1 /22 2015年度 第4週 今日の予定 Text pp.11-16 §1.3 前期量子論 ・ ラザフォードの実験 ・ 水素原子のスペクトル ・ ボーアの量子仮説 §1.4 物質波 ・ 物質波(ド・ブローイ波) 2015年度 第4週 2 /22 ラザフォード以前の原子模型 Text なし 電子は原子の構成要素の一つであろう 電子 (負電荷) 全体に拡がった正電荷 トムソンの すいかモデル Joseph John Thomson 電子(負電荷) 中心に正電荷 長岡半太郎の 土星モデル 3 /22 2015年度 第4週 ラザフォードの実験(1) (Ernest Rutherford) 1911年 Text p.11 蛍光板 金箔 α線源 α線:正の電荷を持った ヘリウムイオンの流れ (陽子2個、中性子2個から なるヘリウムの原子核) 散乱のされ方を研究 4 /22 ラザフォードの実験(2) 2015年度 第4週 Text p.11 ほとんどは素通り 原子核 金の原子 原子中心部の非常に 小さい領域に正電荷 を持ったものが集中 稀に、非常に大きく曲げられる。 原子の 1万分の1以下 5 /22 2015年度 第4週 原子核があるということは・・・ Text p.11 クーロン引力 + Ze - e Z個の電子 -e 電子が中心力のもとで円運動 -e 荷電粒子が加速度運動 古典力学で考えると 電磁波を放射し、エネルギーを失う 電子が原子核と合体??? 2015年度 第4週 6 /22 現実は・・・ Text p.11 古典力学 連続スペクトルの 電磁波(光) を放射 電子が原子核と合体 現実(量子論) 普通の状態では光を出さない 外からエネルギーを得ると 線スペクトルの電磁波(光) を放射 原子の大きさは核よりも はるかに大きい 7 /22 2015年度 第4週 実験(水素原子の線スペクトル) Text なし 量 子 論 Quantum Theory スリット 石英 プリズム 乾板 高電圧 数kV 放電管 水素ガスを封入 数mmHg (数百分の1気圧) 8 /22 2015年度 第4週 水素原子の線スペクトルの例 Text p.12 1885年 λ 6563 4861 [Å] 赤 青 4340 4102 藍 紫 とびとびの波長の光しか出てこない 水素原子のバルマー系列スペクトル 9 /22 波長の規則性を表す式 2015年度 第4週 Text pp.11-12 1889年 リュードベリ(Johannes Rydberg)が定式化 n = 1, 2, 3, ・・・ 1 1 æ ö = = R¥ ç 2 - 2 ÷ , èn l c n¢ ø n´ = n + 1, n + 2, ・・・ Text p.11 (1)式 -1 R¥ = 10973731.569 m ; リュードベリ定数 1 n バルマー系列: n = 2, n´ = 3, 4, 5, 6, ・・・ 演習:前頁の各波長が(1)式から計算されることを確認せよ。 また、そのときのn’はいくつか。 10 /22 他にもある 水素原子の線スペクトルの系列 2015年度 第4週 Text p.12 n = 1 ライマン(Lyman)系列 紫外部 1906年 n = 2 バルマー(Balmer)系列 可視部 1885年 n = 3 パッシェン(Pascen)系列 赤外部 1908年 n = 4 ブラケット(Brackett)系列 遠赤外部 1922年 n = 5 プント(Phund)系列 遠赤外部 1924年 11 /22 ボーアの量子仮説(1) (Niels Bohr) 2015年度 第4週 Text pp.12-13 原子の構造に量子論を 持ち込んだ。 1913年 電子の軌道は、古典的に求められるものの中で、 量子条件というものを満たすものだけが 安定な定常状態の軌道として実現する。 (n = 1, 2, 3, …) 円軌道の場合 (運動量の大きさ)×(軌道1周の長さ) = nh (3) p = mv 2πr 半径:r 電子の質量・速度 量子条件: 2π mvr = nh (3’) 12 /22 ボーアの量子仮説(2) ー直感的な理解ー 量 子 論 Quantum Theory 電子を波として考えると 2015年度 第4週 Text なし n=4 波の波長の整数倍が円軌道の 1周に等しくなければならない。 