臨床教育特別セミナー 指導医のスキル・アップのために

臨床教育特別セミナー
指導医のスキル・アップのために
”Learning from the Patient: the Essentials of Clinical Teaching” Workshop
ハワイ大学臨床教育ワークショップ報告会(2005.3.29)
岩村高志(救急部)
大塚隆生(一般・消化器外科)
江村 正(卒後臨床研修センター)
本セミナーの目的


忙しい診療現場で,すぐに役立つ指導スキ
ルの紹介
ハワイ大学臨床教育ワークショップの報告
本セミナーの概要
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
ハワイ大学臨床教育ワークショップのスケ
ジュール
PBL Microskills
Principles of Feedback
Micro-lecture
Teaching psychomotor skills
それぞれの説明とデモンストレーション
スケジュール
2/21(月)
午前
Clinical Case
Simulation

2/22(火)
PBL
Microskills

Using EBM in
Clinical Teaching

午後
夜
The Basics of
Clinical
Teaching
The Principles
and Practice of
Bedside
Teaching

Welcome
Dinner

Principles of
Feedback

Principles of
Evaluation
Dealing with
Learners with
Difficulties

2/23(水)
Simulated teaching
session at Center for
Clinical Skills

The Microlecture
Teaching
psychomotor
skills

2/24(木)
Review of
Clinical
Teaching
Exercise
Tapes

Workshop
wrap-up

One minute
observation
Mini-presentation

Aloha
Dinner

全体の風景
PBL Microskills
Micro-lecture
Simulated teaching session
修
了
証
書
授
与
Microskills of Teaching
Obtain a commitment
Probe reasoning
Teach a principle or rule
Reinforce what was done well
Correct what was done wrong
1.
2.
3.
4.
5.

Neher JO, Gordon KA, Meyer B. A fivestep "microskills" model of clinical
teaching. JABFP 1992;5:419-424.
PBLのプロセス
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ステップ1
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
ステップ2


Facts(事実)
Problems(問題点:Factsの中で医学的に問題となりそうなもの)
Hypotheses(仮説,鑑別診断など)
Need-to-Know(知りたいこと)
Learning issues(学習課題)
Researching Learning Issues(学習課題を調べまとめる)
ステップ3

Discussion and peer teaching(再度集まって討論)
The PBL Microskills of Teaching
1. Get a commitment


学習の機会と認識させ,参加を促す
「何が起こっていると思う?」
2. Probe reasoning


推論に焦点をあてる
「なぜそう思ったの?」
3. Teach one general rule

ひとつだけ教える
4. Reinforce what was done right/well

うまくできたことと,その影響
5. Correct mistakes

うまく出来なかったこと,次にどうすればよいか
6. Facilitate more learning

「何を勉強したらよいだろう」
Providing Effective Feedback
効果的なフィードバックの仕方
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
Identify the issue(目的・テーマをはっきりさせる)
Begin with what was done well(まず,ほめる)
Clearly state what was not done well(悪いところを
具体的に指摘)
Offer acceptable alternatives(許容範囲の選択肢を
呈示)
Make an informal contract(約束)
Set a specific time to follow-up(次の機会を決める)
Provide positive reinforcement(こうすればもっと良く
なる,と応援)
Tips for Providing Feedback
フィードバックのコツ
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




Set the climate(雰囲気)
Pay attention to timing(タイミングに注意)
Avoid generalisms(一般化を避ける)
Check for understanding(理解しているか確認)
Negotiate follow-up(次の約束)
“Praise in public, criticize in private”(ほめるの
は皆の前で,責めるのは皆のいないところで)
The PBL Microskills of Teaching
設定:あなた(指導医)は外来診察中で,非常に忙しい.
右上腹部痛と発熱を主訴とする80歳,男性患者
研修医がこの患者の現病歴・現症を取り,
あなたにプレゼンテーションし終わった状況
1. Get a commitment
指導医:「良いプレゼンテーションでした。では、診断は?」
研修医:「急性胆嚢炎です。」
2. Probe reasoning
指導医:「そうですね。どうしてそう診断しましたか?」
研修医:「患者は以前から胆石症を指摘されていた。昨日の
夕食は天ぷらで、その後痛みが出現。痛みが右上
腹部に限局しており、胆石症による急性胆嚢炎
と診断した。」
The PBL Microskills of Teaching
3. Teach one general rule
指導医:「その通り。一つ覚えて欲しいのがMurphy徴候です。
Murphy徴候は他の上腹部痛を来す疾患との鑑別上
重要です。」
研修医:「なるほど。学生の時聞いたことがあります。 」
4. Reinforce what was done right / well
指導医:「しかし、病歴がしっかり取れていて、プレゼンテー
ションも良かったよ。」
研修医:「ありがとうございます。次は胆嚢炎が疑われる時には
Murphy徴候の有無を見るようにします。 」
The PBL Microskills of Teaching
5. Correct mistakes
指導医:「右上腹部痛を来す疾患は多く、高齢患者の場合症状が
出にくい場合もあるので、胆石症の既往に拘らず
鑑別疾患を挙げていかなければいけません。」
研修医:「分かりました。」
6. Facilitate more learning
指導医:「この症例に関して、他にlearning issueは?」
研修医:「右上腹部痛を来す疾患について調べます。」
指導医:「それでは大まか過ぎます。もう少し要点をしぼった
テーマが良いですよ」
研修医:「では胆石症の画像診断、治療法について調べます。」
7. Close
指導医:「良いでしょう。明後日の外来の時に討論しましょう。」
研修医:「分かりました。有り難うございました。」
The Micro-lecture

