103
23
28
33
38
43
48
53
58
63
68
73
78
83
88
93
98
103
年齢
内閣府男女共同参画局白書2009年
中井章人未来予想研究所?2010年1月
未来予想図
施設毎の分娩数の推移
施設毎の帝王切開率の推移
診療所分娩数ー10 %
550000
530000
病院帝切率
40
診療所帝切率
35
510000
30
490000
470000
25
450000
20
430000
15
410000
10
病院
390000
診療所
370000
病院分娩数ー20 %
病院、診療所機能分化が進む
5
0
350000
2006
2008
2010
2012
2014
2016
2018
2006
2008
2010
2012
2014
2016
2018
未来予想に重要なことは原因と結果です。現在の危機的状況はその勤務体
系がもたらした結果です。したがって、より急速な勤務医就労環境の改善を行
なわなければ、同じ10年をくり返すでしょう。
病院勤務医師減少に対し、施設機能をより明確にし、搬送システム向上、広
域搬送システム確立など救急体制の強化。
オープン、セミオープンシステム、地域パス、院内助産を推進する。
有床診療所開設、運営への支援
中井章人未来予想研究所?2010年1月