トレーニングの際はスライド, ノートの両方を確認してください 臨床研究コーディネーター 業務に関するトレーニング 2015年5月作成 本スライドは、臨床研究コーディネーター(以下、CRC) の治験支援業務を想定して作成され ています。なお、本スライドですべてのトレーニングが網羅しているものではありません。 「別添2 トレーニング内容一覧」で必要なトレーニングをご確認ください。 1 目次 導入 CRCの役割 1~2 基礎知識習得について 本トレーニング資料の構成 治験実施計画書、各種手順書の理解 検査項目について確認・調整 治験開始前の準備(症例ファイル等) スタートアップミーティングの準備・運営 同意説明文書の作成補助 同意説明補助について(CRC向け補足) 症例登録手続き 有害事象の確認、報告について (CRC向け補足) 症例報告書作成のサポート (CRC向け補足) 被験者に対する緊急連絡先の説明 服薬日誌記載方法の説明および 記載状況の確認 被験者からの相談窓口 治験の中止または中断の際の被験者 への対応 併用禁止薬等の確認 他院・他科の受診の際の主治医への 連絡 治験進捗状況の管理・治験依頼者へ の報告 治験実施状況報告書(継続審査用) 作成サポート まとめ CRCの役割の影響範囲 CRCの役割(もう一度) 2 導入:CRCの役割 1/2 CRCは被験者や試験責任医師・試験分担医師、試験依頼者といった 人々との間で、臨床試験が円滑に実施されるよう専門的な立場で サポートを行う試験協力者であり、実施施設において試験実施体制の 構築の中心的な役割を担う存在である 所属施設ごとに役割や業務の範囲は多少異なるが、 臨床試験の倫理性・科学性・信頼性を確保しながら業務を行うという 基本は変わりない 引用:CRCテキストブック 第3版 P174 CRCの役割と業務 CRCが治験コーディネーターとして働く際に期待されている仕事は 多岐にわたるが、簡潔にまとめると次の4つに分類できる (1)創薬ボランティアとして参加する被験者のケア (2)治験責任(分担)医師の支援 (3)治験依頼者側との対応(モニタリングと監査時の対応) (4)上記3者間のコーディネーション 引用:CRCテキストブック 第3版 P5-6 治験コーディネーターとしてのCRCの役割 被験者ケア 治験担当医師 支援 治験依頼者 対応 コーディネート 3 基本 導入:CRCの役割 2/2 CRC:Clinical Research Coordinator Coordinate:整合する,調整する,調和させる Coordinator:調整役 治験はチームで実施される このチームの統括者は治験責任医師である 治験責任医師は多大な責務のもと治験を実施しなければ ならない サポートしすぎには注意!医師やチーム員 の自立を促すようにコーディネートすること が重要です! CRCは治験チームの一員として、チームのメンバーを支援し、 目標を見失わず、十分に専門性を発揮できるように 4 コーディネートすることが求められる 基本 導入:基礎知識習得について (本トレーニングを始める前に) 本トレーニング資料は「CRC業務」の資料ですが、 「業務」を理解・実施するうえで基礎知識習得が不可欠です。 治験に携わる者としての基礎知識(GCP、臨床研究・治験概論、倫理指針、 実施医療機関のSOP)、対象疾患の知識、標準治療の知識等を身につけ ましょう。 自己学習・所属組織による研修、治験単位での治験依頼者からの トレーニング等を通じて実施に必要となる基礎知識習得に努めてください <参考> CRCテキストブック 第3版 編集 日本臨床薬理学会 医学書院 臨床研究に携わる人のeラーニングサイト「ICR臨床研究入門」 http://www.icrweb.jp/ 臨床試験のためのe-Training center(日本医師会治験促進センター) https://etrain.jmacct.med.or.jp/ CRC養成研修等を実施している参考団体 日本臨床薬理学会 日本SMO協会 5 基本 導入:本トレーニング資料の構成 資料ごとに以下の業務分類ラベルを貼付しています。 学習の参考にしてください。 被験者ケア 治験担当医師 支援 治験依頼者 対応 コーディネート 資料は「スライド本文」に要点を「ノート部分(下部)」に詳細 解説を記載しています。両方を確認するようにしてください。 支援対象者の業務を理解して支援しましょう 本トレーニング資料以外に個別項目(同意取得、有害事象、 症例報告書、モニタリング・監査、治験実施計画書からの逸 脱等について)について、個別にトレーニング資料がありま すので、個別項目についても学習してください 6 基本 治験担当医師 支援 コーディネート 治験実施計画書、各種手順書の理解 治験実施計画書、各種手順書を、CRC自ら読み込 み、理解し、実施医療機関の治験チームを 導きましょう 【注意】 正しい理解が重要です 自己学習 ⇒ 質問(医師、モニター) ⇒ 正しい理解 【注意】 独自の解釈は最も危険です 【なぜ必要か?】 