Suppose



・・・と仮定しよう
Ask a question
General Rules
準備のための資料
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


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Topic:
Clinical presentation:
Differential Diagnosis:
Diagnosis:
Treatment:
Miscellaneous(その他):
The Micro-lecture
1. Topic
急性胆管炎
2. Clinical presentation(suppose)
発熱、腹痛、黄疸を主訴とする、78歳、男性。
3. Differential diagnosis(ask question)
Gall stone, malignant jaundice, etc.
4. Diagnosis(ask question)
血算・生化学、超音波、(CT, MRI), etc.
5. Treatment(ask question)
絶食、抗生物質、ドレナージ(ERC, PTC)
The Micro-lecture
General rule
2. Clinical presentation
・悪寒を伴う間欠的発熱、腹痛、黄疸:Charcot三徴
・Charcot三徴+ショック、精神症状:Reynolds五徴
・全例に全症状が揃う訳ではない。高齢者で症状が出にくい。
3. Differential diagnosis
良性・悪性、閉塞部位(上中下部胆管)にわけて鑑別疾患を挙げる。
4. Diagnosis
侵襲が低く、簡便な検査(採血、超音波)から行う。
上記の検査、病歴で胆管閉塞部位、原因をある程度予想することが可能。
5. Treatment
・まず炎症のコントロールを行ってから原疾患の治療。
・炎症が軽度であれば、絶食・抗生剤投与で経過観察。重症例では
ドレナージを行う。ERC、PTCの特性を理解する。
Teaching psychomotor skills
手技の教え方

OOMPA ED WASDM POF


Oompah(ぶかぶか,ブンタッタ)
Yelon SL. Powerful Principles of Instruction,
Longman Publishers, USA, 1996
Introductory Phase OOMPA
I. Introductory Phase(導入)
State Objective(目標をはっきりと述べる)
Present Overview(全体像を示す)
Promote Motivation(モチベーションを高める)
Review Prerequisites(今までに経験したかどうか
など,学ぶ側のレベルを確認する)
State Agenda(今日の予定など,これから何を行う
かをはっきり述べる)
Introductory Phase ED WASDM
Explain and Demonstrate skill steps(説明し実演
する)
You Will do(「君たちがやるのですよ」)
What to observe & Attend to (その技術の意義
やコツを説明し,何を観察して注目すべきかを述
べる)
Say and Do(それぞれのステップを口に出し説明
し,次に目の前でやってみせる)
Memorize(覚えさせる)
Practice Phase POF
II. Practice Phase(練習)
Supervised(監督下で)
State Practice instructions(練習方法を述
べる)
Observe and prompt student performance
(観察し励ます)
Give Feedback(フィードバックを行う)
心臓マッサージ OOMPA
State the Objective
今日は心臓マッサージについて勉強しよう
Present an Overview
心臓マッサージでは,(1)圧迫の位置を決めて,
(2)肘を伸ばして,(3)胸郭を押すのだ
Promote Motivation
生存率は心肺蘇生開始までの時間と関係している
Review Prerequisites
胸骨と剣状突起がどこかわかるか
State Agenda
まずやってみるから,あとで人形でやってもらうよ
心臓マッサージ ED WASDM
Explain and Demonstrate
では順番にやってみよう
1) You Will do it
そのあとは君に実際にやってもらうよ
2) What to observe and Attend to
肘を伸ばして患者に対して垂直になるように
体重をかけて押すのがポイントだよ
心臓マッサージ ED WASDM
3) Say and Do
それではひとつずつやっていくからよく覚えておくように
(1)まず,肋骨弓を足側から人差し指と中指の2本でたどっ
てきて,剣状突起の根元に中指をあてる.更にその1横
指頭側(人差し指の隣)に頭側の手の母指球を添えるよ
うにして手根部を当てる
(2)手を重ねて指を組み,肘を伸ばして患者に対して垂直
になるようにする.指は胸壁から離す
(3)体重をかけて1分間に100回,胸郭が4-5センチ沈む
くらいに押す
4) Memorize
では今の3つのステップを言ってごらん
心臓マッサージ POF
State Practice instructions
では人形で練習してみよう
Observe and Prompt student performance
Give Feedback
謝辞

医学教育ワークショップ参加の機会を与え
て頂きました,向井医学部長を初め,諸先
生方に深謝致します.