にきびと漢方

2007年10月九鼎会研究発表
ー皮膚科と漢方ー
にきびと漢方
宮崎大学医学部医学科4年
伊藤尚明
露木敦士
にきびとは
●赤み、熱感が
あるにきび
↓
熱
●元気のないにきび
↓
虚
(※移動する→風)
にきびもいろいろ
<熱のにきび>




<虚のにきび>



ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型
食いしん坊
⇒脾胃湿熱型
青春のシンボル
⇒風熱型
元気がない
栄養不足
凹凸
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
にきびもいろいろ
<熱のにきび>




<虚のにきび>



ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型
食いしん坊
⇒脾胃湿熱型
青春のシンボル
⇒風熱型
元気がない
栄養不足
凹凸
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
肝欝化火型
<症状>




だんだんと赤み、熱感
大きさはさまざま
先端に膿
こめかみ、頬、顎、胸背
<ポイント>
 ストレスで増える
 環境の変化で悪くなる
 生理前に増える
 痕が赤紫に残る
肝欝化火型<治療>

加味逍遥散
主治:肝欝血虚、脾湿健運、心肝火旺




柴胡、薄荷
当帰、白芍
白朮、茯苓
牡丹皮、山梔子
⇒欝結した気をめぐらす
⇒血を補う
⇒健脾(胃腸を整える)
⇒熱を冷ます
にきびもいろいろ
<熱のにきび>

ストレスにきび

梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型


<虚のにきび>



⇒肝鬱化火型
食いしん坊
青春のシンボル
⇒脾胃湿熱型
⇒風熱型
元気がない
栄養不足
凹凸
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
肝胆湿熱型
<症状>
赤み、熱感
 顔の下半分に多い
 大きく盛り上がる
 先端に膿
<ポイント>
 脂性
 食物(脂、甘、酒)で悪化
 イライラしやすい
 梅雨から夏に悪化する(蒸し暑い)
 女性は黄色のおりもの

肝胆湿熱型<治療>
龍胆瀉肝湯
主治:肝胆実火、下焦湿熱




龍胆、黄ゴン、山梔子⇒肝胆の熱を冷ます
沢瀉、木通、車前子 ⇒湿をとる
柴胡
⇒肝の気を巡らす
当帰、地黄
⇒陰血の消耗を防ぐ




肝の熱は血を消耗しやすい
龍胆、黄ゴン、山梔子は苦寒で血を損傷しやすい
生甘草
⇒清熱、諸薬調和
※主薬の龍胆草はリンドウの根
にきびもいろいろ
<熱のにきび>
<虚のにきび>

ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型

食いしん坊

青春のシンボル
⇒風熱型
元気がない
栄養不足
凹凸
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型




⇒脾胃湿熱型
脾胃湿熱型
<症状>




赤み、熱感
顔の下半分に多い
少ししこり感がある
先端に膿
<ポイント>




食物(脂、甘、酒)によって悪化
食欲は普通もしくは旺盛
口の中の粘り、口臭
湿度が高いと体が重い
脾胃湿熱型<治療>
ゴン連平胃散
主治:湿困脾胃、湿欝化熱






蒼朮
⇒湿邪を除き運脾する
厚朴
⇒行気化湿
陳皮
⇒理気化湿
甘草
⇒諸薬調和
黄ゴン、黄連 ⇒清熱
※平胃散:脾の湿をとり、理気する
にきびもいろいろ
<熱のにきび>

ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型
食いしん坊
⇒脾胃湿熱型

青春のシンボル


<虚のにきび>



元気がない
栄養不足
凹凸
⇒風熱型
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
風熱型
<症状>




