2005.8.27 第6回千葉県CT研究会 CT画像における分解能測定とその評価 名古屋大学医学部保健学科 市川勝弘 CTの性能(画質)評価に関する勧告,報告 報告 X線コンピュータ断層撮影装置の性能評価に関する基準(第二次勧告) 班名 医学放射線学会 CT性能評価委員会 掲載 日本医師会雑誌, 88(8), 759‐771(1989) 報告 X線CT装置性能評価に関する基準(案) 班名 日本放射線技術学会 X線CT装置性能評価検討班 掲載 日放技学誌,47(1),56-63 (1991) 報告 ラセンCTの物理的な画像特性の評価と測定法に関する報告 班名 日本放射線技術学会 ラセンCT性能評価班 掲載 日放技学誌,53(11),1714-1732 (1997) American Association of Physicists in Medicine. Report no. 1 Phantoms for performance evaluation and quality assurance of CT scanners (1977) 分解能とは どこまで小さな物体を分離して識別できるか。 どこまで小さな物体を認識し得るか。 を表す能力。 物体のコントラストなどを規定しない。 解像度とは ノイズの影響のない状態で どこまで小さな物体を分離して識別できるか。 を表す能力 十分なコントラストの物体の分解能とも言える。 CTの場合 ・線量はノイズに大きく影響する ・ディテクタサイズとビュー数は解像度(分解能) に影響する。 を基本とするが.... 実際は... ・再構成関数と後処理も,ノイズと解像度に影響する。 よって,幅広く対応するために 高コントラスト分解能と低コントラスト分解能 が定義された。 高コントラスト分解能と低コントラスト分解能 高コントラスト分解能 高コントラスト分解能 高コントラストな物体に対する分解能 よって ノイズの影響がない場合の分解能=解像度 用途 ・装置の限界の解像度を見る。 ・再構成関数の特性を見る。 ノイズの影響がない場合の分解能=解像度 そんな状態があるの?実現できるの? 高コントラストならそういう状態なの? シミュレーションプログラムで確認します。 ・高コン,低コン共に,同量のノイズを付加。 ノイズが増えても高コントラストファントムの画像とプロファイルは ほとんど影響受けません。低コンは,認識不可能となっています。 ノイズ付加による画像の変化 ノイズは、低コントラストな物体にだけに影響 高コントラスト分解能測定ファントム アクリル円筒 100mm エアーホール 0.3mm~2mm スキャン画像 MTFと高コンファントム画像の関係 0.5mm 1.0 0 0.5mm 1.0 1.0 0 0.5mm 1.0 1.0 0 1.0 1.0cycles/mmは,0.5mmの解像を示す。MTFに応じて,画像も 忠実に変化している。 MTFによる画像の連続的変化を シミュレーションプログラムで見てみます。 (割愛) MTF測定ファントム 直径50mm程度の 樹脂製シリンジ (例:オムニパーク300 150ml) 水 活栓 0.1mmφ銅ワイヤ 樹脂製150mlシリンジは,太さも手頃。0.1mmの銅ワイヤー はビニール線の中から1本抜いて使用。 MTFの計算過程 金属ワイヤ 約0.1mmφ PSF 仮想スリット Z方向 プロファイル ワイヤーファントム これをフーリエ変換 MTF測定への影響因子 ・ノイズはあまり関係しない。 (ファントムサイズに見合った線量(電流)) ・電圧は,ほぼ関係しない。 ・ビュー数も,ほとんど影響しない。 ・再構成関数は大きく影響する。 ・焦点サイズも影響する。 ・周辺部では,回転速度が影響する。 ・QQオフセットやフライングフォーカスも影響する。 関数によるMTFの変化 Modulation transfer factor 1.2 Standard 1.0 Bone 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 Spatial frequency (cycles/mm) 1.0 SOMATOM VZの測定結果 AB20 AB30 AB35 AB40 番号順になっているとは限らなかった。 よってMTF測定が有用であった。 AB30 AB35 Q:どちらが高解像度でしょうか? A. 解像度は,どこまで細かく解像するか(解像する 最高周波数)を示すので,答えはAB35 Center 90mm off-center 回転速度によるMTFの変化 Modulation transfer factor 1.0 0.8 0.75sec 0.6 0.4 0.5sec 0.2 0.0 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 Spatial frequency (cycles/mm) 周辺部のMTF 1.0 1.2 低コントラスト分解能 低コントラスト分解能 低コントラストな物体に対する分解能 よって ノイズの影響を見る=ノイズを測る 用途 ・装置のノイズ特性(感度)を見る。 ・再構成関数の影響を見る。 