治験実施計画書・手順書は なぜ存在しますか? 理解が不十分だったら 何がおこりますか? 7 基本 治験担当医師 支援 コーディネート 検査項目について確認・調整 治験実施計画書規定手順でスムーズに実施できるように体制 を準備・調整しましょう 検査内容把握 ⇒ 手順の確認(内容、スケジュール、要件) 【注意】:以下の点に注意 臨床検査 実施医療機関測定・中央一括測定 院内処理手順、保管手順、梱包、出荷手順 画像診断 使用する機器の特定、制限 院内の検査予約状況 画像データ提出方法 提出時の個人情報マスキングの確認 心電図:使用する機器の特定、制限 特殊手順(PK等の有無) 8 基本 コーディネート 治験開始前の準備(症例ファイル等) 治験の手順を実施医療機関内の手順に当てはめて、 実施医療機関で治験実施計画書通りに治験が間違いなく 進められるよう、準備しましょう 症例ファイルやチェックリスト等のツールの活用も有用 症例ファイルとは? (多くの実施医療機関で「症例ファイル」と呼ばれるが決まった名称はあり ません) 治験実施計画書通りに治験を実施するための補助ツール それぞれの実施医療機関、CRCで検討して決めることが望ましい <症例ファイルに含まれる物の例> 来院当日に実施すべき事項のチェックリスト 選択・除外基準のチェックリスト及び症例登録票 治験概要、併用禁止薬リスト、アンケート用紙など 9 基本 治験担当医師 支援 治験依頼者 対応 コーディネート スタートアップミーティングの準備・運営 治験開始前に役割分担、具体的な手順、実施上の問題点を 確認したうえで開始しましょう スタートアップミーティング(キックオフミーティング)開催も有効 治験の開始時に行われる治験責任医師・治験分担医師と 実施医療機関の関連スタッフやモニターが一堂に集まり、互いの役割分担の 確認と治験の実施に関する最終協議・確認を行う場 開催にあたっての準備事項 出席者の検討、日程調整、開催場所の手配、議題検討、等 治験責任医師、モニターと相談し、治験開始準備を進めましょう 【なぜ必要か?】 実施事項確認が不十分で、役割分担が不明確なまま 治験開始されたらどうなりますか? 1010 基本 治験担当医師 支援 被験者ケア 同意説明文書の作成補助 同意説明補助について(CRC向け補足) 「同意取得」のトレーニング資料にて学習 してください CRCは、「適切な同意取得に向けた支援」を行う 【注意点】 倫理的な配慮 倫理性の担保と再現性 同意説明文書の説明補助 被験者が治験内容や、遵守すべき事項をイメージできる ような説明 11 基本 治験担当医師 支援 症例登録手続き 一般的な治験薬投与までの流れ 来 院 登 録 ・ 割 付 治 験 薬 投 与 確実に登録票記載/入力/登録作業を行いましょう 同 意 ス ク 検リ 査ー ニ ン グ 【注意】特に割付因子が存在する治験においては注意が必要 【注意】登録日の検討 登録センター・IVRS/IWRS*の稼働日、 サーバメンテナンスの時期を確認 登録後の来院スケジュール 【なぜ必要か?】 症例登録、割付が誤って 行われると何がおこりま すか? *IVRS/IWRS:Interactive Voice/Web Response System。詳細はトレーニング資料 22_IVRS/IWRSを参照 12 基本 治験担当医師 支援 被験者ケア 治験依頼者 対応 有害事象の確認、報告について (CRC向け補足) 「有害事象」のトレーニング資料にて学習してください CRCは被験者と接すること、連絡を取ることが多いため、 被験者の変化や兆候をもとに早い段階で有害事象の発生 に気づく可能性があります。 正しい知識を習得し、適切な対応ができる様、事前確認・ 準備をしておきましょう 重篤な有害事象(SAE)を知りえた場合、治験責任医師は 治験依頼者および病院長に速やかに報告する必要があり ます 期限内に適切な報告ができるよう、CRCは実施医療機関 内での連絡体制について、事前確認・準備をしておきまし 13 ょう 基本 治験担当医師 支援 治験依頼者 対応 症例報告書作成のサポート (CRC向け補足) 「原資料の作成」、「症例報告書について」 のトレーニングにて学習してください 症例報告書(CRF)はGCPで「正確、完全で、読み易く、提 出の時期が適切であること」が求められている CRCはこれらの支援を行います CRFは「原資料のデータ」と「データに対する医師の評価」 から構成される 原データの発生から原資料への記録(ALCOA)、CRF作 成までの手順を整備し、実施医療機関におけるデータの 品質管理体制を確立することがCRCに期待されています 14 基本 被験者ケア 被験者に対する緊急連絡先の説明 夜間・休日等の緊急連絡体制を構築し、 被験者に伝えましょう 治験担当医師への連絡体制 治験参加中であることが常に分かるような工夫 重篤有害事象の速やかな連絡体制 【なぜ必要か?】 