場所が移動する
どんどん新しくできる
額、眉間、頬に多い
赤み、熱感、痛み、痒み
<ポイント>




思春期に多い
ストレス、食べ物関係なし
大きく盛り上がり赤みが強い
夏の暑さ、冬の暖房で悪化
風熱型<治療>
清上防風湯
主治:上焦風熱による皮疹




防風、荊芥、薄荷、川芎
連翹、山梔子、黄ゴン、黄連
白芷、桔梗、枳穀
甘草
⇒去風
⇒清熱解毒
⇒排膿
⇒諸薬調和
にきびもいろいろ
<熱のにきび>




<虚のにきび>



ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型
食いしん坊
⇒脾胃湿熱型
青春のシンボル
⇒風熱型
元気がない
栄養不足
凹凸
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
脾肺気虚型
<症状>


色が薄い
熱感、痛みはない
<ポイント>




疲れると悪化
顔色がさえない
油脂で悪化
肌あれ
脾肺気虚型<治療>
補中益気湯
主治:気虚下陥、気虚発熱





黄耆、人参、
白朮、甘草
当帰
柴胡
升麻
陳皮
⇒益気
⇒補血
⇒肝気を巡らす
⇒脾陽をあげる
⇒理気化痰。膩滞を防ぐ
にきびもいろいろ
<熱のにきび>




<虚のにきび>
ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型
食いしん坊
⇒脾胃湿熱型
青春のシンボル
⇒風熱型

元気がない

栄養不足

凹凸
⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
気血両虚型
<症状>
 色が薄い。褐色もある。
 熱感、痛みはない
 痒みが出ることがある
<ポイント>






疲れると肌が乾燥し、悪化する
顔色がさえない
元気がない
生理途中か終わりごろ悪化する
→気血が出てしまったあと
立ちくらみ、動悸
気血両虚型<治療>
十全大補湯
当帰芍薬散
主治:気血両虚
主治:肝血虚、脾虚湿滞



当帰、白芍、川芎 ⇒補血、活血
白朮、茯苓
⇒健脾
沢瀉、茯苓
⇒利湿




人参、白朮、茯苓、炙甘草
(四君子湯) ⇒益気健脾
熟地黄、当帰、白芍、川芎
(四物湯)
⇒養血活血
黄耆
⇒益気固表
肉桂
⇒温補脾腎
にきびもいろいろ
<熱のにきび>




<虚のにきび>
ストレスにきび
⇒肝鬱化火型
梅雨から夏に悪くなる ⇒胆肝湿熱型
食いしん坊
⇒脾胃湿熱型
青春のシンボル
⇒風熱型

元気がない
栄養不足

凹凸

⇒脾肺気虚型
⇒気血両虚
⇒痰凝型
痰凝型
<症状>
 色はほとんど肌と同じ
 赤紫のときもある
 熱感、痒みなし
 疲れると大きくなる
 頬から顎にかけて多い
<ポイント>



下痢をしやすい
湿気の多い時期に悪化
手足がむくみやすい
痰凝型<治療>
六君子湯
二陳湯
主治:脾胃気虚、湿痰
主治:湿痰




半夏 ⇒燥湿化痰
陳皮 ⇒理気化痰
茯苓 ⇒健脾利湿
炙甘草⇒諸薬調和



人参、白朮、茯苓、炙甘草
(四君子湯)
⇒益気健脾
半夏
⇒燥湿化痰
陳皮
⇒理気化痰
※赤紫のものは瘀血で桂枝茯苓丸を加える。
にきびもいろいろ
<熱のにきび>




<虚のにきび>



肝鬱化火型⇒加味逍遥散
胆肝湿熱型⇒龍胆瀉肝湯
脾胃湿熱型⇒ゴン連平胃散
風熱型
⇒二陳湯
脾肺気虚型⇒補中益気湯
気血両虚 ⇒当帰芍薬散、十全大補湯
痰凝型
⇒二陳湯、六君子湯
ちなみにツムラでは


50 荊芥連翹湯
58 清上防風湯


以上は風熱型のにきびに
125 桂枝茯苓丸加薏苡仁
が、にきびの適応となってます・・・。
まとめ
1.にきびもいろいろですから、ちゃんと弁証して処方しましょう。
2.にきびが主訴でない場合も、にきびから弁証のヒント
得られます。
が
終わり