低コントラスト分解能測定ファントム 140mm アクリル円筒 ポリウレタン等 (CT値50付近) 周囲CT値-5 直径 20,10,5,4,3,2mm スキャン画像 CT画像におけるノイズ SD=5 電流なら 200mA スライス厚なら 10mm厚 SD=7 100mA 5mm厚 SD=13 約50mA 2mm厚 同じ画像を関数を変えて表示 SD=8 シャープな関数 SD=5 標準関数 SD=2 ソフトな関数 SDは関数の違い(解像度の違い)を考慮すべき。 ノイズの影響を見る=ノイズを測る ・ほんとにノイズしか見てないの。 ・物体に対する分解能を見るので,解像度 は影響しないの? 低コンファントム、ノイズがない状態では? 10mm 5mm 周囲=0 物体=-20 周囲=0 物体=-20 2mm ソフトな関数 =解像度悪い シャープな関数 =解像度良い 解像度に関わらず、認識できる=解像度の影響をあまり うけない。 通常関数 高解像度関数 ノイズが加わると 高解像度でも認識能力は変わらない⇒ノイズ特性だけが見れる 通常関数 高解像度関数 ノイズが加わると ある程度コントラストがある場合は,ソフトな関数は見やすい シミュレーションプログラムで 確認してみましょう。 (割愛) 関数(解像度)が違いSDが同じ(=5.3)の場合 軟部用 標準 高解像度 Q:さて,どれが一番低線量でしょうか? A. 軟部関数 軟部関数は,もともとSDが小さい。その小さい SDを持ち上げるのは,線量を下げることになる。 よって,低線量。 高解像度関数は,SDが高い。そのSDを下げるには 線量増加となり,高線量。 SOMATOM VZの測定結果 AB20 AB30 AB35 AB40 AB30 AB35 低周波を強調する関数は,目障りなノイズ が増える。 AB40 視覚的に番号順になっているとは限らなか った。よってMTF測定が有用であった。 低コントラスト分解能(ノイズ)への影響因子 ・高コン(解像度)ほとんど関係しない。 ・よって再構成関数もほとんど関係しない。 ・すなわち,ノイズ特性を測ることができる。 ・ただし,線量との関係を見る場合には,解像度 を統一するべきである。 Q:それはなぜでしょうか? A. 関数によって,SDが変わる。すなわち解像度に よってSDが変わる。機種が違うものを比較する 場合に,標準関数だからといっても解像度が違えば SDによる比較は不可。 ディジタル画像としての性質 今は亡き,ハム太 CT画像データと解像との関係 CT画像の解像度=CTの性能の解像度 と ピクセルの解像度 マトリクス数 512 X 512 階調数 12ビット~16ビット 4096階調以上 ピクセルサイズ=FOVに依存 FOV=350mm -> ピクセルサイズ=0.68mm FOV=200mm -> ピクセルサイズ=0.4mm FOV=120mm -> ピクセルサイズ=0.23mm Rawデータの情報量を満たすピクセルサイズ 0.5mmの解像が必要な場合、 0.5mmは1.0cycles/mmと考え、それの忠実再現には 2cycles/mmのサンプリングが必要。 (サンプリングの定理) 0.5mm 0.5mm 最大のFOVは500mm 500mm/0.5mm=1000 ローデータの情報量をそのままに表す画像は 0.5mmピクセルサイズで1000X1000ピクセルあればよい. *究極は1024X1024再構成か?! 0.5mm必要->余裕を見て200mmのズーミング ....しかし、0.5mmの解像はあるか? 単純拡大 FOV200mm ズーミング FOV200mm 0.5mm 0 1.0 標準関数なら単純拡大で十分である。(0.7mmx512=350mmで十分) 胸部 High-resolution CTでは有効 .... ピクセルサイズ=0.4 ピクセルサイズ=0.58 FOV200mm FOV350mm 単純拡大 0.5mm 0 1.0 ディジタル画像としてのCT画像(体軸方向) スライス間隔 →サンプリング間隔 スライス厚 →サンプリングアパーチャ Z軸のプロファイル スライス厚 Z方向 Z方向 スライス厚のスムーズフィルタ こんな被写体をとってるのと同じ TOPO画像を使ってもっと具体的に 10mm 5mm 3mm 1mm 1mmのスライス厚では,構造をやや正確に表せることがわかる。 再構成間隔 スライス厚1mmで、再構成間隔1mmは一般的...でも Z スライス厚1mmの分解能は? ー>少なくとも0.5mmはある。 0.5mmの解像には、0.5mm以下の間隔が被写体情報を 満足した間隔だといえる。 Z 情報量で考えるなら、再構成間隔はせまく Modulation transfer MTF factor 1.2 標準関数 SDCT 1.0 0.8 体軸方向 1mm厚 0.6 0.4 標準関数 MDCT16列 0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 Spatial frequency (cycles/mm) スライス1.0mmでは,0.5cycles/mm(1mm)までしか再現できない。 スライス厚0.5mmなら,情報量を生かすことができる。 スライス間隔=1mm スライス間隔=0.5mm ディジタル画像としてのCT画像 ・ピクセルサイズ=解像したいサイズ ・スライス厚/2=情報量を生かす再構成間隔 ご清聴ありがとうございました。
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