nl = 2p r h n = 2p r p 整数倍からずれると、 山と谷が打ち消し合う。 2π mvr = nh l = h p (本資料p.20を先取り、詳しくは 固体物理A第2,3週資料pp.14-17参照) 13 /22 ボーアの量子仮説(3) -e +e - 2015年度 第4週 Text p.13 m v 遠心力: r 求心力: 2 + 水素原子 (4) (5) (n = 1, 2, 3, …) h -34 º = 1.0546 ´ 10 J ×s 2p (6) 14 /22 ボーアの量子仮説(4) 2015年度 第4週 Text p.13 電子のエネルギー: 運動エネルギー ポテンシャルエネルギー (4) (5) 15 /22 2015年度 第4週 ボーアの量子仮説(5) Text p.13 (7) hcR¥ e n = - 2 , n = 1, 2, 3, n (8) 水素内の電子の ; とびとびの値 許されるエネルギー 16 /22 ボーアの量子仮説(6) hcR¥ e n = - 2 , n = 1, 2, 3, n 2015年度 第4週 Text p.14 (8) 量子数 LL.1-3 量子条件を満たす軌道を運動する電子は 安定で一定のエネルギー(εn)を持ち続け、 その間は光を放出したり吸収したりしない。 定常状態 高 エ ネ エネルギー ル 凖位 ギ ー 低 励起状態 基底状態 定常状態 17 /22 ボーアの量子仮説(7) hcR¥ e n = - 2 , n = 1, 2, 3, n 2015年度 第4週 Text p.14 (8) 代入 励起状態 h 基底状態 ν n’ e n¢ - e n = hn (9) n p.11の(1)式 LL.8-9 励起状態にある電子の運動は、安定と言っても 永久に続くものではなく、一定の確率をもって エネルギーの低い状態に突然移り変わる。 遷移 2015年度 第4週 18 /22 水素原子の線スペクトル系列の解釈 Text p.12 プリント ライマン系列 バルマー系列 パッシェン系列 ブラケット系列 プント系列 n=1 2 3 4 5 6 19 /22 2015年度 第4週 (5) 実際の軌道は 等間隔ではない n=1 2 A 補足 hcR¥ e n = - 2 , n = 1, 2, 3, n 3 4 5 6 6 5 4 -1A/36 -1A/25 -1A/16 3 2 -1A/9 -1A/4 1 -1A n εn (8) 20/22 2015年度 第4週 物質波(1) Text p.15 光量子説のおさらい 波と考えられていた光 光子1個の持つ エネルギー 運動量 角振動数:w = 2pn 2 p 波数: k = l h = 2p 粒子的な性質をも持つ e = hn hn h (1) p= = c l e= w p= k 粒子的な量と 波動的な量を プランク定数が 仲立ち 波動と粒子の 二重性を表す (2) 量子力学の本質 太字はベクトル 21 /22 物質波(2) 2015年度 第4週 Text p.15 逆もまた真なりか? 真に違いない; Louis de Broglie ド・ブローイが提唱 粒子と考えられていた電子 波動的な性質をも持つ e = hn p= h l e= w p= k (1) (2) 物質波(ド・ブローイ波) (1), (2)式は物質波についても、 そのまま成り立つ。 22 /22 2015年度 第4週 物質波(3) ー波動性の実証ー 本当に電子が波動性を持つならば、 Text p.16 結晶による電子線の回折現象が起こるはず ダビソン、ガーマー、 演習 教科書p.16の式をフォローし、 トムソン、菊池正士らが 実験的に確認 計算を実行せよ。 100 Vで加速した電子線の波長λ はl = 1.23 ´ 10 -10 m = 1.23 Å ; 原子間隔と同程度 回折が起こる
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