骨吸収

四つ足動物と人の脊柱
種々の姿勢でのL3 椎間板にかかる荷重比較
(Nachemson and Morris:JBJS:1964)
腰椎病変の進展
姿勢に影響する筋肉
臀筋
腰椎前彎を少なくする筋
腸腰筋
腰椎前彎を増す筋
第3腰椎レベルでの横断面
腰仙椎の神経支配
加齢に伴う姿勢変化
虚弱高齢者の姿勢変化
背筋力低下から円背になり、肩甲骨を背骨に
引き寄せる上肢の筋肉の弱体化などによる
前屈み姿勢
廃用
前を向くため顎を突き出し、前に移動
した重心を下半身でバランスをとる
ために、股関節を過伸展気味にし、
膝を曲げた不安定な、疲れやすい姿勢
顔を前に向けて、背筋を伸ばし、
下腹を引き締め、膝をしっかり伸ばした
正しい直立姿勢
姿勢を保持する筋肉が全て働いている!
腰痛の3つのグループ
骨粗鬆症とは
骨量の減少により骨がスカスカになり、
骨折・腰背痛などの臨床症状をきたす疾病
•全国で450〜500万人の患者がいる
•ねたきり老人の原因の第2位をしめる
(第1位は脳血管障害)
• 女性:50才から 男性:80才から増えてくる
女性が圧倒的に多い
•背骨の圧迫骨折、脚の付け根や手首の骨折を起こす
→円背、身長短縮、腰背痛、起座困難、ねたきり
骨粗鬆症の生別・年齢別発症例
骨密度の経年変化
骨粗鬆症の診断
正常
骨量減少
骨粗鬆症
骨密度
YAMの80%以上
70%~80%
70%未満
脊椎骨粗鬆像
異常無し
萎縮度 I
萎縮度 II III
YAM:20〜 44才の骨密度平均値
骨粗鬆症の原因
※加齢
※カルシウム摂取不足
・食事量不足
・腸管からの吸収不足
※閉経によるエストロゲン不足
※運動不足
※骨のホルモンの加齢変化
・副甲状腺ホルモン(骨吸収)の増加
・カルシトニン(骨吸収抑制)の減少
・ビタミンD不足
骨吸収促進
骨粗鬆症
骨形成低下
骨は生きている
骨は絶えず古くなった骨を壊し、
新しい骨に作り替えている
※骨吸収=カルシウムを血中に放出する
※骨形成=カルシウムを血中から取り込む
一日のカルシウムの動き(成人体重60Kg)
食物 0.6g
(抑制) カルシトニン
エストロゲン
(促進) 副甲状腺ホルモン
活性型ビタミンD
(促進) 活性型ビタミンD
小
腸
腸管吸収 0.3g
消化液 0.2g
血
液
1g
骨吸収
0.4g
骨形成
0.4g
(促進)
再吸収
9.9g
(促進) 活性型ビタミンD
便 0.5g
1000g
活性型ビタミンD
カルシトニン
濾過
血性カルシウム値一定
骨
骨代謝
10g
腎
臓
尿 0.1g
骨の代謝
骨はホルモンの変化や負荷に応じて7%程度絶えず骨吸収・
骨形成を繰り返しており常に新陳代謝している
→カルシウム濃度を常に一定に保つように働く
卵巣ホルモンは骨吸収を抑制する
ビタミンDは腸でのCa吸収を促進し、骨代謝を活発化
食事からのCa補充が減ると骨を吸収して補充する
骨は、骨に加わる力(運動や荷重)の強度に応じて
内部構造を変化させて、骨の量・強度を変える
荷重が減ると骨は吸収されて強度が減る
荷重が増すと骨量が増加して強度を増す
立って、歩くのは人間の原点である
二本足で立ち、歩き出した
→手の発達
脚の発達
姿勢保持機能の発達
→多様の刺激が脳に入力
→脳の発達(前頭前野の発達)・言葉、文字の発達
人は立ち上がったことで身体を築き、
文明を築いてきた
正しい姿勢:立ち方・歩き方
腹筋・背筋を使った座り方、立ち方、歩き方
首を伸ばし、胸をはり、下腹を引き締めよう!
腹筋を利かせた歩き方
疲れないで歩くためには、さっそうと歩くこと!
背筋を丸めていませんか?
腹を折って座っていませんか?
座っている時でも筋肉は鍛えられる
少し大股で、早足で、さっそうと歩きましょう
歩行することは
片脚で立っている時に自分の体重を支え、次に
前に出した足に体重を移動する。
足腰から見ると上半身の体重を持ち上げては運ぶ
重量挙げであり、交互に左右の筋肉を使う、
半分づつ休みと運動をくり返している、
筋トレである。
日8000~10000歩歩くと足腰は鍛えられる。
優れた有酸素運動である。
有酸素運動=エアロビクス
呼吸を早くし、心拍をあげて、酸素を取り込み
ながら、長時間、持続的におこなう運動
ウォーキング、サイクリング、ランニング、
水泳、ダンス、卓球など
★肺・心臓・血管の機能を向上させる
★脂肪を燃やして、エネルギー源にする
★肥満解消効果に優れている
★生活習慣病の治療に有効
★ベーターエンドルフィンがでる
★運動習慣付に有効
骨と筋肉の加齢的変化
骨は骨に加わる負荷(運動・加重)が
多いと強度を増す。
負荷が減ると強度が落ちる。
骨と、筋肉は同じ動きをする。
加齢と共に、活動性が低下する程度に応じて、
骨と筋肉は減少が起こる。
歩けなくなると、急激な減少が起きる。
→骨粗鬆症、筋力低下
歩けない、立っていられない、座っていられない
でも歩く工夫を!
無重力と骨・筋量
無重力では急激な骨・筋肉の減少がおこる
アメリカの宇宙飛行士は2週間で、
全身の骨量の25%が減少した
ソ連の宇宙飛行士は2週間で、
全身の筋肉の30%がなくなった
骨も筋肉も重力のある地球上で進化し発達した
組織であり、重力の負荷がなくなると急速に退化する
歩かなくなり、寝たきりになったら
手・足を動かさなくなる。
バランスをとらなくなる。
→骨粗鬆症、筋力低下
転倒しやすくなる
座っていられない
動かすと痛い→関節が固まってくる(拘縮)
人との出会いが減る
脳に対する刺激の減少:脳の廃用萎縮!
腰痛を防ぐ姿勢
• 体の正面で体に近付けて作業する
• そり腰を避ける
• 体を曲げるときは、膝を曲げて腰の傾
きをできるだけ減らす
• 対角線の原理:右足を前に出す時は左
手を前に出す
• 天然バカリの原理:腰を支点にして前
後左右のバランスを工夫する
• 軽いものでも油断せず、身構えて持つ
腰痛の予防
• 人の腰は日常生活の中でも強い負荷にさらされてい
る為、何気ない動作で壊れることがある
• 腰の骨を鍛え、支えている筋肉を鍛えることを絶え
ずし続けること
足腰を鍛える生活習慣:腹筋・背筋強化、
ウォーキングなど
• 日常生活の中で腰を壊さないように、姿勢に気を付
けていく
しゃんとした姿勢を日に1時間は心がけましょう