もし、被験者に対して、緊急 連絡体制が不十分だったら 何がおこりますか? 15 基本 被験者ケア 患者日誌記載方法の説明および 記載状況の確認 被験者への日誌の重要性の説明 【注意】服薬状況や症状の変化を正しく把握 (治験の評価に大きく関わります) 日誌記載方法の説明 【注意】被験者記載もALCOA原則を →記録の改ざん・捏造は絶対にさせないように指導 日誌に関する問い合わせへの対応 【注意】疑問点、不明点の確認 (初回だけでなく、実施中も継続的に) 16 基本 被験者ケア 被験者からの相談窓口 被験者、ご家族に合わせた相談方法を 検討しましょう 面談、電話、メール 各被験者の事情に合わせた相談方法を 17 基本 治験担当医師 支援 被験者ケア 治験の中止または中断の際の 被験者への対応 治験が中止、中断になるとき、被験者が中止を申し出たとき、 適切な対応を行いましょう 治験依頼者による治験中止・中断(GCPガイダンス第49条) 被験者への速やかな通知、適切な医療の提供その他必要な措置を 講じる 被験者による治験中止(GCPガイダンス第45条) 被験者が治験途中で参加を取り止める場合、被験者が不利益な扱 いを受けないよう留意する 被験者の権利を十分に尊重した上で、参加を取り止める理由を確認 するための適切な努力を払う 18 基本 治験担当医師 支援 被験者ケア 併用禁止薬等の確認 併用禁止薬を被験者が使用することがないように 事前の措置を講じましょう 処方前に併用禁止薬リストで確認を 治験参加カード使用等の啓発を通じて被験者指導を 被験者から併用薬剤情報を確実に入手しましょう 薬剤の種類と禁止期間の確認 他院・他科で処方される薬剤も同様 【補足】併用禁止薬を設定する理由 被験者の安全性確保 有効性評価への影響回避 GCPガイダンス第45条 19 基本 治験担当医師 支援 被験者ケア 他院・他科の受診の際の主治医への連絡 被験者が他院・他科を受診する際には、 治験参加中であることが他院主治医に伝わるようにし ましょう 受診当日:被験者自ら治験参加カードを提示 受診を知ったら:他科・他院の主治医へ治験参加を伝えるため、及び 診療情報提供を求める手紙 併用薬の情報収集の必要性について、被験者へ十分な 説明・指導が大切です 治験参加時のみならず参加中の連絡も必要 GCP第45条 20 基本 治験担当医師 支援 治験依頼者 対応 治験進捗状況の管理・治験依頼者への報告 登録進捗状況・予定を把握して報告しましょう 目標とする期限で登録達成できるかのカギ 当初の見通しからのずれも把握しましょう →治験ごとのアクションプランを治験担当医師と検討しましょう 治験の品質に関する懸念があったら報告しましょう GCP違反、治験実施計画書からの逸脱 ⇒その1例のデータが治験全体の結果を左右する場合も 治験責任医師と相談し、治験依頼者にタイムリーに報告を 21 基本 治験担当医師 支援 治験実施状況報告書(継続審査用) 作成サポート 治験の実施が1年を超える場合、1年に1回又 はそれ以上、治験を継続することの適否につ いてIRBで継続審査を受ける必要があります 作成・提出は治験責任医師の責務ですが、 CRCも治験実施状況報告書の提出が漏れることが ないように、治験責任医師をサポートしましょう。 提出時期のリマインド等 22 基本 コーディネート まとめ:CRCの役割の影響範囲 引用:CRCテキストブック第3版 臨床研究コーディーネーター(CRCの概念と定義) CRCを通じて、多くの情報交換が行われます 正確な情報交換、理解(意思疎通)、適切な説明、細やかなフォローを 心がけましょう ノート部分に記載の題材について 具体的に考えてみましょう 23 基本 まとめ:CRCの役割 (もう一度) CRCは被験者や試験責任医師・試験分担医師、試験依頼者 といった人々との間で、臨床試験が円滑に実施されるよう 専門的な立場でサポートを行う試験協力者であり、 実施施設において試験実施体制の構築の中心的な役割を 担う存在である。 所属施設ごとに役割や業務の範囲は多少異なるが、 臨床試験の倫理性・科学性・信頼性を確保しながら 業務を行うという基本は変わりない 引用:CRCテキストブック P174 CRCの役割と業務 原点に戻って考えてみましょう ・なぜ治験に取り組むのですか? ・治験コーディネーターが存在することの価値をもう一度考えて みましょう 24 基本 End of Slide 25
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